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第6Q

「だから!あんたが寝るのはこっちだってば!!」
「ああ?床なんかに転がされてたまるかよバーカ」


奏と黒子くんは、夕飯を済ませて少しお喋りをしてから帰って行った。
部屋の窓から後ろ姿を見送っていたら、奏が黒子くんの手を取って歩いて行くのが見えた。
なにあれ、…自然だな。
まるで恋人同士だよ。
引っ張ってるのは奏だけど。
その後ろ姿が微笑ましくて、見えなくなるまで見つめていた。
奏に限って無いとは思うけど、もし黒子くんに本当に恋しちゃったら…ってそれは無いけどさ。
私、考え過ぎだな。

その後片付けてお風呂も済ませ、寝る時間になったわけだけど…
昨日同様、ベッド争奪戦が行われているのだ。
昨日は頭突きかまして自爆するっていう醜態晒しちゃったけど、今日はあんな馬鹿やらないんだから!
「黒子くんはソファで寝てるって言ってたよ!紳士の鏡だわ!」
「そんなのテツの勝手だろうがよ!奏さんは一緒に寝てもいいって言ってくれましたってテツは言ってたぜ?あー、オトナの女はちげーよなぁ!」
「か、奏が寛容過ぎるんだよ!私普通だから!」
「名前がケチ過ぎんだよ!そろそろ折れろっての!」
「もう!これから毎日こんな言い合いするわけ!?あんた昼寝したからいいけど私はもう眠いの!早く寝さしてよ!」
「ギャーギャーうっせえなぁ!じゃあ早くベッド入れよ」
「アホが居るから入れないんじゃ!疲れて肩凝ってんだからフカフカのベッドで寝たいの!1人で!伸び伸びと!」
「はあ?おめー肩なんか凝らねぇだろ」
「凝るわ!アホが居る事で余計ね!」
「バーカ、肩凝りは巨乳ちゃんだけの特権だろうがよ」
「!!」
「だいたい2人で寝たって…っておい。なんだよ、急に大人しくなんなよ」
「…」
「?俺は寝るぞ。名前も寝たかったら早くこっち来いって」
「…おやすみ」
「は?便所か?早く寝ろよ」
パタン
気付いたらふらふらと寝室を去っていた。
あれ…
ちょっとちょっと、私何してんの。
な、なんで涙なんか…
『お前肩凝りすんの、まじ?』
『するよ。女は肩凝りさん多いんだからね』
『へぇ、肩凝りって巨乳がなるもんなんじゃねえの?』
『…えー、別に巨乳じゃなくてもなるでしょ』
なんで昔の男との会話思い出しちゃってるわけ?
別れる前にもちょこちょこ傷付けられてたの、思い出しちゃうなんて。
ホント別にあんな男に未練なんかないのに。
はは、コンプレックスって、怖いな。
男なんて皆一緒だよね。
考えてみれば青峰なんか巨乳バカじゃんか。
マイちゃんにさつきちゃん、人種が違うよね。
っていうかまず次元が違うんだった。
まぁ、次元違ったって男の考えてる事は一緒って事…。
「…寝よう」
ブランケットを引っ張り出して、ソファに向かった。
折れるとか折れないとか今日はもうどうでもいいや。
疲れたな。
ゴロンと横になってブランケットに包まった。
だんだんと瞼が落ちてきて…
ぼんやりとしているうちにいつの間にか寝てしまったらしい。


夢を見ていた。
『全く、青峰は何処に行ったのだよ』
『おかしいッスね〜、さっき見掛けたんスけど』 
『桃井から部活をさぼっていると聞いたが、すれ違ったか?』
『いや、赤司が着く前にここに居たのだが…一寝入りしたいと言っていたのだよ』
『引き止めとくべきだったッスね。でもなんで今日?』
『皆が集まれる事など滅多にないからね。今日練習があるのは桐皇だけだったんだ』
『ん〜?峰ちんには集まる事言って無かったの〜?』
『ああ、桃井がどうせさぼるから勝手に連れて行けと言っていたのだよ』
『なるほど。青峰っちは部活をさぼると踏んで、ッスか』
『峰ちん、酷い言われ様〜』
『現にさぼっていただろう。ところで、テツヤの姿も見えないが』
『あれ?黒子っちもさっきここに…』
『ねえねえ、コレなに〜?』
『紫原、どうしたのだよ』
『ん?写真ッスね。ちょ、青峰っちと…女の子!?』
『誰だ?桃井じゃないのか?…見掛けない顔だな』
『は、破廉恥なのだよ!!!だ、抱き、』
『抱き合って寝てるねぇ〜。みどちんちょっと反応し過ぎ〜。この子峰ちんの彼女〜?』
『見た事ないッス。…か、かわいいッスね。青峰っちにはもったいないッス!』
『ん?涼太はこういう女子が好みなのか?』
『い、いや、だってかわいいじゃないッスか!桐皇の子かな?』
『分かんないけどー、まあ普通にかわいいよねー』
『おい!!青峰と黒子探しはどうなったのだよ!!』
『ん〜、そのうち来るんじゃなーい?俺まいう棒買って来るー』
この夢なに?
高校生になったキセキの皆が集まってるとか超レア。
青峰と黒子くんが居ないのってなんか関係…ないよね。
夢だし。
それにしても変な夢。
ただ傍観してるだけで自分が出て来ない夢って珍しいな。
せっかくキセキが居るのに自分が居ないとか、残念過ぎる。
青峰と女の子が映ってる写真、か。
かわいいとか騒いでるけど、どうせ巨乳でしょ巨乳。
キセキのぐだぐだトークの夢を見ながら、いつの間にか深い眠りに落ちていた。
あの夢の続きはどうなったんだろう。


「おい名前、遅くまで何して…あ?」
「…なんでこんなとこ寝てんだよ。調子狂うっつの」

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