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第3Q

「真ちゃん」
「マイちゃん」


っちゅ。
「う…ん」
まだ眠いよ。寝足りないよ。
誰、今私の耳にちゅってした人。
そんな事出来る人居ないけど、彼氏いないし?
そうか、夢か。
夢の中で真ちゃんが私にちゅっちゅしてくれてるんだ。
そうに違いない。
むふふ、なんて幸せな夢。
しかもなんかぎゅって抱き締めてくれてますけどサービス良過ぎやしませんか?いや、真ちゃんなら私はいつでも大歓迎なんだけど。
そろそろ「名前、起きるのだよ」とか言って起こしてくれるの?やーん!
ちゅ。
え、ちょっと真太郎さん。もう耳止めて!
そろそろ私鼻血噴くから!
耳朶とか首筋とか触んないで!なんかエロイよ!
もういいよ十分だよ恥ずかしいよ!
「真ちゃ…」
「はぁ…マイちゃん。ちゅう」
「もう耳は止めてって………は?」
マイちゃん?
何度も聞いた名前に反応して覚醒した私。
目の前には…真ちゃん、じゃなくて…
「っいぎゃあああああッ!!」
ゴッ!!!
「うがっ!」
「い゛っ!!」
プシュゥーっと音がしそうなくらいの頭突きをかまして、現実に引き戻されました。
真ちゃんじゃなかった真ちゃんじゃなかった真ちゃんじゃなかった。
じゃじゃじゃじゃあ、耳にちゅうして来たのはやっぱり…
「いってぇな。…マイちゃん何処?」
「お前かあぁぁぁああああッ!!!」


「まだ怒ってんの?」
「ふんッ」
「お前かわいくねえな」
「(むっか)っふんッ!」
「んだよ、自分だって夢見てたじゃねーか。真ちゃんって…緑間だろ?マジかよ、趣味わりいな」
「はぁ!?真ちゃん馬鹿にすんなし!マイちゃんマイちゃん五月蝿い人に言われたくないね!」
「しょーがねえだろ、マイちゃんは可愛いんだからよ」
「知らんわ!つかいつまでくっ付いてんの!!」
「あー?気にすんなって。もうちょい寝ようぜ」
「もうやだこの人!裸でくっ付いて来ないでよ!!」
「んだよ、照れ「てなぁーーーい!!」…」
「あーもう止め止め!オトナな私はもう違う事を考えるぞ。今日は買い物だ買い物!」

ああ、朝からがっつり疲れた。
しかし今日は、コイツの生活用品を買いに行かねばならない!
とりあえず服!下着!
裸で家に居られても困るっての!
…ドキドキするんだって!!
私は真ちゃんが大好きなのに!!
別に青峰が嫌いなわけじゃない。
だから余計困るのだ。
強面だけどかっこいいっちゃかっこいい。
って私何考えてるの!
違う違う違う!
「〜ッ!真ちゃん愛してる!!!」
「名前、お前相当イタイやつだな」
「…」
「無言で蹴り入れんのやめろよ」
気を取り直して朝ご飯の準備。
今朝は残りご飯で雑炊ですよ、文句は言わせないよ!
て、あれ?青峰は?
また消えた。
「青峰ー?」
返事は無い。
その代わりに聞こえてきたのは水音…
「あ、青峰さん?何してますの?」
「お?何って見て分かんねーのかよ」
「お風呂、掃除…」
「おう、見りゃ分かんだろ。もう飯出来たのか?」
「青峰が、お風呂掃除…」
「おい名前、飯は?」
「ななななな何!どうしたのいきなり!なんで掃除なんか!」
「…い、いや。別に…やる事ねーしよ」
「やだっ!大ちゃん偉い!やれば出来るじゃんか!」
「ああ?馬鹿にしてんのか!大ちゃん言うなコラ!」
「ありがと青峰!助かる!」
「!?っめ、飯!飯にしようぜ」
「うん!よし、ご飯にしよう!行こ!」
私たちは向かい合って朝ご飯を食べた。
昨日の深夜、あれだけ食べたのに今朝もガツガツと食べる青峰。
お鍋は綺麗に空っぽ。
なんだかちょっとだけ、ほんのちょっとだけ
弟みたいで可愛いとか思ってしまった。
ちょっとだけね。
こんな弟が居たら、毎日退屈しない…かな?
なんてね。
べ、別にお風呂掃除で絆されたわけじゃないんだからねッ!


「……俺だってちょっとくらい感謝してるっつの」
「んん?なんか言った?」
「んでもねーよ」

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