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第25Q

「ってーな、足踏み付けるとか凶暴過ぎんだろ」
「うるさい!どう考えてもあんたが悪い!」


大輝の腕からやっとの思いで抜け出して、せっかくお風呂に入ったのに疲れている私。
誰のせいだ、誰の…。
ミネラルウォーターを飲んで歯磨きをして後は寝るだけ。
疲れたので先に転がっていようと寝室に向かった。
「あ」
そこには、私がここを飛び出す前に綺麗に敷いておいたはずのお布団が無かった。
あるのは以前と変わらないシングルベッド1つ。
部屋を見渡してみたけどお布団は影も形も無い。
「何処に片付けたんだろ」
不思議に思いながらも私はベッドにごろんと横になった。
やっぱり自分のベッドが一番落ち着く。
そして、当然のように大輝の場所を開けている自分に気付いて苦笑する。
大輝がお風呂上がるのを待っていようと思っていたけど、瞼がどんどん重くなってきてそういうわけにもいかなそうだ。
いつの間にか睡魔に誘われるように夢の中に沈んでいた。
ああ、ほら。
またあの夢だ。
『あれぇ〜?峰ちん凄い顔で走ってるよ〜』
『紫原、青峰の顔はいつもこんなものなのだよ』
『必死って事だな。面白い』
『ねえねえ、こっちは手え繋いでるよ〜』
『仲直りしたんだろう』
『全く、人騒がせなヤツなのだよ』
『あー、黒ちんの写真もあるよぉ』
『テツヤのもか?どんな写真だ?』
『綺麗なおねーさんと一緒〜』
『く、黒子まで…』
『またそれは興味深いな。テツヤが桃井以外の女子と居るなんて』
『黒子の顔が赤いのだよ』
『うわー、おねーさんに何かされたんじゃないのー?』
『む、紫原!何を言っているのだよ!!』
『だーからー、みどちん興奮し過ぎー』
『だから!興奮など!!』
『2人共…涼太は?』
『何?黄瀬?』
『あれぇ?さっきまでそこで一緒に写真見てたよ〜?』
『…居ないな』
『全く!!どいつもこいつも勝手なのだよ!!!』


「…ん」
「お、名前。起きたのか?」
「…大輝?」
「おー。多分まだ30分も経ってねーぞ」
大輝を待ちながらやっぱり寝てしまっていたらしい。
そんな短時間で私夢を見てたんだ。
お風呂上りでホカホカしている大輝が私を抱き締めていた。
いつも鋭い目が今はトロンとしている。
大輝も眠いのかな。なんか可愛い。って私これ重症?
ぼーっとその瞳を見つめているとゆっくりと顔が近付いて来る。
「ん」
鼻と鼻がそっとぶつかりそこから顔を傾けて…びっくりする程優しいキスをして来た。
私の頬に添えている手も優しい。
「どしたの」
「別に。したかったからした」
「ふふ、随分大人しいからどうかしたのかと思った」
「…もっと」
「ん」
「名前、んっ…」
「ふ、っん…大輝…好き、だよ」
「!!あ、煽んじゃねーよ」
「好き」
「っ」
「大好き」
「名前っ…もうぜってーあんなヤツんとこ行くなよ」
「あんなヤツって…夏村さんの事?」
「名前も呼ぶな、胸糞わりぃ」
「何?ふふ、ヤキモチ?」
「アイツの布団で寝たとか、まじふざけんなっつの」
「ふふふ」
「何笑ってんだよ、お前もうぜってー離さねーかんな」
「ぶっ!ちょっとそのセリフ恥ずかしいから」
「ああ?お前は俺とずっと居りゃいいんだよ!」
「…居るよ。ずっと一緒に居る」
「…もっかい」
「え…んんむっ」
先程のとは対照的に今度は激しく重なる唇。
頬に添えられていた手もいつの間にか背と腰に回り、ぎゅっと強く引き寄せられた。
狭いベッドの中でこれ以上くっつけないってくらい密着している2人。
止まりそうにないキスに息をするのもやっとだ。
大輝の足が私の両足の間に割って入って来た。
そして服の裾から背中に手が侵入し、直接素肌に触れた。
「んっ」
「っはぁ。名前」
「大輝っ」
「ん、今日は…やんねーから…触らせろ」
「は!さ、触るって…あ、っん」
キスをしながら背中や腰やお腹、脇や二の腕の辺りなどを感触を確かめるように直接触れられた。
全身がビリビリと痺れるような感覚にどうにかなりそうだ。
大輝は目を細めながら私を見つめ、キスを繰り返す。
そしてそっと唇を離すと、今度は首や鎖骨に印を付け出した。
「や、ちょっと…あんま見える所は!っあ」
「るせー、見えなきゃ意味ねーよ、んっ」
後で見るのが恐ろしいくらいあちこちに甘い痛み。
やっと満足したと思えば次は更に下に…
服をたくし上げて胸元にそっと唇が当たる。
反射的にビクリと震えたけど、それに気付いたのか優しく背中を擦る大輝。
ちょっと気を抜いた瞬間ビリっと痛みが走った。
それからも止まる事なく、胸にもお腹にも腰にも、背中や腕や脇にさえも印が刻まれた。
「だ、大輝。も…恥ずかしいから」
「しょうがねーな。病み上がりだしな。今日はこれで我慢してやるか。おー、よく耐えたぜ、俺の息子」
「…はぁ。何バカな事言ってんのもう」
「なんだよ、物欲しそうな顔してよ」
「し、してないから!」
「最後に…もっかい」
ちゅっと音を立ててキスされた。
離れていく瞬間ニッと笑った顔が、純粋にバスケを楽しんでいた時のあの大輝の顔と重なって、ドキドキと胸が高鳴った。


「もう、嫌だっつったって離してやんねーかんな」
「私だって、離れてなんかやらないんだから」

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