「名前っち!俺お腹空いたッス!」
「ああ?外で草でも食ってろ!」
「ちょ!青峰っち酷いッスよ!」
「大輝…ちょっと言い過ぎ」
「あ?お前、黄瀬の味方すんのか?」
「味方とかどうこうじゃないでしょ。大輝だって突然私の所に来る事になったんだから人の事言えないんだよ」
「…っち」
「名前っち!優しいッス!!」
「とりあえず、朝ごはんにしよう」
不貞腐れてる大輝の手を引いて、黄瀬くんに着いて来るように促してキッチンに向かった。
大輝のジト目が怖い。
2人をリビングで待たせて朝食の準備をしながら、夢と今起こってる事を考えていた。
黄瀬くんがこっちに来たのはやっぱり、あの夢の中で姿が消えたから?
初めてあの夢を見た時点で既に大輝は居なかった。
テツくんは始めは居たのに、途中から消えてたような気がする。
そう考えるとやっぱり何かしら繋がりがある事に間違いないだろう。
…でも考えた所で解決策なんて無いし、どうにもならない。
もやもやとスッキリしない頭を振って切り替え、出来上がったご飯を持ってリビングに向かった。
青に黄色…ああ、眩暈がする。
「おい黄瀬、お前どうやってこっちに来たんだよ」
「それが分かってたらとっくに話してるッス!」
「んだとコラ!だいたいお前なんで寝てる名前の所に落ちて来てんだよ」
「知らないッス!俺が知りたいッスよ!」
「俺がベッドから落ちたのお前のせいだからな!」
「だから!俺もなんも分からないんッス!!」
「ほらほら!もう言い合い止め!!」
「「…」」
「もっと仲良く出来ないかなぁ…あんたたちそんなに仲悪かったの?」
「「知るか(知らないッス)」」
ぶーたれた2人に挟まれて朝食を済ませた私は、2人をリビングで待たせて奏に電話を掛けていた。
『えええっ!?黄瀬が来た!?!?』
「…はい、そなんです」
『ちょ、どうなってんの!帰っちゃったらどうしようって考えてたとこなのに、もう1人増えるとか!』
「私にも意味が分かりませーん」
『あんた、のんびり構えてるけどどうすんの?そこに住ませる気?』
「うー、厳しいけど…そうしてあげるしかないでしょ」
『いや、私が言ってるのはだね…彼は大丈夫なのかって事だよ』
「…大輝の事?」
『そ。…たーいへんだと思うよー』
「じゃ、奏が預かってくれる?」
『ん?私は愛するテツだけで手いっぱいで胸いっぱい!!』
「…ほらね」
『んま、とりあえず様子見るしかないよね』
「うん…」
奏にも私の見た夢の事を話したら、案の定心底驚いていた。
やっぱり誰が考えても、その夢と現状はなんらかの関係があるとしか思えない。
通話を終えてキッチンでボーっとしていると、背中に巨体が圧し掛かって来た。
「もう…大輝、重い」
「名前っち残念!涼太ッス」
「ええええっ!?!?」
「へへ!何か手伝う事ないッスか?」
「だだだ大丈夫!だからちょっと離れようか、ね?」
「いいじゃないッスか!」
「良くないからね!涼太、私はね…」
「関係ねッスよ、青峰っちの彼女でも」
「は?」
「…気に入っちゃったんス、名前っちの事」
「なっ」
「てめえ黄瀬っ!!便所じゃ無かったのかよ!!」
「青峰っち、嫉妬深い男はカッコ悪いッスよ〜」
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