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青と会話

4人で過ごす事となった大我くんのお祝いデーから数日が経とうとしている。
大我くんは毎日バスケの練習に励み、青峰くんは…相変わらずあまり部活に顔を出さないらしい。
さつきちゃんが『名前ちゃんのメアド教えたのに!!きぃーっ!!』って怒ってた。
そう。
私は青峰くんとメールをしたり電話をしたりするようになった。
って言っても私からはなんとなくし辛くて、自分からした事は一度もない。
その事でいつも文句を言われるけど。
この間青峰くんの懐かしい笑顔を見た時から、なんだか少しだけ意識してしまってどうにも上手く立ち回れない。
1人悶々としながら夏休みの宿題に向き合っていると机の上に置かれた携帯が震えた。
着信、青峰大輝。
「…もしもし」
『出るのおせーよ』
「…何か用?」
『あ?用がねーとしちゃいけねーのかよ』
「私今宿題やってるんだよね」
『へー、そりゃご苦労なこった』
「青峰くんもやった方がいいんじゃない?どうせ手つけてないんでしょ」
『さつきみてーな事言うんじゃねーよ』
「…部活にも行ってないみたいだし」
『それはお前に関係ねーだろ』
「…」
部活、バスケの事に触れるとコレだ。
これ以上この話を続けると不機嫌になるのでいつもすぐに諦める。
さつきちゃんは毎日ホント大変だな。
青峰くんからしてみれば確かに私には関係の無い話だ。
『関係ねーだろ』なんて言われたら私だって結構傷つく。
まあ、彼はそんな事考えもしないんだろうけど。
『お前、今度いつ暇?』
「暇ない」
『はぁ?時間なんていくらでもあんだろーが』
「青峰くんと遊んでる暇はありません」
『てめえ…そればっかじゃねーか』
「だって、私たちって…何?」
『は?何ってなんだよ』
「私は大我くんのご近所さんでクラスメイトでお友達。さつきちゃんのお友達。青峰くんて何?…あ」
しまった。
つい思っていた事がポロっと出てしまった。
とは言え本当の事だ。
青峰くんにとって、私ってなんなんだろう。
『お前、めんどくせーヤツだな』
「!!…めんどくさい…」
『いちいちそんな事考えてんのかよ』
「…悪いですか」
『そりゃお前の勝手だけどよ…別になんでも良くね?』
「は?」
『関係性なんかどーでもいーだろっつってんだよ。暇だしお前と遊びてーから遊ぶ、それでいーだろ』
「………」
『あ?何黙ってんだよ』
「なんか、拍子抜けした」
『はぁ?意味分かんねーよ』
「私もよく分かんない」
『お前宿題やり過ぎて頭イカレたんじゃねーの?やっぱここは気晴らしに遊ぼーぜ』
「はぁ…分かったよ。いつ?」
『今』
「ええ!?却下」
『んだよ、つまんねーな』
「宿題やってるって言ったでしょ」
『イイ子ちゃんだなオイ』
「青峰くんがバカなだけだよ」
『てめえそれ以上言ったら飯奢らせるぞ』
「意味が分かりませーん」
こんな感じで青峰くんとダラダラと話していたら、結局宿題はほとんど進まずに日が暮れてしまった。
怖い、2時間も電話なんてした事ない。
…青峰くんの携帯代が心配だ。
『関係性なんかどーでもいーだろっつってんだよ。暇だしお前と遊びてーから遊ぶ、それでいーだろ』
私は電話を切ってから、青峰くんが言っていた事を思い出していた。
あの言葉も、昔の私の知ってる青峰くんを思い起こさせる。
やっぱり根本は変わってないんじゃないかって、ちょっとだけ嬉しくなった。

『ねえ。なんで沢山教えてくれるの?』
『だってお前下手くそじゃん』
『そういう意味じゃなくて!…上手な子たちあっちにいっぱい居るし、あっちでやってくればいいのに』
『別にいーだろ、俺がここでやりたいからやってんだし』
『そう、なの?』
『バカみてーにすっげー下手くそなお前を上達させたら俺すごくね?』
『ば、ばかみたいに…』
『だからお前は黙って俺に教わってればいーんだよ!』

思い出して笑みが零れた。
性格、変わってない。
あんなに沢山会って喋っていたのに、私なんで名前聞かなかったんだろう。
急に決まった引っ越しで結局名前も聞けないまま、サヨナラも言えないままお別れになってしまった事はずっと悔やんでいた。
まあ、彼にしてみれば暇つぶしだったわけだから大した事じゃなかったんだろうけど。
…今の青峰くんは私の事少しも覚えてないのかな。
ちょっとだけ寂しい。

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