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唐突

あれから…
青峰くんと海に行った日から2ヶ月。
季節は暑い夏から秋を過ぎて、寒い冬を迎えようとしている。
青峰くんとは会ってない。
連絡も取ってない。
私からもしないし、勿論向こうから来る事も無かった。
さつきちゃんが心配して何回も連絡をくれたのだけど、大丈夫って言って誤魔化した。
今、冬の大会に向けて部活で忙しいさつきちゃんは会う余裕もないみたいでちょっとホッとしている。
相変わらず青峰くんは部活に出てないみたい。
あの日の私の余計な言葉が更にそうさせてしまったのだろうか。
今日もいつもの退屈な授業を終えて帰り支度をしていると携帯が震えた。
着信。
さっき早々に帰って行ったクラスの友達だった。
『もしもし!名前ちゃん!?』
「うん?どうしたの?何か忘れ物?」
『違う違う!今すぐ校門来て!』
「え?私今から図書室に本返しに…」
『いいからすぐ来てよ!!』
「なんで?」
『桐皇の制服の超背高い色黒イケメン!名前ちゃんの彼氏!?』
「!?ち、違うよ」
『苗字名前ってヤツ今日来てるかって聞かれたんだけど!』
「ごめん!用あるからもう帰ったって言って貰えないかな?」
『ええ!?なんで!喧嘩中なの?』
「いや、そうじゃなくて…とにかくお願い!」
『んー、分かった。でもずっと待ってたみたいだけどいいの?』
「…うん。ごめんね」
『分かったよ。じゃ、また明日ね!』
「うん、ありがとう。バイバイ」
通話を終えて大きく息を吐いた。
なんで青峰くんこんな所まで…
携帯に連絡すればいいのに。
私、会ってちゃんと話せる自信ない。
図書室で時間潰してから帰ろう。
青峰くんの私を拒絶するようなあの表情を思い出して苦しくなってぐっと目を瞑った。

特に読書が好きなわけではないけど、気になって読み始めたシリーズ本を読み終える頃には18時を回っていた。
外はもう暗い。
トボトボと校門までの道を歩いた。
体育館からはバスケ部の掛け声が聞こえる。
大我くんたち頑張ってるんだろうな。
そう思いながら校門を通過しようとした時、突然現れた大きな手に腕を掴まれた。
「っ!?」
「おい!…俺だ」
「!!青峰くん!?」
もうとっくに帰ったと思っていた青峰くんが鼻を啜って立っていた。
まさかこの寒い中ずっとここに居たとか…
「あー、さみぃ…どっか行こうぜ」
「行くって、何処に…っ!」
腕から滑り降りる様にして私の手を取った青峰くんの手は、まるで氷でも触ってるみたいに冷たい。
思わず両手で包み込んでしまった。
「うぉ!なんだよ」
「冷たい!!風邪ひくよ!!」
「別にへーきだろ」
「…ずっとここに居たの?」
「…」
「…」
お互い動かないまま視線が絡み合う。
先に逸らしたのは青峰くん。
何も言わずに私の手を引いて歩き出す。
私はわけも分からず、少し前を歩く青峰くんの大きな背中を追い掛けた。

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