kirakira | ナノ

青と桃と赤と私

水族館を後にした私たちはファミレスに居た。
私の右隣に大我くん、大我くんの前にさつきちゃん、そして私の目の前には青峰くんが座り、なんとも言えない微妙な空気が流れている。
さつきちゃん、なんで一緒にご飯なんて言い出したの!!
この2人見るからに気が合わないよ。
はぁと小さな溜息をついてさつきちゃんを見ると、ごめんねと言いたげな表情をしている。
もう!!さつきちゃんってば、そんな顔したって…可愛いから許しちゃう。
「おい火神、お前水族館で堂々デートとか余裕じゃねーか」
「うるせえな。今日は俺の誕生日の祝いにって名前が誘ってくれたんだよ」
「…誕生日の、祝いだあ?」
「あ、そうか!火神くんの誕生日は8月2日だったね」
「さつきちゃん、ホントになんでも知ってるんだ…」
「へー。名前、お前コイツのどこがいいわけ?」
「ちょっと!青峰くん!」
「っるせーな、さつきは黙ってろ」
「ど、何処がって…大我くんは優しいよ?」
「な!?…名前っ」
「はっ、女にヘコヘコしてるとか火神だっせーな…顔赤くしてんじゃねーよ、キモ」
「っんだと!?」
「青峰くん!喧嘩売らない!!」
「ああ?ホントの事だろ」
「…少なくとも、今の青峰くんよりは笑顔がかっこいいと思うけど…あ…」
「(ひーっ!名前ちゃん!!)」
しまった…。
さつきちゃんの顔が引きつってる。
大我くんは優しいし笑顔も可愛いよなって考えてたら、昔の青峰くんの笑顔思い出してた。
う、うわ…つい口走っちゃったけど結構失礼だったかも。
「…名前、お前…」
「え、や、あ、ごごごめん!今のはそのっ」
「名前、お、落ち着け」
「う、うん、だから…青峰くんを否定してるんじゃなくて、あああえっと普通に笑ったら可愛いんじゃないかとかそういう事で…あ…」
またなんか余計な事だったかも!
私のバカ!
なんで1人でこんな慌ててるの!
なんか、顔上げられない…。
「青峰が可愛い!?名前の想像力ってすげえな!」
「え!火神くんの関心はそこ!?」
「いや、だって…青峰が笑って可愛いとか普通想像でも考えるかよ!」
「あはは!そこは女子的観点だよね!まあ確かに昔の青峰くんの笑顔は可愛かったかなぁ」
さつきちゃんと大我くんのやり取りを耳に入れながら、一言も発しない目の前の青峰くんをちらりと盗み見てみる。
「っ!?」
「…」
青峰くんの目は私をじっと見つめていた。
い、いつから!?
そして私の気のせいじゃなければ…ちょっとだけ、頬が紅い、ような気がする。
「あ、青峰くん…」
「!?あ?なんだよ」
「い、いや…なんでもないデス」
「っつーかお前!なんでメールして来ねーんだよ!!」
「青峰くん…私メールするなんて一言も言ってない」
「あ?あー、それから名前!それ止めろっつったろ」
「名前?だからそれは無理だって…」
「無理でも何でも言え!」
「無理」
「なんだとてめえ!」
「ちょ!怒らないでよ!」
「青峰!そんな事でキレんなよ!」
「そうだよ!青峰くん!好き勝手言い過ぎだよ」
「ああ?元はと言えばさつきがわりーんだろ!」
「ええ!?人のせい!?メアドは青峰くんがこないだ聞いて来れば良かったんじゃない!変なとこで意地張るんだから!」
「んだとコラ!!」
「きゃあ!火神くん助けて!!」
「お、俺!?」
「ちょ、ちょっと3人共!!周りの人見てるから!!」
「あ、ごめん…名前ちゃん」
「ふんっ」
店員さんが困った顔をしながら料理を運んで来た。
申し訳ないし恥ずかしい。
こんな感じで…大我くんと2人での予定だったランチは、青とピンクと赤い頭に囲まれて妙な雰囲気の中のランチとなった。

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