unstoppable2 | ナノ

6OT

『I wonder if she found room?』
「…どう見ても大輝の部屋こっち」


そっと鍵を開けてお邪魔した。
「お邪魔しまーす、お」
部屋はエアコンが効いていて程良く涼しい。
部屋中を見渡してみた。
キッチン、リビングは結構綺麗に片付いている。
その奥に扉が2つ。
片方はしっかりと閉じられて、もう片方は少しだけ開いていた。
ノアだったらごめんなさいと思いながら隙間から覗くと、その心配は杞憂に終わる。
「うはぁ、きったな…」
大輝の部屋で間違いない。
脱いだ服や部屋着、雑誌が散乱して正に足の踏み場も無い状態。
持って来た荷物を部屋の隅に置いて気合を入れる。
脳内で大掃除開始の笛が鳴った。

暫く片付けていて気付いた事が1つ。
「あれー。エロ本とか無い」
絶対持ってると思ってたのに。
意外と海外のボインには興味無いのかなとか思ってみたり。
妙な思考に走った頭をフルフルしてお掃除再開だ。
服の山以外は片付いた。
掃除機をかけ終えて後はその服の山をやっつけるだけ。
よっこらしょとベッドに腰掛けて1着1着服を畳んでいると、山の中から桐皇のジャージが現れた。
これ着て3年間頑張ったのかな、ふとそんな事を考える。
会えない間に大輝の世界では2年も経過していたから、その雄姿を目にする事は出来なかった。
ジャージをぎゅっと抱き締めると、久しぶりの大輝の匂い。
そのままゴロンとベッドに横になれば、全身が大輝の匂いに包まれた。
凄く心地よくてまるで大輝に抱き締められてるみたい。
「って…変態か私は」
ちょっとだけ横になるつもりが、少しずつ眠気がやって来る。
時差と暑さと、慣れない土地での1人が堪えたのか、気付けば私はぐっすりと眠ってしまっていた。

ガタン!!
大きな物音に反応してうっすらと目を開けた。
ぼんやりとしていると、大きな声が響いた。
「ちょ…は!?名前!?」
「…ぅん?」
寝惚け眼でドアに顔を向けるとそこには、細い目をこれでもかと見開いている大輝が立っていた。
「大輝、おかえり」
「な、おま、マジかよ!!」
「へへ。遊びに来てしまいました」
「はぁ!?遊びにってお前…」
相当驚いたみたいだ。
本当はケーキの1つでも買って来て待ってるつもりが、寝ちゃったせいで出来なかったけどとりあえずサプライズ成功だ。
私も大輝が来た時は相当驚いたのだ。
いい仕返しになったかな。
上半身を起こして大輝を見つめて、今日一番伝えたかった事を口にする。
「大輝。誕生日、おめでと!」
「っ名前!!」
「会いたかった!!」
「んの、バァカ!!」
両手を広げて微笑めば巨体が飛び付いて来た。
もう…可愛いじゃないか。
すりすりと頬を摺り寄せて私の匂いを嗅ぐ大輝。
犬みたいだ、擽ったい。
「大輝。ちょっと待った!く、擽ったいっ」
「るせーよ!ちょっと嗅がせろ」
「変態発言!」
「言ってろバカ」
「ほ、ほら!誕生日だからプレゼント持って来たんだよ!荷物の中にっ」
「あ?プレゼント?そんなもん後でいい」
「ええ!?」
「先に別の貰うからいい」
「は?」
「俺が今一番欲しいもんだよっ」
「っわ!ぅん!!」
ぶちゅっと音でもしそうなくらいに勢いよく重なった唇。
久しぶりの大輝のキスだ。
なんて幸せを噛み締めてみる。
一方の大輝は余裕の無い表情で何度も何度もキスをせがむ。
私にだって余裕なんて無いけど。
こんな風に求められるのはやっぱり嬉しい。
つい口元が上がる。
「何、考えてんだよ」
「っん、大輝の事」
「!!お前、なんなの」
「会えて嬉しいんだもん」
「な!す、素直なお前とか、キモ」
「キモくて結構。いいの、やっと会えたんだから」
「…お前、今日寝れると思うなよ」
「ええ!何それ怖い!!」
「とりあえずもっかい」
「ん!」


「なんで部屋に居るか聞かないの?」
「それは後で、な」

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