Prologue


ルール確認




 目を開けた京の視界に飛び込んできたのは全く見慣れない、グレーがかったコンクリートの天井だった。真ん中に備えつけられた蛍光灯が淡い光で京を照らし、まだ開かれたばかりの目をちくりと刺す。

 何か薬物でも盛られて人為的に眠らされたのか、頭がひどく重い。そしてベッドと言うにはあまりにも簡易な、寝台と言った方が相応しいようなものの上に寝かされ、身体のあちこちが軋みを上げて痛んだ。

 ベッドから引き剥がすように身体を起こし、頭を振って意識をムリやり明確にする。部屋全体を見渡したところで天井だけでなく壁までも一面コンクリートで塗り固められ、窓もないその部屋はやはり覚えがないものであることには変わりない。京は軽く舌打ちし、自らの中に残る記憶の糸を手繰り寄せる。

 ……招待状が、届いた。

 もちろんそれはパーティーなどという平穏なものの誘いではない。おそらくはKOFの盛況振りに乗りかかろうとした、名もない格闘大会の開催を告知したもの。そして客寄せの為であろう、KOFの常連選手として名の知れた京をシード枠で招いていた。
 特別扱いを受けようと心を魅かれはしなかったし、誰が見ても主催者の名前や差し出し人も記載されていないそれは不審で、ともすればただの悪戯である可能性も充分にあるのだ。名指しで招待を受けていようが、あくまでも一方的なそれに応えて参加しなければならないという義務はない。

 だが結果、京はあえて誘いに乗った。

 理由はただ一つ。


 変わりのない日常に、飽きはじめていたから。






 

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 KQ / NOVEL 



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