B akuman


3

「な、七峰くん」
「机の上か・・こうされるの、懐かしい?」
「そうじゃなくて、ここは駄目よ。やめてちょうだい」

蒼樹の机は窓に面して配置しており、カーテンは閉めているものの電気を点けている。外側から見れば、シルエットで何をしているか気づかれてしまうかもしれない。
身体を起こそうとするが、七峰が背中を手で押さえつける。もう片方の手でスカートをまくり上げ、ショーツを引き下ろした。

「やっ・・だめっ!」

尻を撫でられ、熱の残る秘所へ再び指を這わす。そこは待ちきれない期待に、とろとろと蜜が溢れていて。

「センセー、嘘はいけないと思いまーす」

耳元で意地悪く囁き、クッと喉を鳴らした。羞恥から赤くなった蒼樹の耳たぶを甘く噛み、白いうなじにキスをする。所有の証をこっそりとつけて、七峰はズボンのファスナーを開けて分身を取り出した。
太腿に覚えるその感触に、蒼樹の胸は締め付けられる。それを待ってしまう自分が情けなく、けれどやはり待ちきれなかった。

「っ・・はぁっ・・!」

背後から、ゆっくりと先端が出し入れされて、背中がぞくりと粟立つ。入り口だけを擦られて、蒼樹はもどかしさに机に爪を立てた。
ふいに七峰が疑うような声で聞く。

「ねぇ・・ほんとに亜城木とはしてないの?」
「え・・し、してないわ・・っ、あぁっ」
「ほんとうに?嘘ついたら許さないよ」
「っ・・はぁ、んっ・・嘘も、なにも・・ほんとのこと・・ああん!」
「じゃあさ、平丸は?平丸とはしてる?」
「なんでそんなこと・・聞くの・・?やっ、んんっ・・」
「いいから答えてよ。答えてくれたら・・もう聞かないし」

その声音にどこか拗ねたような響きがあったことを、蒼樹は気づかなかった。

「してません・・から」

だから、と言葉が続きそうになり唇を噛む。頭の芯が痺れ、待ち焦がれている自分が恥ずかしかった。
背後にいる七峰がどんな顔をしているのか解らないが、蒼樹の答えに満足したらしい。彼の分身がゆっくりと侵入をはじめたのがわかった。

「あっ・・ああぁ・・っ!」

グッ、グッ、と押し入って蒼樹のなかを満たす。心待ちにしていた感覚に、大きく息を吸った。
七峰の腰はやや乱暴に動き、そのたびに机がガタンガタンと揺れる。奥へ突き立てられ、痛みとそれ以上の快感に目眩がした。
手をついていられず、頬が机にあたる。七峰は邪魔くさそうにスカートを捲くりあげると、姿勢を前傾させてさらに腰を叩きつける。足を支えるつま先が痺れて、蒼樹はさらに机へ体重を預けた。

「やぁ、はっ・・あああんっ」
「あのさ、ありえないくらい濡れてんだけど・・それと、声大きすぎ」
「っ・・!・・ん、やっ・・ぁ」
「まあ、外にいたらシルエットでやってることバレちゃうだろうけど」

からかう彼の声も、熱を含んでいる。ふと目が合うと、顔が近づいてきて唇が重なった。
ぬるりと入った舌が口腔を舐める。七峰の呼吸と唾液が蒼樹のそれと絡まり、切なげな吐息に胸の奥が痺れた。
唇と唇を触れ合わせながら、下半身の律動はさらに激しくなる。硬い机の上で感じる人肌は、少しだけ懐かしく。あの日のような辛さは感じない。

『先生が、すきです』

まっすぐに見つめる瞳を思い出した。時が経ち、彼も自分も変わってしまった。
恐ろしかった感覚を、今は求めている。七峰の手を、指を、舌を、容易く受け入れてしまう。

「いっ、あぁんっ・・!」
「だから・・声、大きいって・・っ、くっ・・」
「な、七峰く・・あああっ・・!」
「なに、イクの?ちょっと待って・・僕も・・うっ・・」

後ろから抱きつかれ、耳元で熱い息を感じた。肌と肌が擦れる音が速まり、机の揺れが激しくなる。
蒼樹のなかの彼がさらに熱くなった時、白く染まる絶頂の予感に身体が震えた。どくん、と耳奥でなにかが弾けていく瞬間、下腹部に感じた熱が蒼樹を貫く。
崩れるように七峰が覆いかぶさり、その額を背中に感じた時、蒼樹の口から微かな笑みがこぼれた。

唇だけ動かして『透くん』と懐かしい呼び名を呟く。

少しだけ遠い目をして、ゆっくりと目を伏せた。互いの呼吸が整うのを待ちながら。





END







- 3 -


[*前] | [次#]





BAKUMAN


(bakuman....)





戻る




×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -