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第7Q

「ちょっとおぉッ!!なんで私ベッドに居んのッ!!」
「んあ?うっせえなぁ、もうちょい寝かせろよ」


あ、有り得ない。
折れたつもりは更々無いけど昨日は私ソファで寝てたのに!
なんでまたコイツとくっ付いて寝てるわけ!?
で…
「いつまで引っ付いてんだバカアァッ!!」
「っぐえッ!いってぇ!!!おま、み、鳩尾…」
悶え苦しむ青峰を引っぺがして寝室を後にした。
自分で夜中に起きてベッドに戻るなんて絶対してないんだからアイツが運んでった以外無いよね?
何してるわけ?
ベッド取り合いしてたんだし、私がソファに寝たんだからベッド独占すればいいじゃんか!もう1回言っとくけど、折れたつもりは無いけどね!!
苛々を隠しもせず朝食の支度をしていると、頭をボリボリと掻きながら青頭がやって来た。
「…はよ」
「…おはよ」
「…」
「…」
「…おい」
「…」
「な、何怒ってんだよ」
「別に怒ってないけど」
「嘘付け、すげえ機嫌わりぃじゃねーか」
「青峰には関係ないよ…ちょっと嫌な事思い出してただけ。放っといて」
「…」
青峰のくせに気を使ってるのか、朝の挨拶なんかしてきた。
鳩尾に肘鉄お見舞いしたっていうのに、何も言って来ない。
気持ち悪い。
機嫌の悪さの発端はコイツの一言だけど、考えてみればコイツは何も知らないのだ。
まあ知らないからと言って、言っていい事と悪い事があるけど。
男なんて皆同じなんだと、改めて自分に言い聞かせる。
だから、あんな言葉の一つや二つを真に受ける私にも問題があるんだ。
いい加減そろそろコンプレックスの闇から、トラウマから脱出しないと。
悶々と考えているうちに朝食は出来上がっていた。
「青峰」
「お、おう」
「ご飯出来た。食べよ」
「おお。…あのよ」
「鳩尾、大丈夫?…ごめん」
「は!?あ、謝ってんじゃねーよ!調子狂うだろ」
「あっはは、青峰こそ焦ってないでよ!らしくないんだよ」
「っ!…ったく、女って分かんねー」
「分からんで結構!さ、いっただきまーす」
「…いただきます」
そう。
こんな感じでいいんだ。
いつの間にかいつもの調子に戻っていた。
トラウマがなんだ。きっとそのうち克服出来る。
巨乳好きのコイツと居る事によってもしかして耐性出来て簡単に克服出来ちゃうかも!なーんて。
まあそりゃ安直すぎるけど。

私は青峰が元の世界に帰るまでの所謂保護者。
私の中の過去やトラウマなんかわざわざ見せる事も無いんだ。

「青峰ー!買い物行くよー」
「ああ?また買い物かよ。もう必要なもんねーぞ」
「いいから行くよ」
「んだよ、めんどくせーな」
今日は日曜日。
明日からまた仕事に行かなければならない私は、もう1つ必要な物を買い忘れていた事に気付いた。
携帯だ。
私が仕事中に勝手な行動を起こされては困る。
奏の方の黒子くんは大丈夫だろうけど。
という事で、奏にも連絡して一緒に携帯屋さんに向かった。
青峰と黒子くんに1台ずつ渡して、ランチも済ませ、今は帰り道だ。
「ったく、別に必要ねーのによ」
「あんたが問題起こしそうだから仕方なく買ったんだからね」
「青峰っち、名前は心配してんのよ」
「はぁ?心配とかじゃないし!留守中に何かあったら困るでしょ」
「…だからそれが心配してるって言うんだよ」
「名前さん、優しいですね。青峰くんは幸せ者です。感謝しないといけませんね」
「は!?何言ってんだ、テツ。おま…」
「く、黒子くん超天使!!ねえ奏!私黒子くん預かる!!」
「何言ってんのよ。ほら、青い子がめっちゃ睨み付けてるよ」
「名前さん。お気持ちは凄くありがたいですが、僕は奏さんにとても良くしていただいてるので、大丈夫です。ありがとうございます」
「えー、そう?奏、黒子くんに超懐かれてるね」
「かわいいでしょ?もう私の癒しだわ。ね〜」
「か、奏さんッ」
奏がぎゅうぎゅうと黒子くんに抱き付いてる。
黒子くんは顔を真っ赤にして耐えてる、かわいい。
にこにことその様子を眺めていると、ふいに頭上が陰った。
何事かと上を向こうとすると…
「ちょ!あんた何してんの!」
「ああ?同じ事やってやってんだろうが!嬉しいだろ!」
「はーなーれー、ろッ!!!」
「ぐぁッ!いってえなこの石頭!」
「うるさい!!暑いから引っ付いてくるな!」
「あーあ、俺も奏さんとこが良かったぜ。あーいてえ」
「あーそうですか!だったら今から!そう!今すぐ奏んとこ行ったらいいよ!」
「はぁ?お前冗談も通じねえのかよ。っておい、先行くなって」
「ごめん名前!…うちは無理ー!!」
「名前さん、すみません。青峰くんの事、見放さないであげて下さい。お願いします」
「奏さん、今普通に無理って…」
「青峰くん。今のは青峰くんが悪いです。名前さんに謝ってきて下さい」
「…ってもう居ねえし!何処行ったんだよ!」
「仕方ないですね。僕が行ってきます。奏さん、ちょっと青峰くんの事お願いします」
「オッケー。黒子くんも、名前の事よろしくね」
「はい」
「ちょ、テツ!」
「はい、青峰っちはここでお留守番〜!お姉さんとちょっとお話しよっか」
「え(目がこええ!)」


「名前さん、ちょっとだけ僕の話を聞いて貰えませんか?」
「ぎゃッ!黒子くん!いつからそこに!?」

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