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「…名前、」
「ん、えっと…こっち、おいで?」



雅治がすごく甘えたそうな目でわたしを見てくるから。
つい、甘やかしてしまうんだ。


わたしは目を細めて手を少しだけ広げる。
そうすると、雅治がわたしのお腹から手を回してきて、ぎゅうっと抱き着いて来るから。


雅治は心底嬉しそうな顔をして、わたしの元へ近寄って来る。
ぎゅうっと抱き着かれて、わたしの首筋に顔を埋める雅治。
ふわふわの銀髪が首に当たって、くすぐったい。



「んー、落ち着くのう…」
「そう言われると嬉しいな。わたしも雅治の傍が一番落ち着くー」
「ん、」
「わっ、」



さらにきつくぎゅうっと抱き締められ、わたしも雅治の肩に顔を埋める。



「今日はいちだんと甘えただねー?」
「…甘えたい年頃なんじゃ」
「いつもの雅治はこんなことしないもん」
「…、」
「…雅治?」
「…いんじゃ」
「え?」



ぽつりと呟いた雅治。
その雰囲気は、どこか…悲しそうで。



「寂しいんじゃよ、お前さんが居ないと」



きゅう、
胸が少し苦しくなる。



「…しっかり捕まえとかんと、俺ん傍から離れて行きそうじゃから、…お前さんは」



弱々しく呟く、雅治。
いつもこんな思いをしていたのかと、すごく胸が苦しい。



「…ごめんね、ま、さはる」



わたしもぽつりと呟けば、
絡み合う視線。
その切れ長で鋭い瞳は、わたしをしっかりと捉えていた。



「別によか。名前が…、俺ん傍に居てくれれば、それでよか」



そんなことを切なそうな目で言うから。
わたしは堪らなくなって、雅治の胸に顔を埋めた。


その直後、わたしの大好きな声で囁かれたんだ。



「愛しとうよ、名前」