unstoppable2 | ナノ

第6Q

「名前っち、俺お迎え行くッス」
「お家で大人しく待ってて!!!」


今日からまた1週間。
宣言通り色々手伝ってくれる黄瀬涼太…涼太(って呼ばないと耳が垂れる)のおかげで朝は準備がだいぶ楽になった。
大輝はと言うと…まだ寝てる。
昨日の夜はどうやって寝るかという事で暫く揉めた。
ベッドはシングル1つ。
布団セットが一式。
まさかシングルに3人寝れるわけもなく、私が1人でリビングに寝ると言えば2人がギャーギャーいがみ合う始末。
普通に考えたら私が1人でベッドでしょう…まあ、大輝も始めからベッド以外で寝る気は全く無かったけど。
なんなの、キセキ。
結局ベッドを壁際に立て掛けて、床に布団を2つ並べて3人で寝る事で落ち着いた。
いや、正直落ち着いてなんかいないんだけど。
大輝が物凄く不機嫌だ。
『…なんで黄瀬まで同じ布団で寝んだよ』
『だから私が1人で寝るって』
『却下、お前は俺の隣』
『俺も名前っちの隣ッス』
『ああ?お前がソファ使えば済む話だろうが!』
『お断りッス!寂しくて死んじゃう!』
『うっぜぇぇえええええ!!』
『はぁ…ほらもう寝るよ』
そんなこんなで騒がしい夜を明かして月曜日の朝を迎えている。
起きて来ない大輝は放っておいて仕事に向かおうと玄関で靴を履いていると、涼太がニコニコしながら近付いて来る。
「名前っち」
「行って来るね!」
「いってらっしゃい!!」
「お迎えは、いらないからね…本当に、絶対」
「…ダメッスか?」
「う…そ、そんな顔してもダメ」
「…分かったッス」
「大輝といい子に待っててね」
「はいッス!!」
まるで大型犬。
目をキラキラと輝かせて返事をする涼太に見送られて仕事に向かった。
それは妙に新鮮だったけど、大輝のいってらっしゃいじゃないのがちょっと寂しい、なんて思ってしまった私はだいぶ重症だと思う。

仕事を定時に終わらせて帰宅すると家に2人の姿は無かった。
携帯を確認すると新着メッセージあり。
全然気付かなかった…お昼休憩後に送られていたらしい。
『バイト行ってくる。黄瀬と』という端的なものが届いていた。
涼太も連れて行ったんだ…なんだかんだで本当は仲いいんじゃないかな。
そして続いてもう1件。
『テツと会わせて来る』
どうやらテツくんにも状況を説明しに行ったみたいだ。
更に奏から1件。
『青峰っちとわんこ大丈夫?後でゆっくり話は聞くけど、とりあえずどんまい頑張れ名前!』
…助けてくれる気は無いようだ。
奏の事だ、きっと大輝が荒れるのを分かってて楽しんでるに違いない!
ガチャッ
あ、帰って来たかも。


「名前っち、ただいまッスー!!」
「てめえ!俺より先に入るんじゃねーよ!!」

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