年上に恋した跡部のお話 | ナノ

鳳家



「ファーッハッハッハッハ!!!」
ついに、ついに見つけたぜ!名前!!
こんなに近くに潜んでいやがっとたはな!!
鳳のヤツは無罪という事にしておいてやる。
実の姉じゃねえんだから、まあ分からなくても仕方ねえ。

「おい鳳、帰りに俺様を名前の家に連れて行け」
「ええっ!?そ、それはちょっと」
「あーん?」
「え、や、あの…姉さんに確認しないとそれは」
「今すぐ確認しろ」
「う、なんて説明すればいいんでしょう」
「氷帝の跡部がわざわざ会いに行くから待ってろって言やいいだろ」
「ええっ、それじゃ姉さんきっとキレ…お、怒ると思います」
「ハッ!上等じゃねえの!」

結局渋る鳳を押し切って名前の家に行く事にした。
あの女が返さなくていいと言っていた傘ではなく、既に俺様直々に選んでやった物を持参している。
ありがたく思えよ。
俺と鳳を乗せた車は住宅街のある一角で停車した。
「ふんっ、ここか」
「は、はい…」
表札には『苗字』という文字。
あの女は苗字名前と言うらしい。
今まで何の情報も掴めなかったってのに、今日は最高の1日じゃねえの!
「跡部さん、姉さんはまだ帰らないと思いますが」
「あーん?…だったらお前の家で待つ、すぐそこだろ」
「ええっ!?!?」
「なんだ、都合でも悪いのか?」
「いや、その…」
「なんだ、ハッキリしねえな」
「っ、分かりました」
「ふんっ、さっさと連れてけ」
ここでも渋る鳳を不審に思いながらも、鳳家に足を踏み入れた。
母親は出掛けているらしく、鳳が紅茶を用意してリビングで寛いでいた。
1時間くらい経った頃、玄関が開く音がした。
母親が帰って来たか?
チラリと鳳を見るとどうも顔色が悪い。
「おい鳳、お前顔が青いぞ」
「えっ!そ、そうですかっ」
「ただいま、長太郎!誰か来てるの?」
「!?」
「…」
玄関で響いた声に異常な反応を見せる鳳。
あーん?母親じゃねえのか?
パタパタというスリッパの音が聞こえてすぐ、リビングの扉が開かれた。
ここはしっかり挨拶しとくか。
「お邪魔しております、テニス部部長の跡部で…っ!?」
「ん?」
「姉さんっ!あのっ」
「お前はっ!!!!!」
「あれ、あの時のワンちゃん!!」
「!!」


知りたい事は山ほどあるがとりあえず
「俺様は犬じゃねえっ!!!」



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