unstoppable2 | ナノ

第4Q

『んー。柔らかいッス、んんー』
「…ん?」


夢?
今、すぐ近くで大輝以外の人の声が聞こえたような。
ていうかこの口調何処かで…
って私何寝惚けてるんだろ、もうちょっとちゃんと寝よう。
昨日の疲れが溜まってるんだ。
大輝のせいで。そうに違いない。
今日も休みだしね。
ふわふわとした感覚の中、なんだか妙な違和感を感じつつももう一度寝ようとした所で、突然ぎゅっと抱き締められた。
「ん、大輝…もうちょっと寝よ…ね?」
返事は無い。
きっとまだ夢の中なんだろう。
すると今度は足が乗っかって来た。
「んー、重い。大輝、足」
「ん」
「足、どかして」
「んー?足、ッスか?」
「うん、足」
「うー、はいッスー」
「…」
「…」
「…」
「…」
「え」
「ん?」
何かおかしい。
いや、明らかにおかしい。
重い瞼を抉じ開けた先には、いつもの見慣れた青では無く…目が眩む程の鮮やかな黄色。
「っ!?」
「ん…あれ?」
「っえええッ!?!?!?」
「ああああッ!!写真の子!!」
「き、黄瀬涼太!?」
「え!俺の事知ってるんスか!」
「大輝!!大輝は何処!大輝ッ」
「ああ?んだよ、うるせーな…っつーかなんで俺下に落ちて…はぁ!?!?!?」
「青峰っちーっ!!!!」
「黄瀬!?!?」
「ちょ、黄瀬くんっ!くるしっ」
「おい黄瀬!何くっ付いてんだてめえ!」
「へ?ああ!すいませんッス!なんか落ち着いちゃってへへ」
「ちょ!も、もう離れて」
「え、駄目ッスか?」
「いいわけねーだろ!そこは俺の場所だ!っつーかなんでお前ここに居んだよ」
「…分かんないッス。皆で話してたはずなんスけど、気付いたらここに寝てて…ああ、やっぱ可愛いッス!!柔らかくって気持ち良かっ…っで!!痛いッスよ青峰っち〜」
「ったく、どーなってんだよ」
黄瀬くんの腕から解放されて今度は大輝に抱きすくめられながら、なんとか現状を把握しようと頭をフル稼働させる。
…昨日の夢。
黄瀬くん居なかったし、やっぱり関係があるんじゃ。
「青峰っち、この子は?」
「ああ?俺の女」
「ええー、やっぱそうなんスね」
「お前もう近寄るなよ」
「えー、それは無理ッス」
「あ?なんでだよ」
「だって…俺写真見た時から気になっちゃってるんスから」
「はぁ!?おま、ふざけんなよ!名前は俺のもんだ」
「んー。じゃ頑張って振り向いて貰うッス!キミ、名前名前ちゃんて言うんスか?」
「え、あ、うん…名前」
「名前…青峰っちの彼女だし…名前っちって呼んでいッスか?」
「…おい、なんでコイツにも『っち』が付くんだよ」
「えー、だって、青峰っちを落としちゃったんスから、強者ッスよ!」
「うぜえ!」
「ひどいッス〜!名前っち、涼太って呼んで下さいッス!」
「ええっ!?」
「てめえ黄瀬!」
「何でもお手伝いするんで、俺もここに置いて下さいッス!!」
「き、黄瀬くん…」
「涼太ッス!」
「りょ、涼太…」
「はいッス!!」
うあ…耳と尻尾が見えた。
なんて事だ。
黄瀬涼太までやって来るなんて。


「はぁ!?名前!何名前で呼んでんだよ!」
「あ、わ、つい…」

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