「孤独だ」
下校中、池袋駅の近くにある公園のブランコを漕ぐ私。うーん、ミスマッチ。
制服って意外と値が張るのね。あの先生にパンフレットを見せてもらったんだけど、めちゃくちゃ高かった。
でも、あの眼鏡っ娘の制服姿……可愛かったなあ。ギーコ、ギーコ、ブランコは前後に揺れる。
「あ、昨日の」
「あん?なんだ、猫女か」
「あの……その猫女って何ですか?私は猫柳タマです」
「タマか。ていうかお前、変だな」
記憶喪失なんですよって言ったら、気味悪がられないかな。内心ハラハラしながら、恐る恐る口を開く。
「わ、たし……記憶喪失、なんです」
「…………何の冗談だ?俺は冗談が嫌いなんだよ」
「えっ、ちょっ、と!?冗談じゃないんです!本当です!!」
「お前の本当はアテになんねえ!!」
前の私は馬鹿だ!!なんでこの人、街灯を持ち上げてんの!?おかしいよ!あり得ないよ!
「本当なんです…!信じて、ください……」
「チッ……嘘じゃねぇんだな?」
「は、はい!!」
「指切り」
「え…?指切り、です」
スッと小指を出してきた。絡めようと私も小指を出し、何故か思いっきり力をこめてしまった。
「てめえ……やっぱり記憶喪失なんざ嘘だろ…?」
「な、なにこれ!?す、すいません!!ちが、」
「ゴタゴタうるせえよ!」
「に゙ゃふ!!」
華麗なアッパー。私は綺麗に入ったなあ、変な声が出たなあと思いながら意識を飛ばした。
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