「うちの大輝が大変お騒がせしました」
「おめーはかーちゃんか」
「ってわけなんだよ」
『なーんだ。青峰っち見付かったんだし良かったじゃん、特に問題起きなかったんでしょ?』
「まあね。夏村さんと接触しちゃったのは予定外だけど」
『あー。弟って信じて手懐けようとしてくるかもね』
「怖!!あ、黒子くんにもお礼言っといてくれる?」
『うん、分かった。伝えとく』
「むふふ、テツくんにヨ・ロ・シ・ク!」
『何それキモイから!あんまからかうと後が怖いよ』
「あはは、ごめんごめん」
「おい、名前!もう寝んぞ!早くベッド来いって」
「は!!」
『…名前ちゃん?ちょっと?』
「え、ん?何?」
『あ、あんたたち…一緒に寝てるの!?』
「いや、ちょ、違う!いや違くは無いんだけど、あの、色々と事情が」
『きゃああああ!何!どしたの!真ちゃんは!?』
「いや、だから!奏ちょっと落ち着いて!」
『これが落ち着いて居られるか!私たちだって別々に寝てるのに!ねー、テツ!』
「ぎゃあああああッ!黒子くんそこに居るの!?いい!言わんでいい!!」
「テツがどうしたって?おい、俺もうねみーんだけど。早く(バシッ)いってえ!」
『きゃーん!旦那が待ち草臥れてるわよ!早く行ってあげなさい!』
「ああ、もう嫌…この人たち」
『うっふふ〜。おやすみぃ』
「…おやすみ」
奏、完全に誤解してる。
そして楽しんでる。
一緒に寝るんじゃなくて、私はこれから抱き枕という物と化すんだってば。
ジロリと元凶である青頭を睨み付けた。
「んだよ、いきなり頭殴りやがって。さっさとこっち来いって。」
「…はぁ」
「ほれ」
布団上げて自分の隣をトントン叩く青峰。
これがカップルでもあればそれはそれはウフフな時間の始まりだ。
ガックリと肩を落としてのそのそとベッドに潜り込み、壁際に身を寄せる。
そうすれば上がる不満の声。
「おい、それじゃ抱き枕になんねーだろ」
「…(このやろう)」
「ほれ、もっとこっちだって」
「ちょ、わわ!」
ぐいっと引っ張られて、すっぽりと青峰の腕の中に収まった。
コイツの抱き枕というのは非常に不服だが、この大きな腕の中の居心地はそんなに悪くはない。
絶対真ちゃんの方が包容力あるけどねっ!
「おー、いいじゃねーか。これこれ」
「完全に物扱いだよね」
「ああ?枕は大人しく抱かれてろよ」
「…超複雑。つか足乗っけるのやめてくれる?」
「はぁ?抱き枕っつったらこう使うだろ」
「重いんだよ!あんた図体デカイんだからちょっと考えて!って足絡めてくんなぁッ!!」
「んだよ、うっせーな。くぁあ、俺もう寝んぞ」
「自由過ぎるだろ!…はぁ、もういいです、おやすみなさい」
「ふあーぁ、おやすみ」
…毎晩、毎晩これなのか。
私に休息の場は!?
あ、もう寝てるし。
うーん。悔しいぞ、私も眠くなって来たじゃないか。
昨日も無理矢理抱き枕にされた割にすんなり寝られちゃったし。
嫌な事されても結局落ち着いちゃうとか…
ちょ、私M!?
いやいやいや、駄目だ。
コイツのせいで私ちょっとおかしくなってるんだよ、そうに違いない。
寝てしまおう!
どうせならこっちも利用してやろうじゃないか!
はぁ…ホント眠くなってきた…おやすみ。
あ、この感じ。
また…夢だ。
『あ、まだ写真あるッスよ?』
『大輝はこの子がきっと大好きなんだね。とても大事そうに抱えてるじゃないか』
『青峰っちは堀北マイちゃん一筋じゃなかったんスね』
『何にしても破廉恥なのだよ!まったく青峰め、練習をさぼってこんな事を!』
『えー?そんな事言いながら緑間っち写真見過ぎッスよー』
『なっ!見てなどいないのだよ!!』
『ただいまぁー、まいう棒買い占めてきたー。ん?みどちん何で赤くなってんのー?』
『赤くなどなっていないのだよ!!』
『真太郎、興奮し過ぎだ』
『こっ!?あ、赤司!』
『んー。青峰っち羨ましいッス。俺も癒されたいッスー!』
『涼太は常に女子に囲まれているだろう』
『そういうのじゃなくて、癒しが欲しいんスよ、癒し!』
ん?これって前に見た夢の続き?
話が繋がってるよね?
こんな事ってあるの!?なんか凄い!
キセキの皆かわいいなぁ。
なんて言ってもやっぱ真ちゃんだよねー。
いちいち反応が可愛いんだから!
こんな夢ならいつでも大歓迎だな!
なんなら高尾くんとか笠松先輩とか、もう皆ウェルカムだわ!
「あおみね、うーん…ばぁか…ぐぅ」
「んあ?…くかぁっ」
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