D.gray-man


2


ミランダは、やや戸惑いながら神田を見ているようで。声をかけていいか、迷う様子が背中に感じられる。

(・・バカな奴)

ミランダは、神田の言っている意味を分かっていないだろう。何を言われているか理解出来なくて、また妙な勘違いをしているかもしれない。
けれどその頭の中は、愚かなくらい神田の事で埋め尽くされていると想像できた。

(・・・・)

そう思うと、そんな彼女が愛おしくなる。
鈍感でノロマで、救いようのない間抜けだが、邪心なく物を考えるミランダを、神田は好きだった。

(そうなると・・コイツに、警戒心を持てと言うのが土台無理な話か)

それでは、ミランダがミランダでなくなってしまう。神田は、むくりとベッドから身を起こしミランダを見た。
突然視線を向けられて驚いたのか、ミランダはビク、と震えたが、神田の瞳に怒りの色が消えたのを見て、ホッとしたような表情になる。

(考えてる事が、丸わかりじゃねぇか)

「・・・・」

それで、いいのかもしれない。こういう間抜けな所に惹かれたのだから、この女はこうあるべきなのだろう。

(俺が・・注意して、見てやるしかねぇか)

余計な虫がついてこないように。

「とりあえず、一つ忠告しとく」
「え?は、はい・・?」

ミランダは緊張ぎみに顔を強張らせ、びくびくしながら胸に手をあてた。

「風呂上がりは、しっかり髪を乾かしてから出てこい」
「お、お風呂?」

ミランダが怪訝そうに眉を寄せる。

「分かったか」

ジロ、とミランダを見ると彼女は考えるように頬に手をあてながら。

「・・そうね風邪ひいちゃうものね・・任務に差し支えるわよね」

全然意図している事が伝わっていないのが、よく分かった。神田は何か言ってやろうかとも思ったが、代わりに大きなため息をつく。

(じきに・・分からせてやらねぇとな)

危機感の欠如がどれほど危険かを。

「あの・・神田くん」

ミランダが窺うように神田を見ながら、不安そうに口元に指をあてている。

「その・・ゆ、許してくれるの?」
「つーか、最初からおまえの考えてる事で怒ってんじゃねぇ」

あほか、と呟きながら神田は片眉を上げながら軽く睨む。

「あの、私本当に迷惑かけて・・」
「うるせぇな、しつこいぞ」

これ以上この話題をするつもりは無い神田は面倒そうに寝転がるが、ミランダは食い下がるようにベッドに近づいて。

「私ね、神田くんが許してくれるなら、出来る事・・ううん何でもする」

潤んだ瞳で言ってのける。

「・・・・なに?」

目を見開いて思わずミランダを凝視すると、彼女が真剣な眼差しで神田の許しを乞うているのが分かった。

(な・・)

ピキッ、と血管が浮き出る音が自分でも聞こえて。

(なんでも・・だと?)

さっき消えた怒りがフツフツと沸き上がるのを感じる。

(この、バカ女・・・・前言撤回だ)

じきに、などと悠長な事を言ってる暇はない。こんな状況で男に簡単に「なんでもする」 などと言うなど、危機感がないにも程がある。
恋人である神田だから、ではない。間違いなくそんな考え無しに言っているのが見てればすぐ分かる。

「あの、神田くん?」
「・・・・・」
「えと・・」

ミランダは、神田からの視線に困ったように俯いた。どうやらまた余計な事を言ってしまったらしい。
神田は片肘をつくように体を起こし、口の端を軽く上げると、

「へぇ・・?何でもするのかよ」

こめかみに青筋を走らせ、ミランダの手首を掴んだ。

「え、ええ・・あの」

神田の様子に本能的に危険を感じ、ミランダは不安げに眉を寄せる。

「じゃあ、脱げよ」
「へ?」

何を言われたのか理解出来なくて、ポカンと口を開いた。
脱ぐ?何を?

「何でもするんだろ、なぁ?」

神田の意地悪な笑みで、その意図を覚ったミランダは、カアァッと顔が熱くなる。

「え・・えええっ?」

こんな朝っぱらに、何て事を言ってくるのだろう彼は。驚きと動揺で心臓がありえないくらい速くなっている。

「か、神田くん・・さっき、そんな気ないって言わなかった?」
「ああ、言ったな」

フン、と鼻で笑い。

「だから、おまえがその気にさせてくれよ」

神田の瞳はあきらかに怒っていて。口の端を上げて笑みを作りながらも、怒りのオーラがひしひしと伝わってきた。

(その気・・って)

混乱しながら言われた言葉を頭の中で繰り返し、ミランダは本気なのかと確認するように彼を見る。神田はミランダの手首を掴んだまま、試すような瞳でじいっとこちらを見ていて。

(・・・・・)

これは、ミランダの気持ちを試しているのだろうか?

(・・そうなの?)

ミランダが本気で謝っているか、神田は試しているのだろうか。というかそれほど怒っているのかと、悲しい気持ちになる。

(神田くん・・・)

もしかして、これが最後のチャンスとか?
殺風景な、カーテンもない部屋の窓から明るい光りが差し込んでいる。そんな中で服を脱ぐのは強い抵抗を感じて、緊張から唾を嚥下した。

「・・あ、あの」

微かに声が震えて、もう一度確認するように神田を窺うと。

「どうした、何でもするってぇのは嘘か」
「う、嘘なんて・・」

否定して、首を振る。神田は眉をぴく、と動かしながら

「・・やれるんなら、やってみろよ」

まるで吐き捨てるみたいに呟いて、掴んでいたその手を放した。

「・・・・・」

その手首が痺れるような痛みを残しながらも、ミランダはドレスのボタンに指をかける。緊張と不安から指が震えて、うまく外すことができない。
痛いくらい神田の視線を感じながら、ミランダは一つまた一つとボタンを外していく。
白い喉から広がる、ビスチェに守られた乳房のふくらみが垣間見えると、ミランダは羞恥から肌を染めた。

(・・脱ぐって・・全部?)

胸の下までのボタンを全て外して、ミランダがそっと神田を窺うと、彼は上半身を起こし、壁にもたれるように腕を組んでいる。
その目は、とても色めいたものではなく真剣で。まるで何かを計るかのような、ミランダには理解出来ない複雑な色をしていた。

(・・・・・)

そろそろと、肩から外すようにドレスから腕を抜いて、華奢な上半身が姿を現す。
そのままスカートの重さに引かれるように、パサ、と乾いた音がしてドレスが床に落ちた。

恥ずかしさから、体を守るように胸の前で手を組み、背中を丸めて顔を俯かせる。
風呂上がりで、簡単にビスチェとショーツしか纏っていなかったから、素肌が外気に触れて心細い。

(その気にさせる・・って、どうやって?)

「・・おい」

神田はなぜか口をへの字に結んだまま、怒りを隠さずに睨んでいた。

「・・はい?」
「おまえは、こんな簡単に脱いだりすんのか」
「え?ええ?」

神田の額に血管が浮き出るのが見えて、ミランダは後ずさる。
脱げと言われて脱いだのに、どうしてこんなに怒っているのだろうか。

神田はむくりとベッドから立ち上がるり、靴を履かない裸足のままミランダの目の前に立ち、

「こんっの・・バカ女!てめぇは言われたら何でもすんのかよっ」

ミランダの耳たぶを抓りながら言った。

「ヒィッ!いっ、痛いっ・・」
「痛いじゃねぇよ、このド阿呆が!」

耳元で怒鳴られて、頭がジンジンする。

「バカだろ。おまえ本当にバカだろ?易々と男に『何でもする』なんて言いやがって」
「だ・・だって、それはっ」
「だっても糞もねぇ、何でもっつうのは何されても文句言えねぇんだよ・・!」

噛み付くように言って、ミランダの耳たぶを放した。ミランダはキョトン、とした顔をしていたが、ジワジワと顔を赤くしながら、

「神田くんが・・脱げって、わ、私は謝らないと・・って」
「いいや、モヤシや他の野郎にも同じように言うだろ、てめぇ」

眉間に指をさされ、決め付けるように言われたので、悲しくてミランダの瞳に涙が滲む。

「そんな・・私は、ゆ、許して欲しくて」
「だからって、気安く男に『何でもする』なんて言うんじゃねぇ!無防備過ぎんだよっ」
「・・うぅっ・・」

言われていることを理解して、ミランダは頬に両手をあてながら、コクンと頷いた。

「は・・はい」
「・・フン」

神田は舌打ちしてミランダの手首を再び掴むと、グイッと引いてベッドへ放る。

「きゃっ!?」

前のめりに、ぽふとベッドに体が埋まって、ミランダは倒れたまま神田を振り返ると、
彼は着ているシャツを乱暴に脱ぎ捨て、上半身裸になってミランダを見下ろしていた。

「いいか、言葉には気をつけろ」
「え?」
「・・じゃねぇと、いつ何がどうなるか・・分かんねぇぞ」

うつぶせになっているミランダを覆うように四つん這いになると、半乾きの髪を手でかき上げ、白いうなじに舌を這わせて首筋を吸った。

「・・!」

そのまま舌は肩甲骨までゆっくりと下りて、ミランダはキュ、と目をつぶる。

「・・抵抗しねぇんだな」

耳元で囁かれて、ぴくと体が反応し、そっと神田を振り返った。

(・・神田くん・・)

きつい口調とはうらはらに、その瞳は怒りを含みながらも少し気まずそうにミランダを見ていて。怒っているけれど、こんな強引な状況に実は抵抗を感じているのが分かった。

(・・・・・・)

どんな残酷な言葉を言っても、こうやって最後の一線を残してくれる。ミランダが本当に嫌がる事をしない、その神田の性質がミランダは好きだった。

「・・しないわ、だって・・神田くんだもの」

言いながら、顔が熱くなる。
こんなに室内は朝の光で明るく、廊下から人の声がかすかに聞こえるというのに。下着だけを身につけて、自分は恋人のベッドにいるなんて信じられない。

神田はミランダの言葉に返事はせず、ビスチェのホックをゆっくりと外していく。最後のホックが外されると、開放からミランダは微かなため息をもらした。

「・・っ・・」

ふいにビスチェで隠されていた部分に、スッとなぞるように指で触れられて。

「・・こんなとこに傷なんてあったのか?」
「・・え?」

背中の一部を何度も撫でられた。

「・・それは、たしか江戸で・・」

記憶を辿るように思い出す。

「・・・・・」

引き攣れた傷痕を神田は指で何度も摩り、それから唇を寄せた。

「・・ぁ・・っ」

熱を持ったような甘い痺れがそこから広がるのを感じて、ミランダは目を閉じる。

「今回は・・怪我はねぇか?」

ぶっきらぼうに聞かれて、ミランダは小さく頷いた。

「大丈夫・・神田くんが、一緒だったから」
「・・別に、おまえを守っていたわけじゃねぇ」
「も、もちろん・・分かってるわ」

慌てて言うと。耳元で、ふ、と小さな笑い声が聞こえてミランダは目を見開いて神田を見る。

「なんだよ」
「な、なんでもないです・・」
「・・フン」

照れ隠しなのか、やや乱暴に肩を持たれてクルリと体を反転させられた。

「きゃっ・・」

突然仰向けになったので、ミランダは慌てて胸元を隠すが、その手を掴みやや強引に退かすと、神田はあらわになった乳房の尖端に吸い付いた。

「っ・・ぁ!」

ビリと電流が走り、ミランダは思わず吐息をもらす。
温かい舌がぴちゃり、と音を立てながら乳首を舐め、手はミランダの乳房を持ち上げるように揉み上げた。
窓から射す光りが白い胸を照らし、被さる神田の黒い影とのコントラストがとても綺麗で。そんな光景に、神田は軽く見とれていた。

(・・本当は)

ここまでするつもりは、なかった。
ミランダが服を脱いだ時は、苛立ちから露ほどもこんな気持ちはなく、少し脅かして、軽く痛い思いをさせてやろうとしか考えていなかったのに。

『・・だって、神田くんだもの』

あんな事を言われれば、理性なんて簡単に崩壊するものだ。
いや、あの細いうなじを見た時から正直言えば崖っぷちだったのかもしれない。

柔らかな乳房を両手で揉みながら、親指で乳首を刺激してやると、ミランダは潤んだ瞳で神田を縋るように見てくる。
吐息をもらす唇が、まるで媚香を発するように神田に誘いかけ。気付いた時は夢中でミランダの唇を貪っていた。

「ん・・ぁ、っ・・」

もれ聞こえる声に神田の頭は痺れ始め、歯列をなぞり舌を絡ませると、ミランダからも控え目にそれを絡ませてきて、胸の内をくすぐるような喜びを感じた。
ちゅぱ、と微かな粘着音を出しながら唇を放すと、なだらかに息を荒くしている彼女がいて。

「・・なあ」
「・・・?」

濡れた唇を開きながら、ぼんやりと神田を見ている。

「・・・・・・」
「・・なあに?」
「・・・・・・いや」

何でもねぇ、と呟き。
神田はごまかすように再びミランダの唇を塞ぐ。

うっかり、とんでもなくクサイ言葉を吐いてしまうところだった。

(・・・・危ねぇ)

いつもと違う、この雰囲気にやられたのかもしれない。それでも、こもる熱はなお高ぶりを続け、神田は口には出せぬ想いを唇にたくしミランダへぶつけた。


(・・ああ・・)

ミランダは口腔を優しく蹂躙する舌を、うっとりと受け入れる。
熱に浮かされるように神田の首に腕を回し、そのまましがみつく様に口づけを続けていると、そろりと内股を撫でられて、足の付け根を指で撫でられた。

「・・・!」

びくん、と体が反応してしまう。指はそのままショーツの上を円を描くようになぞり、敏感な花核を人差し指で突いた。

「ん・・っ!」

咄嗟に唇を離す。
指は探るようにそろりと動き、やがて湿りはじめた花唇を優しく撫で突いた。
ミランダは閉じていた瞳を開くと、すぐ鼻の先にミランダが恋したあの黒い瞳を見つけて、うっとりとため息をつく。

なんて、綺麗なのかしら。

(・・吸い込まれそう)

深い海の底のように、どこまでも落ちてしまう。
顔の造形ではない、ミランダは初めて会った時からこの瞳に魅せられていたのだ。

「・・神田・・くん」

鼻をすり合わせるように近づけて、首に回した腕に力を込める。胸に溢れる想いが止まらなくて、

「・・大好き、神田くん」

無意識のように、口をついて出ていた。

「・・・・」
「本当よ、大好き・・好き・・」

声に出さずにいられなくて、ミランダはうわごとのように繰り返す。

「・・・うるせえ」

神田はかすれた声でミランダを睨むが、その顔はうっすらと赤くて。それは年相応の少年のように見えて(きっと言ったらすごく怒るだろうけれど)・・可愛かった。



「ん・・ぁっ!」

ショーツの隙間から指を滑り込ませ、湿りを帯びた襞をめくるように指を這わせる。
蜜を絡めた人差し指で敏感な突起を擦りながら、中指に蜜の入口を甘く刺激された。

「あ・・はぁぁ、ん」

クチュ、チュ、と自分から発する水音が聞こえて、隠れるように神田の肩に額をつける。浅く指を出し入れされて、もどかしいような切ない気持ちになった。

「・・すげぇ、濡れてる」

やや上擦って熱っぽい彼の声に、ミランダは胸が熱くなる。何故かいつもより体の芯が高ぶっていて、興奮している自分がいた。

(・・私・・)

まだ数えるくらいしか体を重ねてはいないが、ようやく行為に慣れてきて、痛みが無くなった程度のものだったのに。

(どうしたのかしら・・)

任務の後だから?それとも朝早くに、こんな事をしている後ろめたい気持ちから?

「はぁぁっ・・」

指をゆっくり律動されて、そこからの刺激に体が震えてくる。瞼の奥がじんじんと痺れて、ミランダはそれに耐えるように目をぎゅう、と閉じた。

「・・いいか?」

耳元で囁かれる声に、ミランダは待ち兼ねていたように頷く。神田は片手で太股を開いて、ショーツをするりと取ると、指で濡れた襞を割り、自身を挿し込むようにあてた。
吸い込まれるように先端がミランダの中へと埋まり、腰から下がびりびりと痺れて何も考えられない。

「・・か、んだ・・くんっ!」

ミランダの体が衝撃にのけ反り、神田がそれを掬うように抱きしめる。言葉もなく、強く強く抱きしめられて。ミランダは幸せだった。

「・・はぁっ・・あぁっ」

ゆっくりとした律動は次第に熱を帯びて、神田の腰は激しく動き出す。

「・・きつい、な・・」

苦しそうに呟きながら、ガクガクとミランダを揺さぶり、足を肩にかけるようにさらに深く繋がると、神田のものが突き入れられた。

「あ・・ああぁぁっ!」

頭の一部が白くなる快楽の中で、ミランダは唐突に不安に襲われる。

「・・・い」

それは深く考える事なく、ミランダの口から言葉として出てきて。

「・・なんだ?」

神田が腰の動きを止めて、聞き返す。

「ずっ、と・・一緒にいてくれ・・る?」
「・・・・」

願うようなミランダの視線に、神田の胸がぎゅうと締め付けられた。ミランダの頭を抱きしめて、目を閉じる。

「阿呆か、おまえは・・」
「だって・・だって・・」

子供のように、ミランダは声を震わせていて。神田は愛おしむように、抱きしめた頭に唇を寄せると、

「決まってんだろ・・バカ」

さらに深く揺さぶり、激しく腰を突き立てて、耳元で鳴くミランダの甘い声を聞いた。

「・・っ、おまえみたいな女・・心配で、放っておけねぇよ」
「あっ・・ああぁ・・!」

抱きしめられた神田の腕の中、ミランダの喘ぎ声が室内にこだまする。神田の一部が、ミランダの中をかきまわして暴れていて。それは狂おしいほど、嬉しくて幸せな事だった。

「っ・・!はぁんっ・・」

湧き上がる快楽に目眩がして、ミランダが目をつぶると、駆け抜ける絶頂感に、助けを求めるように神田の腕に縋り付いた。
ミランダの中で神田のそれが大きく膨張する。

胸が詰まるほどの愛しさと嬉しさを覚えながら、それが破裂するのを感じて、ミランダは神田の鼓動を下腹部に感じながら、ゆっくりと意識が途切れていった。









繋がったまま、意識を失うように眠ってしまったらしく、神田が目覚めた時、目の前にミランダがいて軽く驚いた。
ミランダはぐっすりと眠っていて、その無防備な子供のような寝姿に、神田は僅かに頬を緩める。

(・・・・・・)

ミランダのくるくるした巻き毛が光りを浴びて、まるで天使みたいだと。柄にもなく考えてしまった自分に、神田は眉を寄せる。

(俺も、こいつのお花畑みたいな脳みそにやられたか?)

「ったく」

起こさないように、小声で呟きながらシーツでミランダを包むと、神田はその横で目を閉じた。
とりあえず、と頭で考えながら。

(・・少しは危機感を持ったか?)

『何でもやる』だけは言わなくなると信じたいが・・・。

(・・・にしても)

神田はちらっと横にいるミランダを見ながら、

「めんどくせぇ女だ」

ため息まじりに呟いた後、抱き寄せて腕枕をすると神田は再び目を閉じたのだった。






End

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