プロローグ








いつもと同じ帰り道
いつもと同じ風景
いつもと同じ時間
その中でいつもとは違う事が1つだけあった。

「…なにこれ」

トンネルを抜けるとそこは雪国よろしく
玄関の扉を開けるとそこは怪しい雰囲気を纏わせた我が家だった。
え、なにこれ家間違えた?いやでも鍵使えたし
というか違う人の家だとしてもこんな気味が悪い家嫌すぎる。
現在の時刻が夕方の4:32を指しているからか
ちょっと霊的ななにかの可能性も頭に浮かんだけど
べっ別に幽霊なんて怖くないし、信じてなんかないんだからねっ
でもちょっと用事思い出したから部屋に戻るんだからねっ
メロスは走った、部屋で待つオリヌンティウス(布団)の為に…!
扉を開け、逃げるように部屋に飛び込み
息を整えると、ふと違和感(その1)を感じた。

(…………なにこれ)

これがデジャヴュか…!
辺りを見渡してみると、私の部屋だったものが
だだっ広い鬱蒼とした気味が悪い雰囲気の森と化していた。
確かに、度々どこ●もドアあると便利だなー欲しいなーとは思っていたけど
まさか私の部屋がそうなると思わなかったよ!
部屋帰れないじゃん!というかなんで森…!
そして何気なく後ろを振り返ってみると
きたはずの扉どころか、帰り道さえ消えていた。
こんな一方通行のどこで●ドアなんて嫌すぎる…
そしてまたもや問題が発生した

帰 れ な い

ここが何県なのかすらもわからないし
歩いて帰れる距離なのかすらもわからない
完璧詰んだ、出れない
一瞬のうちに色んな事がありすぎて
逆に冷静になってきた頭を抱え、どうしたもんかと悩んでいると
また違和感(その2)を感じた

手がなにやらもふもふしている
そして手の平がとてもぷにぷにしている
そしてとても愛らしいフォルムをしている
そして力を込めると鋭い爪が見えた

…………完璧、猫じゃね?