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 十代の首は、男にしては細い方だと思う。

 滑らかで白い肌。指を這わせれば、その冷たさに十代がくすぐってえよと笑いながら身じろぎする。木製の二段ベッドは、ぎしりと軋んだ。その指を輪郭をなぞるように滑らせ、耳に触れると、十代はくすくす笑う。ほんの戯れに、ヨハンも口元を緩めた。
 オシリスレッドの象徴、赤いジャケットを脱いだ十代は、黒のインナー一枚を着ているのみとなっている。薄いインナーの上からでは、十代の浮いた肋骨や、細い腰のラインが露になる。それに気づき、ヨハンは戯れの手を休めた。十代とは、いわゆる恋人同士である以上、今まで触れなかったわけではない。
 ただ、改めて意識をすると、おかしな気分になる。

「……ん?何だよヨハン、どうかしたのか?」

 急に動かなくなったヨハンを訝るように、十代が呟いた。その声で我に返り、ヨハンはゆるく首を振る。けれど一度くすぶり始めた情を振り払うことはできなかった。心臓の鼓動が、全身を震わせる。そっと十代の頬に触れると、その頬はあたたかく、柔らかだった。
 もっと触れたい、色々なところに。そう思って、輪郭から首へ、首から肩へ、指を滑らせる。十代が身じろぎするたびに、言いようのない感覚がこみ上げてきた。
 堪えきれなくなって、ヨハンは、そっと十代の首筋に唇を寄せる。十代は驚いたように身をすくませた。首筋を舌で舐めあげると、細い体がベッドの上で小さく跳ねる。

「ヨハン、何……」
「……十代に、触りたい」

 ぽつりと、欲が口をついて出た。十代は目をぱちくりと瞬かせる。その言葉の意味を理解できないほど、鈍感でもなかったらしい。十代の顔が、一気に赤くなり、体温もほのかに上昇したようだ。

「で、も……俺、よくわかんねえ……し」
「……だよな、十代ならそうだと思った。でも、俺はさ……待った方だと思うぜ」

 力の抜けた腕をすっと掴み、口元に寄せる。手首の内側に舌を這わせると、掴んだ腕が震えた。
 震える息を吐き、やや潤んだ瞳で、ヨハンを見上げる。その視線に、ヨハンの心臓が大きく跳ねた。待ってくれよ、とかすれた呟きが聞こえた気がしたが、ヨハンの耳には届かなかった。ただ、目の前の十代への、様々な想いばかりが彼を動かしていた。

「……なあ十代、知ってるか?首と腕にするキスは、欲望の証なんだってさ」

 その言葉に、十代は怯えたように喉をひきつらせる。


「……俺、十代がほしい。なあ、いいだろ?十代」


 有無を言わせないエメラルドグリーンの瞳が、あやしい光を宿す。







―――――――
欲望云々はグリルパルツァーのアレ。
多分まだ三期視聴中くらいに書いた奴です


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