D.gray-man


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2本の指をなくしたマリは、今は義指をつけて生活している。
科学班が作ってくれたその指は、形も感触も以前の本物と似ており動きも滑らかなため、装着した当初からそれほどストレスなく動かすことができた。
もとが器用な人間だったのもあるが人工の指に慣れるのもそれほど時間がかからなく、現在では日常生活において全くと言っていいほど支障がない。
とはいえまだ完全に体の一部とは言い難いので、マリは積極的にその指を使うことにしていた。風呂や就寝中でも外すことはない、もちろん修練中であっても。

ただひとつの例外をのぞいて。

恋人と愛し合う時には義指は装着しない。
よく出来た義指ではあるが、そこは人工物であるから人肌とは遠く。触れるとひやりとした感触が残る。
愛し合う相手にそれを感じさせたくないという気遣いなのだが、それはミランダの義指へのわだかまりを知っているからであった。
マイナス思考の彼女は件の任務に自分も共に行けなかった事をかなり悔やんでおり、いまだに義指を見てこっそり一人で落ち込んだりしている。
彼女らしいその思考に苦笑しつつも愛情を覚えるマリだが、やはり最中にしんみりさせるのも悪いので、ミランダが部屋に来る日は外しておく。



この夜も、ベッドの上で甘いキスをした後、さりげなく義指を外し棚の引き出しにしまう。
指が足りなくても慣れた手つきでワンピースの釦を外し、細い首筋にキスをする。柔らかい髪が顔に触れ、甘い匂いに酔うようにマリは目を伏せた。
強く抱けば壊れてしまいそうな華奢な体を加減しながら抱きしめて、服を脱がす。もう何度もこうしているのにその度に心ははやり、気持ちはときめく。

「あ、あの・・ちょっと・・」

乳房への愛撫を始めた時、ミランダが消え入りそうな声で呟く。心音がバクバクといつも以上に速く大きく鳴っているのが分かり、まろやかな感触から手を放した。

「どうかしたのか?」
「・・・・・え、えと・・あの・・」
「?」

ミランダは困ったように眉を八の字にしながら、ええと、そのう、と繰り返していたが、やがて勇気を振り絞るみたいにマリの胸に額をつけて、

「き、今日は・・私が、私から・・させてください」

その、厚い胸板に唇を寄せた。
いつもとは違う彼女にマリは戸惑うが、同時に鼓動が速まっていく。ミランダはベッドから起き上がりマリと向かい合うように座ると、恥ずかしそうにマリを窺いそろそろと唇を近づける。
小さな舌が彼女の性格を表すようにぎこちなく口内へと侵入してきて、舌に触れるとマリは顔と下半身が熱くなっていくのを感じた。

「ミ、ミランダ・・どうしたんだ?いきなり・・」
「あの、駄目ですか?」
「いや、そういうのじゃないんだが・・驚いたというか」
「マリさんがお嫌じゃなければ・・あの、今日は私が・・その、マリさんを気持ちよく・・してあげたいと」

言いながら声は小さくなっていく。同時に体も縮こまる。
申し出は嬉しい、嬉しいのだがマリはどうしてもすっきりとしない。ミランダはもともとそういった行為に積極的なタイプではないから。
何度も体を重ねてはいるが未だ緊張していて、どうやら快楽に身を任せるのが恥ずかしいらしい。マリもミランダがゆっくりと慣れていくのを待つつもりであった。
なので、急にそんなことを言い出す彼女が気になってしまう。

「そ・・・その気持ちは嬉しいが、どうしたんだ?なにかあったのか?」
「いえあの、いつも私ばっかりしてもらってるので・・申し訳ないというか・・あの、やっぱり駄目でしょうか?」
「だ、駄目じゃない・・が」

嬉しいのだが少々気恥ずかしい。
マリの言葉にミランダの顔からホッと力が抜けて、嬉しそうに微笑んだのが分かった。そんなことで喜んでくれると、腑に落ちない自分の気持ちが小さく思えてくる。
思わず抱きしめてキスをしたくなり手を背中に回すが、ミランダが慌てて首を振った。

「待って、あの・・私からしますから」

細い腕が背中に回る、そのまま吸い付くみたいにミランダは体を寄せる。柔肌はしっとりとして心地よい、ふわりとした髪にキスをしてマリは微笑んだ。
控えめな彼女らしくない行動だが、それはそれで受け入れよう。本心はやはり気になるのだが無理に聞き出すのは躊躇った、きっとミランダなりに思うところあるのだろうから。

それに・・・・積極的な恋人も嫌いじゃない。

背中にあったミランダの手が放れ、やがてマリのズボンのファスナーへと下りる。彼女の心音が速くなるのを耳にしながら、マリの胸も速まる。それは期待からでもあった。
硬くなっていた下半身は窮屈そうにズボンに収まっていたが、ジー、とファスナーが下ろされるととたんに主張し始める。気恥ずかしくなるほど、図々しく。
それを細い指が触れると、ぴくんと反応してさらに硬さが増した。いいのだろうかと戸惑う気持ちはあるのだが、躊躇うように触れるそのミランダにどうしても興奮してしまう。

「痛く・・ないですか?」
「だ、大丈夫だ」

指先で上下に擦っているだけなので痛いはずがないのだが、力加減が分からないミランダは不安そうに聞いてくる。

「あの、ここ気持ちいいですか?」
「・・・そ、そうだな・・うん」
「痛かったら言って下さいね?・・私、不器用なので」

こわごわと触りながらマリを窺い、陰茎と亀頭の間にあるくびれを撫でた。敏感なそこをミランダに触れられてるという事実が、さらに大きさを増した。
くすぐられているような弱々しい擦り方がもどかしくて。与えられる快楽を待てずに、不埒にもこのまま押し倒してしまいたいと思ってしまう。本人はその気がないのだろうが、まるで焦らされているようで。
息が荒くなるのを堪えつつゴクリと唾を飲みこむ。ミランダの方も唾を飲み込んだらしく、はぁ、と息を吐いたのが聞こえたが、次の彼女の行動にマリは見えない目を見開いた。

「!」

生温かい感触が先端からして、次にそれがミランダの舌だと分かるとマリの陰茎はさらに膨張した。




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