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第2Q

「おい名前、俺風呂入りてえんだけど。でよ、腹も減ってんだわ。俺が風呂入ってる間に飯作っといてくれよな」
「はぁ!?」


図々しいったらない!
『よろしく頼む』って言ったのは何処の誰だ!
ちょっとは遠慮しなさいよ遠慮を!
と心の中で叫びながら、私は律儀に料理をしているわけだけど。
もうね、深夜ですよ深夜。
2時とかなんですよ。
もう眠いんですよ。
週末で疲れも溜まってるわけで、お酒も飲んじゃったわけで、とにかくもう寝たいんですよ。
ザクザクとキャベツを切りながらも目は半目なんですよ。
「名前ー!タオルー!」
「体ブルブルして飛ばしとけッ!!」
「全裸で出ていーか?」
「ぎゃああああああッ!!待て待て待て!」
何故だ、何故私が振り回される!
ここ私の家だよね?
私が主だよね?
何が「タオルー」だ。
そこは「タオルが欲しいのだよ」だろう!あ違うか。
うちにはメンズの、しかもあんなデカイ男が着られるような服なんか無いから、バスタオルだけを引っ掴んでバスルームに向かった。

ばったん!
荒々しくドアを開けるとそこには…
「おう、おせえじゃねーか」
「浴室で待ってなさいよバカァーッ!!!」
「いって、蹴ってんじゃねーよ!この男女!」
「うっるさい!」
全裸の青峰が仁王立ちしていた。
見てないよ!全然見てないんだからね!
このアホ峰が!

「あー食った食った、ごちな」
「おーそれはヨカッタデスネ、お粗末様デシタ」
お風呂でサッパリした上に、これでもかと大盛りに作ってやった炒め物をあっさりと平らげたアホ峰。
全くいいご身分だ。
私まだお風呂入ってないんだからね!
「なんで棒読みなんだよ、つか何キレてんだよ」
「…あんたいつまでパンツ一丁でいるわけ?」
引き締まり過ぎた体を惜しげもなく晒すの止めてくれないかね。
いくら私は真ちゃんラブだって言っても…
ドキドキするじゃんか!!
パンツ1枚でずっとうろつかれたら困る!
「ああ?しょーがねえだろ、服ねえんだからよ」
「は!?あんた部活しに行くのに着替えも持たないの?」
「あー、今日はやる気無かったし。昼寝してたっつったろ?」
「さっき着てたやつでも着…」
「やだ」
「…私、お風呂入る。んでもう寝る、すぐ寝る!」
「おー」
くっそ!
なんなの!
何回も確認しちゃうけどここ私の家だよね!
アホ峰馴染み過ぎなんだよ!寛ぎ過ぎなんだよ!
自分の家かよと突っ込みたくなるくらいリビングで悠々と寛いでいる青峰を放置して、やっとお風呂に入った。
が、眠気の方が勝っていてゆっくり入浴、というわけにも行かず…
早々に上がりさっさと着替えて、キッチンでミネラルウォーターを流し込む。
そこで、気付いた。
妙に静かだな…
「あれ、居ない」
キッチンにもリビングにも居ない。
トイレに居る気配もない。
…まさか。
ダダダダダッ
ばったん!!
「お前、もっと静かにドア開けらんねーのかよ」
「勝手に人のベッド使うなあぁぁあッ!!」
「ぐえっ!!お、おま!俺食ったばっか…うぐ!あいいえうあお(なにしてんだよ)」
勝手に寝室に入り、勝手に私のベッドを我が物顔で占領しているこのバカを見付け、馬乗りになって頬っぺたをギリギリと抓ってやった。
「あんたねぇ、これ私のベッドだからね!あんたは床に寝るの!客用の布団なんか無いんだから!つかまだパンツ!?いい加減にしなさいよコラ!」
「いてえな、馬鹿力。いいじゃねえかよ、布団くらい貸せって」
「はぁ!?あんた、悪いからリビングで寝るわとかちょっとは遠慮ってもんが無いの!?」
「気にすんなって。一緒に寝りゃいいじゃねえか」
「良くないわ!!」
額に青筋を立てる勢いで一気に捲くし立てる私…
そんなのお構いなしにこのアホ峰は…
「おー、なかなかいい眺めだな」
「は!?ち、ちょッ」
跨った私の腰とお尻に手を添えて…
さ、さわさわしやがった…
そういや私、いつも通りのキャミにショートパンツ…
一気に顔から体から蒸気でも出そうなくらい熱くなった。
何コレ超恥ずかしいじゃんか!!
「ちょ、こ、こ、こんの!ド変態があぁぁ!!!」
ゴッ!!!
「いっっってええええぇぇぇッ!!!」
「い、いた…」
渾身の頭突きを喰らわしてやったのはいいが、自分もダメージがでかかったという残念過ぎる私。
厄日だ。私が何をしったって言うの。
あー、涙が出て来た。
んでもって、もう、超眠い。ホント限界。。。
「も、いい。何でもいい。寝る。アホ、バカ、変態…ぅん」
ドサ…
頭突き状態から完全に脱力して、そのまま青峰の上に突っ伏して…
ブラックアウト。
ああ、いっぱい寝よう。
そして目が覚めたらきっといつもの朝なんだ。


「いってぇ。つかこの状態で寝落ちとかマジかよ。」
「ぐぅ」

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