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まず最初に疑問を抱いたのは、首輪が爆発するという点だった。 身につけているものが爆発する。そう言われれば誰だって、程度の差はあれど恐怖の念を抱くだろう。ルールに従うことで少なくとも暴発は防げるのならば、自ずと行動に制限を生じせざるを得ない。 だが、果たしてそれは本当なのか。 こんな小さな首輪に、人間の頭を吹き飛ばせるほどの爆薬を仕込むことは可能だろうか。もし仮に仕込まれていたとしても、ふとした衝撃による弾みで暴発したりはしないのか。何よりも京の、炎を操る能力を“主催者”が知らないわけはあるまい。発火能力を持つ人間に、爆薬を仕込んだ首輪をはめさせる理由とは何なのだ。 最悪の場合、命を落とす状況に放り込んだ以上は、かのネスツのように生け捕りにして能力を得たいというわけではないだろう。そもそも生け捕りにする機会ならすでにあったのだ。だが、それを放棄してここに連れてきたのだから、目的は京の能力ではないことになる。もちろん、オロチ一族のように京の存在自体が厭わしいのであれば、こんな回りくどい真似などせずに意識を失わせた時点で殺しているだろう。……オロチに名を連ねて暗躍していた者で生き残っている者が未だいるならば、の話だが。 近頃では「遥けし彼の地より出る者」なる勢力も台頭しつつあるが、彼らに対してはオロチの復活を目的としているらしいということ以外の情報が少なすぎた。京へのスタンスもはっきりとはせず、今回の手口と彼らとを繋ぐ線は薄い。 オロチでもネスツでもない存在の正体を測り知ることができるはずもなく、京は思考を目先の首輪へと戻した。 ルールの1つめとして提示することで、爆発をもっともらしく思わせる為のブラフである可能性も否定できない。 だからと言って、万が一ルールが本当であった時のことを考えれば、わざとルール違反に値する行動を取ることもできなかった。結局のところ、現時点では爆発の真偽がどうであれ、脅しとして効果を発揮するくらいの爆発はするということを前提に据えるしかない。“主催者”の顔も見ないまま、くだらない自爆なんてするのはごめんだ。 そして……13台のPDA。 京の持つ、スペードの4を模したPDAと同じようなものがあと12台あるとしたら、1つのPDAにつき1人……つまり京以外に12人がここにいるということだ。実際、そうと匂わせることはルールにも記載されている。 京は首輪をなぞるように指をすべらせた。 残る12人の首にも同じ性質を持つ首輪がはめられているのは疑いようもない。爆発する危険性のある、場合によっては命を脅かすであろう首輪が。 ……その時。 前方の通路の角から人が動く気配がする。相手も京の気配には気がついたようで、両者の間に鋭い緊張が走った。 | |
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