すき、きらい、……だいすき





 私たちは3人は、オロチ様を復活させる為に集まった仲間。

 目的が同じだったからこそ出会って、その目的をカムフラージュする為に一緒に過ごす家族ごっこみたいな生活をして。

 だけど、ごっこ遊びの日々は私が予想していたよりもずっと、比べものにならないくらい楽しくて、いつの間にか私はオロチ様が復活しなくてもいいような、そんな気持ちになっていたの。

 胎動をはじめたオロチ様に私たちの力を注いでも復活しなかった時、本当は少し嬉しかった。これでまた、あの他愛なく幸せな暮らしの中に戻れるのかしらって。

 ……あなたが選んだ道を引き返すような人じゃないって、分かっていたのにね。


 痛いくらいぴんと張りつめた空気が引き裂かれたのは突然の出来事だった。

 私の方に倒れこむ、まだ14歳の、重い運命を背負わせるにはあまりにも華奢な身体を抱きとめると同時に、左胸に鈍く熱い衝撃が走る。

「悪ぃな、クリス、シェルミー」

「やし、ろ……」

 どうしてと問いかけるようにゆっくり振り返ると、うつむいて表情は見えない社がかすれた声でぽつりと呟くのが聞こえた。

 ……俺も、すぐ行くからよ。

 彼の気持ちを伝えるには充分すぎる言葉に私が応えられることがあるのだとしたら、それは一つしかなくて。

 バカね、自分で私たちを殺すって決めたクセに、何故泣いてるの、社。

「もう……勝手、なん……だから……」

 文字通り彼に貫かれた私のハートは、射抜く指先を伝って生温い液体をどくどくと吐き出し続ける。

 それが深い赤色なのは、この燃えるような激しい想いのせいなのかしら?

 ……なんて、ね。

 ちょっと自分勝手で短絡的だけど、私たちのことを大事に思ってくれているそういうところ、すきよ。

 だけど、いざとなるまで何も教えてくれなかったのは、きらい。

 ……それでも、ね。

 一人で待ってるはずのクリスを強く抱きしめながら、私はがくりとヒザをついた。朦朧とする意識の中、最後にありったけの力で懸命に目をこらして笑ってみせる。

 だいすきよ、社。

 これで私たち3人、何があってもずうっと一緒ね。

END



人生初のシェル社文章がこれって!これって!!
でも、すごい好きなんですよあのED。残念ながらセリフのやりとりとかはうろ覚えになっちゃってるんですが。っていうか97自体、好きなEDはプレイした歴代のKOFの中でもダントツで多いです。
そんな大好きなEDに自分の解釈を突っ込んで書いてしまいましたが、オロチームが幸せでありますように。


20100227 UP 






 

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 NOVEL / KQ 



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