D.gray-man


3


「なあ、なんでここにオレがいると思う?」
「・・?」
「もしかして・・あんたに恋焦がれて堪らないから、こんなとこまで来た・・とか思ってる?」
「・・・い、いえ」

ティキの目が肉食獣のように光り裾から入れた手が太腿に触れると、ゾクッと体が震えて背筋に冷たいものが走る。けれど同時に、ミランダの体の奥底がじわりと熱をもっていくのを感じた。
夜着を捲くり上げて細く白い足が露わになり、男が持ち上げた太腿に吸い付くのを見る。恥ずかしさに涙が溢れて顔を押さえると、ティキはからかうように言う。

「べつに『夢』なんだろ?いいじゃねえか」
「そんな・・だって、これは・・」
「いつもの『夢』は、もっとよがってんだろ?今もそうしとけよ、なあ?」

ティキは目を細めミランダの手を顔から離すと、ポケットにあった先ほどのアイマスクを取り出して慣れた手つきで装着させた。突然視界が塞がれミランダは動揺したが、男の指がショーツ越しに秘所に触れて体がびくと跳ねる。

「っ・・!」
「なんだよもう濡れてんのかよ、イヤイヤ言っといて満更じゃねぇんだろ?それとも目隠しされた途端にその気になった?」
「や・・ちがっ・・んんっ」
「布越しでも分かるぜ?だらしない下半身だな、おい」

目隠しされて耳元に囁かれる言葉に、恥ずかしさとやり切れなさで涙が溢れて布地を濡らす。けれどティキの長い指が焦らすように秘所をなぞるのを、もどかしく思う自分を止められなかった。

「っ・・く、んっ・・やめ・・あぁっ」

ショーツの上から爪でカリカリと敏感な部分を引っ掛かれ、体がのけぞる。見えないことは不安であったが、その暗闇になぜか慣れた感覚がして、不思議と落ち着きを覚えてしまう。
プチン、とボタンが跳ねとぶ音がして、乳房への愛撫が始まる。強く吸い付かれ生温かい舌が乳首を突くと、切なげな吐息が漏れた。そんなミランダをティキが鼻で笑う。

「物足りねぇだろ?あんたはこんなんじゃ満足しないからな」
「!?・・」

そう言って乳首を噛み引っ張ったので、突然の痛みに顔を歪めた。

「やっ、やめてっ・・!痛いっ・・!」
「は、笑える。こんな濡らしといてよく言うぜ、こういうのが好きなんだろ?この変態が」
「ッ!・・ぁああっ・・いやあっ・・!」

グリグリと親指で乱暴にクリトリスを捻る。ショーツ越しとはいえ強い刺激にミランダは歯を食いしばり耐えるが、痛みの後にジンジンとそこが熱くなり、頭がぼうっと痺れていくのを感じた。
優しさも繊細さもない愛撫に反応していく体が、自分でも恐ろしく思う。ティキの手がショーツにかかると、それを望んでいたように腰を浮かせる自分に戸惑った。いけないと思いながらも体はそれ以上の行為を欲してしまう。

「ああっ・・は、ぁあん!」

唐突に指を入れられる、ビクンと体が跳ね甘い声が出た。くちゅ、ちゅ、と水音が聞こえると、恥ずかしくて顔が熱くなる。

「ビショビショじゃねぇか、なんだこれ。あんたの男もこんな好き者相手じゃ大変だろうに、同情するわ」
「い・・やめっ・・んっ、あぁっ!」
「なに、男のこと言われんのがイヤなの?別にいいじゃねえか、だって『夢』なんだろ?こうやってオレに股開いてんのも『夢』だってんなら問題ないだろうよ」
「う・・や・・そん、な」

脳裏にマリの姿が浮かび、激しい罪悪感に苛まれるが、ティキから与えられる快楽に体は反応する。荒い指使いに痛みすら感じるのに、乱暴にされることを心のどこかで望んでしまう。
ひどく扱われれば扱われただけ、その後に感じる奇妙な解放感が癖になっていく。まるで自傷行為のようだ。

「ほら、もっと足開けよ。入れて欲しいんだろ?」
「っ!い、いや・・ダメよ、やめてっ・・それだけは」

ハッと我に返り圧し掛かるティキの体を押した。けれどそんなミランダの抵抗すら楽しむように、足を持ち自身の下半身を宛がう。
先端が花唇に触れると、押し退けるミランダの手に力が入らなくなる。誘いかけるみたいに浅く出し入れをされて、微弱な電流が全身を駆け巡ると、眉は切なげに八の字になり抵抗する気力も脆く崩れていった。

「あ・・んっ・・はぁんっ・・」

入り口を刺激されていると奥の火が点ってさらに熱くなる。無意識に腰が動いてしまうのを止められない。

「さあ、どうして欲しい?」
「あん・・あ、ああん・・っ」
「ちゃんと言わねえと、ずっとこのままだぞ?・・・いいの?」

耳元で悪魔の囁きが聞こえて、体が震える。
ティキの腰の動きがゆるやかに動き、焦れったくて堪らない。けれどそれを口にしてはおしまいだ、これは現実だ夢ではない。自分には大切な人がいる、それだけは言ってはならないのだ。
ミランダは唇を噛み締めてそれを拒絶したが、ティキの腰の動きがまたしても速まると、いとも簡単にそれは解かれてしまう。

「だいじょーぶだって、言わなきゃわかんないって。それに・・・『夢』なんだろ?そうしとけよ」
「・・・ゆ、め・・?」
「どうすんの?こっちの口は腹へって涎垂らしまくってるけど?くわせんの?なあ・・どうして欲しい?言えよ、ほら、ちゃんと言ってみろよ」

目隠しされたまま、ティキの煽るような声が聞こえる。くじけてしまいそうになる、どうしようどうしよう、体の熱さが理性をぐらつかせる。

「言え」

それは氷のように冷たい声。抗えないその囁きにミランダの体が反応する。

「・・・・ほ・・・しい・・っ」

快感の前に跪いて、はしたない願いを口にした。
突然目の前が明るくなり、目隠しを取られたことに気づく。ティキの金色の瞳が満足げにこちらを見下ろしているのに、どうしてか悦びを感じた。

直後、深く深く突き入れられる感覚に、体がのけぞり全身が粟立つ。

「はぁっ・・あああん!」
「は、なにが神の使徒だ。単なる淫売じゃねえか、なあ?」
「やっ・・あん、はぁあんっ」

卑猥な水音と肌がぶつかり合う乾いた音が耳に入り、ミランダの意識は翻弄される。ティキは激しく腰を突き上げ揺さぶっていたが、両手をミランダの肩へと滑らせると、唐突に首を絞めた。

「!?・・っ・・う、っく・・!」

打ち付ける腰はそのままに、ぎりりと手に力を籠めていく。苦しげにミランダは顔を歪め空気を求めて口を開いたが、ティキが自身の唇で塞いでしまった。
息苦しさに頭は靄がかかったように判然とせず、まるで与えられた餌を貪る犬のようにティキの舌を舐める。とろりとした唾液が口内に溜まって、端から溢れていくのに胸が震えた。

「・・・どうしようもなく、イライラすんだよ。あんたって」

そう呟いたティキの目が一瞬優しげな色を映したが、ミランダがそれに気づくことはなかった。

視界がゆらゆらと揺らめき、酸欠からか体中が痺れていく。死ぬかもしれないと漠然と思いながら、積極的に抵抗しない自分をどこか遠くに感じた。それは夢の中の自分を見ている感覚に似ていた。
ティキの腰がさらに激しく打ちつけて、ミランダは絶頂の予感に身を震わせる。けれどそれが本当の絶頂なのか、死への旅立ちなのか。

「っ・・はっ・・!」
「首絞められてイクのか・・この、変態が!」

「はぁっ・・・んっ!!・・」


駆け抜けていく白い何かに、意識が飛ぶ。
ドクンドクンと鼓動が耳に響く。指先から溶けていき、全身がゆるやかに消えていく。

どこか遠くで『おやすみ』と聞こえた気がした、その声が誰のものかは分からなかったが、優しい声だった。

そうして、優しい夢へと堕ちていったのだった。



END


首絞めは危険ですので興味本位でやらない方がいいです。

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