昼休み。
何も持ってきていなかった私は購買部に赴いた、つもりだったけど、場所がわからなかったから、人の流れでやっと着いた。
あんまり食欲ないし……パンでいいか。
「すみません、焼きそばパン一つ」
「はい、150円ねー」
財布を取り出そうとしたが、スカートの中には何も入っていなかった。……どうしよう。
「すんません、この人の分は俺が払うんで。あとオレンジジュースくださーい」
「え?」
横を見れば、金髪と白いフードにブレザーを着た少年がいた。なんか見たことあるような……。
「250円ねー」
「はーい」
「ちょ、ちょっと、どういう、」
「あー代金はいらないっス。ちょっと話をしたいだけなんで」
焼きそばパンとオレンジジュースを受け取った金髪パーカー男子はニコリと笑った。
「…いいよ」
所変わって屋上。ちなみにここに来るまでずっと無言だった。辛い。
「それで?話って何?」
「単刀直入に聞きます。あなたの名前を教えてください!」
「…………なんで?」
「あんなひどいことを言われましたけど、俺ヘタレてないっスから!」
「ひどいこと?」
「え、覚えてない…?」
「あと……君は誰かな?」
彼と私の間に静かな空間が広がった。
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