いるから。 | ナノ

06

お盆休み返上で働き続け、ついに今日はお疲れ会。
明日から待ちに待った丸っと1週間の休暇だ。
頑張って良かった!!
まずは満足するまで爆睡してやるんだから!

あのリストバンド以来、何も消えなければ何も現れなかった。
ホッとしたような拍子抜けしたような、なんとも言えない妙な感じになっている。
怪奇現象が無くなったのだからここは喜ぶべきだと思うのだが。
「おー!苗字お疲れ!飲んでるか?お前もよく頑張ってくれたな〜、よしよし」
「柊さん、お疲れ様です。もう酔ってますね、子供扱い止めてください」
「いいじゃねえか今日くらい!俺だってめっちゃ頑張ったんだからな!俺こそ誉めて貰いたいってーの!誉めろ!ほら!!」
「…酔いすぎです。モテ男で通ってるんですから、壊れる前に飲むの止めた方がいいですよ、はいヨシヨシ」
「別に不特定多数にモテたって意味ないだろ、自分の好きなヤツに好かれなきゃよ」
「えー!柊さん好きな人いるんですか?」
私の声に部屋中の女性陣が反応し、柊さんは男性陣に取り囲まれて事情聴取だ。
柊さん、私悪くないですからね。
気を取り直して同期たちと飲み始めた。
私も正直お酒は得意ではないのだが、今日は特別だ。
なーんて浮かれていたら、案の定いつもより早く酔いが回ってフラフラ。
一次会でお暇する事にした。
柊さんが送る送るとうるさかったのだが、彼も相当酔っていたので丁重にお断りした。
「たーだいまぁーって暑いうげぇ」
ふらふらと覚束ない足取りで帰宅。直ぐ様エアコンのスイッチを入れてからキッチンへ辿り着き、ミネラルウォーターをごくごく飲み下す。
「っぷはー!水!うま!あー、しんど!!」
そのままリビングに向かい、ソファーにダイブした。
だらしなく背もたれに引っ掻けてあった部屋着に、もそもそ体を動かしながら着替える。
「はー、もうホント私お疲れー頑張ったー!もう心行くまで寝るしかないよね!」
キッチンの電気だけの程好い暗がり。
エアコンも効いてきた所に、疲れと酔いで眠気もMAXだ。
ソファーが大きいのをいいことに、仰向けに寝転がって寝る準備万端。
「おやすみ、な、さい…」
一気に意識が遠退いた。

ドサァッ!!
「ぐぇっ!!」
………
「んー、ちょっと、重…」
ふわふわした意識の中突然の重みに変な声を上げた。
覚醒しかけるも、エアコンで冷えた体にのし掛かる心地好い温かさにまた意識が遠ざかった。
「ん…あったかい、な」

(突如感じた温もりに包まれて)
(優しい夢を見た)

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