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第7Q

「やっべー、ムラムラしてきた」
「は!?」


週も後半木曜の夜、すやすやと眠る涼太の反対側で不穏な声が漏れ聞こえた。
ギギギと音がするような動きで首を動かし目を合わせれば、悪びれた様子もなく真顔でもう一度…
「だから、ムラムラしてきた」
「いや、そんな真顔で言われても!」
「はぁ?黄瀬が来てからしてねーじゃんか」
「ちょ!露骨!!てかシーッ!!」
「んだよ、ケチケチすんなって」
「ひゃ!ちょっと!」
「…んー、うーん」
「「!!」」
「…」
「無理だってば(ひそ」
「ああ?じゃあこれからずっと我慢しろってのかよ(ひそ」
「そ、それは仕方ないっていうか…(ひそ」
「無理、ちょっとこっち来い」
「え、へぶっ!!」
凄い力で引き寄せられて顔が胸にぶつかって変な声が漏れる。
そんな事お構いなしにそのまま抱き起されて、抱えられるようにして寝室を出た。
連れて来られたのはリビング。
ソファになだれ込むように押し倒されてそのまま唇を塞がれる。
全く余裕の無い、息を荒げたキスが次々と降って来る。
「ん!だっ大輝!」
「っるせ!ん、う」
唇を合わせながら大輝の手は私の体を這い回る。
パジャマのボタンを外そうとする手を押さえて遮ると、目の前にある眉間に皺が寄った。
「ん、邪魔」
「んぅ!」
パジャマの裾からするりと手が滑り込んで来て声を上げれば、今度は上機嫌に目が細められた。
そしてやっと唇が離されたと思ったら首筋、耳の下辺りにチリッとした痛み。
ペロリと舐められて体が震えた。
その時、
「んー?名前っち?青峰っちー?どうかしたんスかぁ?」
「「!?」」
救世主!いや、この場合…
「てめえ、黄瀬」
「あ!青峰っちー!こんな夜中に何してんスかぁ」
「りょ、涼太…」
「あれ、名前っちまで?」
「黄瀬、てめえマジでシメる」
「ええ!?なんなんスか!!」
「ね、寝よう!ね!もう寝よう!」
「名前…お前も後で覚えとけよ」
「…」
そのままトイレに向かった大輝を、全力で見なかった事にしたい。

翌日。
物凄く不機嫌な大輝が涼太を連れて(いや、引き摺って)家を出て行った。
よく分かんないけど頑張れ涼太。
今日は金曜なので奏と飲む約束をしていた。
仕事を終えて急いで飲み屋に着くと、既に席で待つ奏を発見。
手を挙げて私を見る奏の目は言わずもがなニヤニヤしている。
「よっ!お疲れ!両手にイケメン!!」
「完全に楽しんでるよね〜」
「これが笑わずに居られるかぶはは!」
「真面目に頼みますよ奏様」
久しぶりに顔を合わせたっていうのにコレだ。
とりあえず乾杯をして飲み始める。
「で?どうなのよ?問題ない?」
「…ないと思う?」
「まあ、あるだろうね」
「んー」
「せっかく青峰っちとラブラブになった所に落ちて来たわけだし?」
「!そ、そういう意味じゃ…いや、まあ、うん」
「青峰っちが大丈夫?ってとこだね」
「さすが奏様です」
昨日の今日で、核心を突く奏はさすがだ。
別に涼太が邪魔だとかそういう事じゃないんだけど、あの万年発情期が爆発するのが怖い。
ていうか既に昨日暴走したし。
それよりも、だ。
今のこれはどういう状況なのかっていう事が重要だ。
あれ以来妙な夢は見ていない。
あの夢に関係があるなら、次に何が起こるのかが分かりそうなのに。
まあ夢なんだから見たいと思う時に見れるわけもないのだけど。
モヤモヤとした思いを抱えながら、奏と語り合う金曜の夜。


「しかし愛されてんね〜、こ・こ!」
「!?」

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