カチ、カチ、カチという時計の針の音で目が覚めた。うぐ、顎がまだ痛い。でも私の部屋の天井じゃない。

そう思いながら横に寝返りをうったら、綺麗な寝顔が目に入った。だ、だだだ誰!?

金髪で思い出したのは、私にアッパーをした彼。確かに…イケメンなところが似ている。


「ん……」

「……きれい」

「ぁ…タマ……」


うっすら目を開ける彼の首に、何故か手を当ててしまった。本能的に、このまま綺麗なままにしておいたいと思って。

あ、また殴られるかも。でも寝起きは弱いらしくふにゃふにゃしている。可愛い。

目が覚めたのがグイグイと顔を掴み引き離そうとする。そうはさせないと謎の闘志を燃え上がらせた私は、じわじわと手に力をいれていく。

あ、わたし、今笑ってるけど泣いてる。ボタボタ落ちていく涙は、彼のきめ細かな肌について。そして唇に口を押し付けた。

目を開けたままだから、彼の様子がわかる。キスの仕方が分からない子供みたいに唇を押し当てる。


「っ!?んっ、っ、あ」


突然彼は固く閉ざした唇に割り込み、私の頭を後ろから掴む。上手く息ができなくて空気が足りない。首を絞めていた手を離し、バシバシ胸板を叩く。


「はっあ…けほっ、けほ」

「残念だが、そんな弱い力じゃ俺を殺せねえぞ」

「別に、私は…へーわさんの顔が、あれ…?」

「あ?」


思い出した。頭に記憶が蘇っていく。初めて会った時のこと、話したこと、喧嘩したこと。

左手を頭に当て、更に思い出そうとするけど、頭痛が邪魔をして、ああもう!


「へーわさん、もう一回チューしませ、んにゃ!!」
「しねーよバカ!」

「ひ、ひどい…。私、はじめてだったのに!」

「キモい」


うわなにこの最低な人!そういえばへーわさんは冷酷な人だった。むっと頬を膨らませれば、顎に手を挟まれた。


「なんれひゅか」(なんですか)

「いや…お前、可愛いな。意外と」

「はあ?ひみふへえれす」(意味不明です)


眉に皺を寄せた。へーわさんはじっと見つめて、今度は首を噛んできた。痛いですって!

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