蘭丸くんの災難 | ナノ

騒音公害

「あ!おはよう、肉食獣!」
「あ?」
朝ゴミ捨て場にゴミを運びに行こうとしたら、なんつったか…隣の女が同時に部屋から出て来た。
朝からウザってえ。
やけに目をキラキラさせてこっちを見てきやがる。なんだってんだ。
「名前!聞いてなかった!教えて!」
「断る。俺はご近所よろしくする気はねえ」
「えー、つまんないの」
「はぁ?つぅか着いてくんじゃねえよ」
「私もゴミ捨てだし!あ、何?ついでに出してくれるの?ありがとう!じゃ、よろしくー!!」
「は!?おいっ待てこら!…はぁ?」
最悪だ。
あの女!マジでゴミ置いて行きやがった!
帰ってきたらただじゃ置かねえ…って、否、放っとくべきだな。
これ以上関わるのはごめんだ。

ドタドタッ!
ガンッ!!
ズズズズ…
「…」
ドンッ!
「…」
ドタドタッ!
ガッタン!
『ぎゃっ!』
「…」
『いったぁあああ!!』
「うるせえええっ!!」

ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン!!

『はぁーい!!』
ガチャ
「うるせえんだよ女!!夜中に何やってんだコラ!」
「あ!肉食獣!」
「肉食獣じゃねえ!黒崎蘭丸だ!…は!!」
「おー!蘭丸っていうんだ!自己紹介ありがとう!」
「してねえよ!つかお前何やってんだよ!物音だ叫び声だうるせえんだよ!」
「あー、ごめん!まだ荷解きと家具の配置終わってなくて」
「んなもん日中やれ!」
「それは無理!日中仕事だし」
「じゃ朝やれ!」
「それも無理!バイトだし」
「はぁ?ふっざけんなよ!こっちは迷惑なんだよ!」
「えー、そんな事言われても…んー、ああ!」
「あ?」
「蘭丸!手伝って!今!」
「はぁ!?」
「ね!そしたらすぐ終わるし明日からうるさくない!ね!」
「はっ、やだね。俺はこれからやる事があんだよ」
「…美味しいお肉が手に入ったんだけどなぁ」
「…」
「こないだのより上質な」
「…」
「脂が乗ってて…」
「家具、何処に動かすんだよ」
「あは!毎度っ!」
「チッ」
食いもんに吊られたんじゃねえぞ!
毎日夜中に物音立てられるよりマシだと思っただけだ!

「蘭丸!ありがとう!助かった!」
「…別に」
「ご飯!一緒に食べよう!」
「あ?別に要らねえよ、もう深夜だしな」
「あら、お腹空いてない?」
「今はいらねえ」
「そっか。じゃあ、今度誘うから!お礼!」
「…勝手にしろ。もう帰る」
「ん、勝手にする!」
「じゃあな」
「あ!待って!私、苗字名前!」
「前にも聞いた」
「お前じゃないからね!」
「うっせえ、知るか」
「あはは!じゃあね、蘭丸!おやすみ!」
「…おー」

なんなんだあの女。
馴れ馴れしいわ騒がしいわ、迷惑なやつ。
つか俺の事知らねえのかよ!
ギャーギャー騒がれるよかマシだけどよ。
はぁ。
とりあえずこれでゆっくり作詞が…
ゴンッ!!
『いったあああ!!』
「ッうっせえええ!!!」

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