D.gray-man


3


壊れ物を扱うみたいにそっと持ち直すと、再び乳首を口に含む。
今度は注意しながら、優しく撫でるように舌を使った。

「はぁ・・ん」

ミランダの呼吸がなだらかに荒くなり、甘く吐息が漏れはじめると、神田は新鮮な驚きを感じた。

(こんくらいの力でいいのか・・)

なるほど、と一つ勉強になりながら、片方の手で空いている乳首を優しく摘む。
クニクニと揉むように捻ると、ミランダの体が微かに震えて肌がばら色に染まり始めた。

「ん・・っは、あん」
「どんな、感じなんだ?」
「え、ど・・んなって・はんっ」
「気持ちいいのか?」
「そ、それは・・」

直接的に聞かれたのが恥ずかしいのか、ミランダは眉を八の字にしながらコクんと頷いて。その様子に、神田の下半身は一層固く熱くなって、自然と呼吸が荒くなっていく。

柔らかい乳房を包むように揉みながら、そのふにゃふにゃした感触が好ましかった。女の乳というのは、こうも癖になるものなのかと、ずっと触れていたいと思うほど。

ミランダの熱のこもった瞳が神田を見ている。
その視線に溶かされるように体が熱くなり、神田は着ていたシャツをやや乱暴に脱ぎ捨てた。彼女の細い腰に不似合いな、少しゴツいベルトを外し、片手で引き下ろすと足首のブーツで引っ掛かる。
それを邪魔くさそうに力任せに引っ張ると、同時にブーツも脱げて床にゴトンと転がった。

白い肌を薄桃色に染め、ショーツを隠すように膝頭を寄せる姿を見ながら、神田は一つ息を吐く。何度目かの生唾を飲み込み、余裕なくショーツを脱がせると、神田の気分は最高潮に高まっていた。

(いよいよだ・・)

ムラムラした欲望がとぐろを巻いて、さっきからの視覚と刺激で股間は破裂しそうだ。
もう限界である。今日こそはミランダを自分のものにする・・今日こそは。

神田はミランダの上に覆いかぶさると、互いの鼻先に触れるくらい顔を近づけて、

「・・いくぞ」
「あの、神田・・くん」
「なんだ」
「わ、私・・その、初めてだから・・あの」
「・・・・ああ、優しくしてやるよ」

そう言いつつ、余裕ないのはこちらも同じだが。
そろりと恥毛を撫でながら、指を花唇までのばす。ひらひらした不思議な触感にドキドキしつつ、自らの分身を収める穴を探すと、ヌルリとしたものが指に触れ、

(・・濡れてる)

下らない猥談の中で聞いた、女は快感を覚えると秘所が湿ってくる、というの話はコレか。この液体で滑りをよくするから、入れやすくなるらしい。
うまく出来てるもんだな、と妙に感心しながら、神田の指は入口を探し当てた。指一本入るか入んないかくらいの小さな穴、こんなんで自分のを受け止める事ができるんだろうか。

「っ・・んっ・・!」

広さを確かめようと、指を一本差し入れるとミランダの体が跳ねる。じんわりと汗ばむように、額にかかる髪が湿ってきて色っぽかった。
痛いくらい張り詰めた下半身に耐え兼ねて、神田は指を抜くと、ミランダの太股を持ち上げ、自身のそれを押し当てる。先端に柔らかい肉の感触がしてゾクリと背中が粟立つ。

固く熱い隠茎をグッと突き刺すように押し込む・・・・・・・が、なかなか上手くいかない。

(?)

場所は確かにこの辺だと思うが、一向に進んでいかないのだ。
何度かチャレンジするも嵌まらず、神田はやや焦り始める。まるで壁を相手にしているようだ。

(場所が、違うのか?)

「神田くん・・?」
「な、なんでもねぇよ」

眉間に皺を寄せ神田は身を起こすと、枕元にあった小さなライトを手にし、ミランダの秘所を照らし出した。

「かっ、神田くんっ!?な、何して・・」
「うるせぇ、暗くてよく見えねぇんだよ」
「で、でもっ・・は、恥ずかしいわっ」
「見えねぇんだから仕方ねぇだろ、間違えて尻の穴に入れられたくなきゃ黙ってろ」
「し!?・・えっ、えぇぇぇっ・・!」

赤くなりながら、顔を引き攣らせるミランダを無視し、神田は花唇を指で開き改めて場所を確認する。

(・・小せぇから難しいな)

「・・・・・」

よし、と再び隠茎を掴み、指で探りあてた穴へとピタとくっつける。
間違えはないはずだ、先端に感じるクニャリとした感触は、さっきと違う気がした。

(ここだな・・)

そのままグッと捩込むように先を沈めると、生暖かい肉の感触がして。
さらに奥へと突き進もうとしたが、今度はミランダの腰が逃げるように引けていく。

「おい」
「ごめんなさい・・い、痛くて」
「・・・・・」
「お、怒った?神田くん・・」
「怒ってねぇよ、つうか逃げんな。また分かんなくなったじゃねぇか」

舌打ちして、またライトを点けて場所を確認する。今度は二回目という事もあり、すぐに分かった。
ミランダの腰をガッチリと押さえ、神田は息を吐くと、先端をグッと入口へ沈めていく。

「っ!?い、痛っ・・ちょっと待っ・・痛たっ」
「おい、逃げんなっ・・・くっ!」

逃げ腰のミランダを捕まえようと前屈みになった時、さらに奥へ挿入され先端がすっぽりと収まった。
途端、ビリリと電流が脊髄をながれ脳が痺れ始めると、思わず眉間に皺を寄せる。

(なっ・・なんだこれ)

まるで本能が反応するように、さらに奥へと腰が進む。ミランダの中はキュウキュウと締め付け、拒否するように固くキツイ。
けれど暖かい、柔らかい締め付けは凄まじい快楽だった。

「か、ん・・だくん・・いっ、痛いっ」

涙目で苦しそうに、ミランダは顔を歪ませ訴えるが、正直気遣うゆとりは神田にはない。自分自身、飲み込まれそうな快楽でいっぱいいっぱいだ。

(これ・・は、ヤベェ)

鳥肌が立つ。
擦れる度に絡み付くように刺激して、耐えられないように神田は歯を食いしばる。

まずい、これはまずい。かなりまずい。

さっき挿れたばかりなのに、もう絶頂感がきている。
まだ1分経つか経たないかくらいなのに、全身が駆け抜けるような快感に支配されていた。

(うっ・・動かせねぇ)

今ピクリとでも動いたら達してしまう。間違いない、その自信がある。
神田はシーツを握り締め、何かに耐えるようにはーっと息を吐く。

何か違う、どうでもいい事を考えるんだ。
そうだ例えばあのクソ忌ま忌ましいモヤシの顔やつい斬りたくなるバカ兎、いやそれよりも宇宙人のような変人師匠・・

「・・か、んだ、くんっ」
「?」

切なく、途切れがちな甘い声に神田は、はたと我に返る。
痛みに堪えるように眉を寄せたミランダが、上気した顔で神田を見上げていた。

潤んだ瞳と乱れた息で、ゆるゆるとその手は神田の頬に触れる。

「・・キス、して?」
「・・・・・・」

追い詰められる。
今、ミランダにキスをすればさらに絶頂感が高まるだろう。
しかし、愛しい恋人のこんな可愛いお願いを聞かずにいれようか。
けれど今イッてしまえば、男としての沽券に関わる。それは困る、というか悔しい。

せめぎあう複雑な感情、見つめられる甘やかな視線の中。ミランダがキスを乞うように、そっと目を閉じ唇を僅かに開いた。

「・・・・・」

それが合図のように、神田は男の葛藤を諦め敗北を認めた。

唇と唇が重なり、舌を絡ませる。繋がり合った体でする口づけは、より二人を一つに近づける。抱きしめあい、肌と肌が共鳴するように互いの体温が更なる快感を呼んだ。
ただ挿れているだけで、奥底から沸き上がる熱を感じる。

駆け抜けていく、その熱情に耐える。

神田は臆病な少年のように、その瞬間ミランダの体にしがみついた。






◆◇◆◇◆






「神田くん、寝ちゃった?」


布団に入り背中を向けたまま、動かない神田の背中にそっと触れる。何の反応もないから、おそらく疲れて寝てしまったのかもしれない。

(・・そうよね、修練もあったし、疲れているわよね)

静かに微笑むと、ミランダも布団に潜り込む。いつもの自分のではない神田の布団、匂いが彼の匂い。少し嬉しくて、何となく頬は緩んだままだ。

(・・・・・)

下半身の違和感はまだ続いている。
それほど出血はしなかったから良かった、噂に聞く通りすごく痛かったけれど。
ちら、と隣で寝てる彼を見て頬が染まる。

(きっと・・神田くんのおかげね)

はじまる前はさておき、行為の最中の神田は、とても優しかった。
痛がるミランダに気を使ってくれて、挿れてからはゆっくり動き、殆ど動かなかった。

途中からは、痛みに耐える自分の為に動くのも控え、最後は抱きしめながら終えてくれたのだ。

(なんだか・・ちょっぴり意外)

もっと性急で荒々しい印象があったから、少し不安だったけれど、実際の神田はすごく紳士に感じられた。
ミランダは最中を思い出し、恥じらうように布団を鼻まで持ち上げると、もう一度、神田をちらと見て、そろそろと側へ寄り背中に額をあてた。

額から伝わる彼の体温に、さっき抱きしめられた熱を思い出す。一度ひとつになったのが、再び離れるのは少しだけ寂しくて。

その体温を恋しがるように、ミランダは神田の背中に唇を寄せた。


「おやすみなさい」






そっと囁かれた言葉を、神田は寝たふりで聞いていた。



寝てはいなかった。ずっと起きていたのだが、正直ミランダに顔を合わせづらくて、狸寝入りをしていた。

(いくらなんでも、あれはねぇだろ)

時間にして、3分。
3分しか、もたなかったのだ。

しかも殆ど動かさずに、である。さすがに気まずい、男として非常に気まず過ぎる。
ミランダはあまり気にしていない様子だが、彼女の事だから自分に気を使っているのかもしれない。
いや、どう思われているかよりも、これは男としての誇りの問題だ。

(3分・・)

噛み締めるように、心の中で呟く。やはりここでもくるのか、魔数「3」。

しかしこの3分の壁は意外と厚い気がする。今回も耐えて耐えまくっての3分だ。
動かしたくても動かせなかった、あまりに気持ち良すぎて。動かしてたら3分どころか1分も危なかったろう。

(・・・なんとかしねぇとな)

ぎりっと親指を噛みながら、眉間に皺を寄せて考える。
とりあえず、動かして3分もたせる迄にならなければ。かなり低いレベルからのスタートだが、初心者なのだ、あまり上を見すぎてもしょうがない。

(となると・・やっぱり実戦あるのみか)

過去の経験からいって、どんなに修練を積もうと一度の実戦には敵わないのを知っている。それと同じで、男としての持続力も経験値が反映されるはずだ。

背中に感じるミランダの吐息。どうやらそのまま眠ってしまったらしい。神田は軽く体を起こし、顔を傾けて彼女を見る。白い肌に黒に近い焦げ茶の髪がかかり、丸い肩が寝息で微かに揺れていた。

「おい」

さっき3分しかもたなかった事もあり、気恥ずかしさから不機嫌そうに呼んで。
首筋にかかる乱れた髪を指でよけると、神田は再びそこに唇を寄せる。

「・・・?・・ん?」
「起きろ、寝てるひまねぇぞ」
「え・・?」
「またやるぞ」

眠そうに目を擦りながら神田を見上げる。何の事かよく分からないらしい。
布団をめくり、落ち着いて平らになった乳首に吸い付くと、さっき学習したように撫でるように舐めた。

「きゃっ・・えっ?ひゃあっ!か、神田くんっ?」

驚いて素っ頓狂な声を上げるミランダに構わず、神田の舌は動きを続けた。
既に下半身は十分に回復して、固くなっている。この分なら二戦目、三戦目もすぐにいけるだろう。

(次は、動いて3分だ)

そうして、いずれは30分。

そう心に誓いながら、神田は再びミランダの太股へと手を滑らせるのだった。





END


30分はきついと思います。

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