D.gray-man


2


まだ、夢のような気がする。

ミランダは温かな舌の感触を口腔に感じながら、現実だと確かめるように彼の服を握り締めた。

(マリさん・・)

任務中に連絡が取れなくなった彼が心配で。心配でたまらなくて、会いたくて、会いたくて。
忍び込むように、マリの部屋へ来てしまうと、枕と布団に彼の残り香を感じて、ミランダは安心からかつい眠ってしまった。

目が覚めて、マリを見たときはまだ夢を見ているのだと、信じられなくて。
嬉しさと、夢ではないかとの不安から、涙が止まらなかった。

(・・夢・・じゃないのよね?)

目を閉じて、また開いて。

「大丈夫だ・・夢ではない。消えないよ」

低い声で囁かれ、耳たぶを甘く噛まれる。

「・・ぁ、っ」

ビク、と反応して。
マリはまだ団服のままだから、本当に帰ってきたばかりなのだろう。生地から少しだけ土の匂いがして、マリと同行したこの団服もなんだか愛おしかった。

(・・あ・・)

パチン、と器用にドレスのボタンを外していく。
その指はいつもより性急な印象を受けて。ミランダはそんなに自分を求めてくれているのかと、胸が高鳴ってしまう。
もどかしそうに、全てのボタンを外し終えると、マリの大きな手がするりと滑り込んで、ビスチェの上から乳房をゆっくりと揉みしだいた。

「・・っ・・」

親指がビスチェをめくるように柔肌に触れ、敏感な頂きにとどく。摩るように指先で刺激されると、じんじんとした疼きがミランダに芽生えた。

(ああ・・・)

触れられる事が、嬉しい。
ビスチェを下げて乳房をはみ出させると、マリは固くなりはじめた尖端に吸い付いた。

「・・!」

声にならない吐息のような叫びがもれると、ミランダはマリの頭を抱きしめる。
転がすように舌が乳首を弄び軽く歯を立てられると、そこから微弱な電流が流れて、じんわりとショーツを濡らすのを感じた。

「あぁ・・はぁ・・」

乳首を舌で愛撫しながらマリの手はミランダのスカートをめくり、太股をそろりと撫でる。

「・・ミランダ」

切なく掠れた声に、うっとりとため息がもれた。服を着たままでこんなふうに肌を触れられた事はない。
繋がりたいと、求められているようで・・。

それはとても嬉しかった。

ミランダの太股をく、と持ち上げて、マリは人差し指でショーツの上をなぞる。ツツ、と触れるとそこはもうしっとりと濡れていて、すき間から指を滑らせると温かな滴りがマリの指を濡らした。
入口を撫でるようになぞると、それに応えるように蜜が溢れる。

(ああ・・)

マリの硬い指が触れている。
そう思うだけで胸が高鳴りもっと触れてほしくて、ミランダは恥じらいながらもそっと足を開いた。
そんな行動に自分でも驚きながら、ミランダもまたマリと繋がりたくて。彼の硬くて熱い肌を想うと、胸が焦がれてたまらなかった。

(マリさん・・)

クチュ、と音を立てて指が差し入れられると、ミランダはぞくぞくと背中が粟立つような快感にシーツを握る。
きゅう、と締め付けを感じながら指はゆっくりと律動し始めた。指腹で上を擦るように動かされると、息をするのも苦しくて。

「ぁあ・・はぁっ・・」

じわじわと全身に広がっていく甘い痺れを感じていたが、突然快楽を引き戻すように指が抜かれてしまう。
マリが団服のボタンを外しているのを耳で聞き、ミランダはその期待に胸が震えた。最後のボタンがもどかしさから弾けた音が聞こえて、カチャカチャと性急にベルトを外す。
団服は前のみ開けて、中に着ている黒いシャツがのぞいていた。

「ミランダ・・ああ・・」

ショーツを片足だけ脱がされ、マリが覆いかぶさりながら張り詰めた彼自身を花唇に宛がわれると、ミランダは焦がれるように吐息をもらし、マリの首に腕を回した。

「マリさん・・」

自分でもわかるくらい、甘い声をしている。

「・・マリ、さん」

名前を呼びたくて、

「マリさ・・」

優しい唇に塞がれ、その名前は言えなくなってしまったけれど。
マリの舌が包むようにミランダのそれを絡めると、応えるようにミランダもそろりと舌を絡ませる。
痺れるような、とろけてくるような感覚がして、マリの首に巻いた腕の力が弱まると、花唇にあてられた彼の陰茎がズズ、と押し入れられて。

衝撃に、ミランダの腕は再び首に巻き付いていった。

襞を巻き込まないように指で押さえながら、ゆっくりと押し入れてくる。

「っ・・はぁっ・・んっ」

ぐぐぐ、と最奥まで貫かれると、圧迫感に身体がのけ反る。マリはひと呼吸置いて、ミランダの下唇を軽く吸うと、

「動くぞ・・」

そう言うなり、ミランダの膣(なか)でマリは唐突に暴れ出す。

「あっ・・あぁぁっ!」

ガクガクと揺さぶられ激しくマリのモノが出入りされ、ミランダは助けを求めるように彼の首を掻き抱いた。
それと共に溢れ出す蜜が、淫靡な水音となって静寂した夜の部屋を妖しくさせていく。
いつも優しくゆっくり愛してくれる彼が、今日は少しだけ性急で。けれどそんなマリに、ミランダの胸は不思議と甘く締め付けられる。

マリがミランダを抱きしめながら、深く深く突き上げる。互いに存在を確認するように抱き合いながら、ミランダは涙が溢れて。
マリの熱い呼吸を首に感じて、擦りつけるように肩に額をあてた。貫かれて全身に微かな電流が広がっていく。

「はぁ・・あ!・・あんっ」
「ああ・・ミランダ、ミラン・・ダ」

微かに震えるマリの声を聞いて、ミランダの胸も震えてくる。

夢じゃない、と。
本当に、本当に帰ってきたんだ。

「・・お帰り・・なさい」

マリの首を抱く腕、その指先は震えていた。

「・・・・」

マリは腰の動きを止めて、抱きしめる腕の力を強めると、

「ただいま・・」

見えないはずの瞳が、とても優しい光りを宿してミランダを見下ろしている。

「帰ってこれて・・よかった」

囁く声には、喜びが滲んで。
幸せに胸が熱く痺れるのを感じながら、ミランダはマリの肩に再び額をつけた。
それが合図のようにマリの腰は動き出す。

「あぁぁっ・・!」

擦り合うような膣内の動きがさらに早くなり、ミランダは激しさに息が止まりそうだった。

マリの大きなベッドがぎしぎしと鳴って、窓から差し込む月明かりに二人が重なる影が映し出される。
揺れ動く影の動きは淫靡であったが、それは快楽に翻弄されたミランダの視界の隅に映されただけだった。

「は・・ぁんん!・・あっ」

喘ぎ声を殺すようにマリの肩に唇をあてるが、それはかえってマリを刺激させ、腰の動きは早まる。
動きに合わせるよう収縮を繰り返し、出し入れされるたびに、びりびりと電流が流れた。

マリの呼吸が荒くなっていくのを聞きながら、ミランダは奥がゾワゾワと何かが突き上がってくるものを感じる。
絶頂の予感に秘所が熱く痺れ出して、意識が何かに持って行かれてしまう。

「・・っ、は・・ぁっ!」

ぼんやりと視界が白むなか、マリの呼吸も絶頂感に乱れはじめるのを聞いた。

「・・っ、いくぞっ・・!」

苦しげに呻いて。
いつものように自身を引き抜く瞬間、ミランダがそれに抵抗するように抱きついていた。

「ミランダ・・!い、いかん・・!」
「いいの・・あっ!ぁああっ・・」
「ぐ・・うっ!」

マリの動きがさらに激しさを増す。
ミランダの身体に雷が走り抜けて行くと、時同じくマリも己の絶頂感に震えて。

「あぁっ・・!マリ、さぁ・・!」

ミランダは飛んでいく意識の中、マリに強く抱きつく。

「・・だ、めだっ!」

ミランダを強く抱きしめると、さらに深く差し入れ破裂するように、ドクン、ドクンと熱を放出した。






暖かな温もりに、目が覚めて。ミランダはマリの腕の中に抱かれていた。

(・・・あ・・)

胸元が、はだけているのに気付いて。
慌ててボタンを留めようとしたが、そうすればマリの腕を解かなければならない。

(・・・・)

そっとマリを窺うと、彼はぐっすりと眠っているらしい。
ミランダを胸に押し当てるように抱きしめながら、静かに寝息をたてていて。マリのこんな無防備な姿を見るのは、とてもめずらしかった。
彼は寝ている時も、微かな気配にも反応するくらいだから。

(・・マリさん・・)

厚い胸に顔を埋めて、声に出さずに名前を呼んだ。

「・・・・」

ちら、と顔を窺って。

(大好きです、マリさん)

きっと声に出したら、目が覚めてしまうから。こんな愛しい姿の彼を独り占めしているのが嬉しくて、ミランダは目を閉じて胸の中で呟いた。

(・・あ・・)

さっきの行為で胎内に放出されたマリの精が、じわりと秘所から滲み出るのを感じる。

(・・私)

最後の瞬間に離れるのがとても嫌でたまらなくて。彼の放つ全てをを受け止めたいと、あんな行動を起こしてしまった。

「・・・・・」

頬が染まってしまう。あんな風な自分をどう思われただろうか。
目を閉じてマリの胸に耳をあてると、心臓の音がドク、ドクと聞こえてきた。その音が、ミランダが胎内で放たれた感覚によく似ていて。

(そうだわ・・)

あの瞬間。
ほんとうに溶け合うような、素晴らしく満ち足りた気持ちになったのは、マリの命の一部が自分の身体の一部になった気がしたから。
胎内に残るマリの存在を確かに感じながら、ミランダはマリの心音に耳を傾ける。

抱きしめられる腕の中、全身でマリの存在を感じられて、ミランダはここに来てようやく安らかな気持ちになったのだった。




End



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