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第4Q

「ジロジロ見やがって、なんだっつーんだよ」
「あっはっは!イケメンだから見られてるんじゃなくて、怖いからなんだ!あっははは!青峰!残念だねあんた!ぷぷ」


予定通り、私たちは街に繰り出した。
2次元からやって来た青峰が外に出る事で面倒な事にならないかって心配してたけど、全く問題無かった。
真ちゃんだったらキラキラ輝くオーラに皆ノッカーウされちゃってただろうけど、ホント残念だね青峰くん、ぶふっ。
「皆あんたの事怖がってるんだよ」
「ああ?まだ何もしてねーだろ」
「まだって何だ、まだって!!問題起こさないでよ」
「起こさねーよ。ったくコソコソうざってーな」
「ただでさえ身長あって威圧感たっぷりなんだから、そんな高圧的な態度とってたら怖がられるに決まってるでしょ」
「これが俺の普通なんだよ。あー、さっさと済まして帰ろうぜ」
急かす割に私に合わせてかゆっくり歩いている青峰。
無意識なのか知らないけど意外に人の事見てる。
今だって歩道の道路側を歩いているし、自転車が通れば自然と私の腕を引っ張って避けさせたりする。
凄く意外。
じっと見ていると、両手を頭の後ろで組んで気だるそうにこちらに目を向けてきた。
「…なんだよ」
「別に〜?」
「はぁ?なんでもねーなら見んな」
「ふはは、照れてんの?」
「照れるかバーカ!」
文句を垂れながら、まずは下着や服探し。
まあ悔しいくらいに何でも似合いますよね。
買ったのは至ってシンプルな物ばかり。
…かっこいいじゃんか。
言ってやんないけどね!
一通り必要な物を買い揃えて疲れてきた所で、遅めのランチ。
よく奏とランチするお気に入りのお店に入った。
ランチタイムって時間でもないので店内はガラガラだ。
窓際の席を陣取って、やっと休憩。
「俺焼肉がいーんだけど」
「文句言うなら昼抜きだ!」
凄い不服な顔しながらメニューを見ている青峰。
残念ながらここはパスタ屋だ、焼肉は無い!
私も早く決めよう、とメニューに手を伸ばした瞬間、窓の外に見覚えのある横顔。
あれは間違いない、奏だ。
こちらに気付くかなと思ったけど、どうやら誰かと話しながら歩いているみたい。
相手が誰かはこちらからは見えない。
でもなんだかとても楽しそうに会話してる。
青峰が今一緒に住んでるなんて知ったら吃驚、いや…多分爆笑するだろうけど、今すぐ言わなくてもいいかな。
もうちょっと落ち着いたら話そうと決め、メニューに視線を移した。
「おい名前、誰か居たのか?」
「んー、親友。今度会わせてあげる」
「へぇ、巨乳なら大歓げ…いってぇ!」
…無言で脛を蹴ってやった。

食事を済ませた後は、食料品を買って帰宅だ。
貴重な休日もあっという間。
買い物でほぼ1日潰れてしまった。
スーパーに寄って大量買い。
我が家に突然大食漢が現れたからいつもより沢山買わなきゃだけど、荷物持ちは居るから良しとしよう。
がっつり買い込んで、めんどくさそうな顔をする青峰に問答無用で押し付けた。
「たーだいまー」
「名前、俺もうねみぃんだけど」
「はー?今昼寝すんの?もう6時とかだよ」
「無理、寝るわ」
「あ、そう。じゃあ夕飯になったら起こすから寝れば」
「んー」
気だるい返事をしながらふらふらと寝室に向かった青峰。
寝室…また人のベッドで寝る気だわ。
でもまあ、許してやるか。
突然知らない場所に放り出されて、今日は1日買い物しちゃったし…疲れたのかな?
荷物持ちもなんだかんだちゃんとやってくれたしね。
ゆっくり休ましてやるかー。
買ってきた物を片付けていると携帯が震えた。
画面には『遠山奏』。
「はいはーい」
『あ、名前!今平気?』
「うん、どしたの?」
『ちょっとさ、これから家行ってもいい?』
「うん、いいけど。何かあった?」
『行ったら話すからさ』
「そう?あ、今日奏の事見掛けたよ」
『え!1人だった?』
「いや、誰か分からなかったけど話してたから横に誰か居たのかな?」
『まいいや、とりあえず夕飯一緒しようよ。適当に買って持って行くから』
「うん、ありがと。待ってるね」
あ、青峰の事言うの忘れた。
来たらビックリさせればいいか。
奏の驚く顔を見るのもレアだし楽しみ。


「ぐがぁーッ」
「アホ峰イビキうるさいッ!!!」

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