D.gray-man


2


神田は、うたぐるように見ながら

「フン・・お前は、ホイホイついて行きそうだからな」
「そ、そんな事っ・・」
「現にさっき、俺にねだったろうが」
「だ、だって・・あれは神田くんが教えてくれるって言ったのよ・・」

ミランダは困ったような、泣きそうな顔で両手をギュッと胸の前で握り絞める。

「そ、それにそうだとしてもっ・・神田くんなら別に平気だわっ」

責めるように、神田を見た。

「だからそういう所が、お前は危ねぇんだ・・って・・・ん?」

(平気?)

神田の思考が一時停止する。
ミランダは自分が言った言葉にハッとして、思わず口を押さえた。

「そ・・そのぅ・・」
「おい」

じりじりと、ミランダは神田に追い詰められていく。背中に壁が当たるのを感じて、ミランダは目をギュッとつむった。

「ご、ごめんなさい・・き、気をつけるからっ」
「おい・・目を開けろよ」

ミランダを逃がさないように、神田が壁に両手をついた。

「今のは、嘘じゃねぇだろうな」
「う、嘘じゃないわ・・」
「訂正すんなら今のうちだぞ」
「訂正・・?」

そっと神田を見ると、彼の顔は真っ赤に染まっていた。

「そういう事を、平気で男に言うってことはな・・」
「か・・神田くん・・?」
「・・うるせぇ」

眉間に皺を寄せながら、戸惑うようにゆっくりと、顔が近づいてくる。

「・・・・・」
「目、閉じろよ」
「!・・」

ミランダが目を閉じると、チュ、と音がして。神田の薄い唇が、ぎこちない動きをしながら彼女の唇を味わう。

(わ・・)

脳の一部が痺れるような、感覚に眩暈がしそうだ。
下唇を軽く吸われて、そっと離されると。うっとりとしたため息がもれた。神田が生唾を嚥下する音が聞こえて、ミランダは胸の鼓動が速まる。

「おい・・・」
「な・・なあに?」
「ひとつ、聞きてぇ事がある」

気まずそうに、ミランダから目をそらして。

「・・・・その」
「・・・?」
「お前・・あんのか?」
「・・な、何が?」

首を傾げる。神田はギロ、と睨みながら

「何って・・他の男と・・その・・アレだよ」
「アレ?」

目をパチクリとして、神田を見ていると、

「い・・いや、なんでもねぇよ」

赤い顔のまま、口をへの字にしてミランダを見た。

「・・・・・」
「・・・おい」
「は、はい?」

びく、として神田を見る。

「・・覚悟はいいな」
「え?・・」

覚悟って何の?と口に出す間もなく、ミランダの体は宙に浮いた。

(!?)

神田の腕に抱き上げられている事に驚いて、咄嗟に身を硬くする。

「かかか神田くんっ・・!?」
「・・・・」

ミランダがベッドへと降ろされると、何か声を出す間もなく、神田の唇が彼女の唇を塞いだ。

(・・!)

先程の、ぎこちない口づけではない。性急な、何かに追い立てられるような口づけに、窒息しそうになる。

「ん・・っんっ・・!」

覆いかぶさり、ベッドに縫い付けるように手首を押さえられて、痛いくらいだ。舌を割入れられ、歯がカチリと当たる音がする。
歯列をなぞり唾液まで吸い取られるような、その荒々しい口づけに、ミランダの体は反応するように熱くなっていった。
チュパ、と音がして離されると。二人の唇に糸が引いているのを見て、くらくらと眩暈がした。
乱れた呼吸で神田が、自分を見ている。彼の長い髪が、まるで閉じ込めるようにミランダの顔を囲んでいて。その姿は瞬きするのが勿体ないくらい、綺麗だった。

「神田・・くん?」

掠れた声で、呼びかけると。

「・・・・・俺は、やめねぇぞ」
「・・・・」

ミランダはそっと目を閉じて、頷いた。

じれったいと言わんばかりの手つきで、ミランダのドレスを脱がしていく。ボタンがちぎれそうで、ひそかにドキドキしていてしまう。

「あ・・あの、神田くん・・明かりを・・」
「・・あ?」
「その・・明るいと・・恥ずかしいから・・消してくれない?」

神田は首を傾げながら

「・・消したら見えねぇだろ」
「だ、だって・・恥ずかしいわ」

おずおずとお願いするが、

「だから、消したら見えねぇだろうが」

ムッとした口ぶりに、ミランダは困ったように眉を寄せたが、やがて諦めたように赤い顔でギュ、と目を閉じた。
細く白い首筋に舌を這わせて、華奢な鎖骨に吸い付いた。肩紐をずらすように胸を被う下着を外すと、充分に実った乳房がまろび出る。
ふにゃ、と柔らかな感触を手の内に感じ、思わずゴクリと生唾を嚥下した。

(やわ・・)

外気に触れた乳首がピンと硬くなり、指で軽く摘むとミランダの体が跳ねた。

「!・・ぁぁっ・・」
「・・ここがいいのか?」

神田は尖端を口に含み、転がすように吸い付く。

「んっ、はっ・・」

もう片方の乳首を指先で刺激すると、ミランダの全身が薄桃色に染まって。
甘い声が吐息と共にもれるのを聞くたび、神田の下半身は悲鳴を上げるように熱くなる。
そっと、指先で彼女の秘部を確かめるようにショーツに手を入れた。柔らかな恥毛に触れた後、初めて触れたそこは、もうしっとりと湿っていて。

「・・濡れてる」

ぽつ、と独り言のように呟くと、

「か、神田くん・・は、恥ずかしいから・・言わないで・・」

ミランダは 赤い顔を隠すように、手で覆った。
その仕種に抑えられない、興奮のような衝動を感じて。やや強引にショーツを下ろして、ミランダの太股に足を割入れる。

「・・神田、くん・・?」
「・・・・」

投げ捨てるように服を脱ぐと、カチャカチャとベルトを外し、起立した陰茎を取り出した。
指先で場所を確認するように花唇を摩り、蜜壷を探しあてると、ゆっくりと挿し入れる。キュウ、と指に吸い付く感触に神田の息は荒くなった。

(そうだ)

ふと、ラビから渡された避妊具を思い出し、箱から四角い小袋を取り出す。ピリ、と破り。中からぬめりのある奇妙な形状の物が出てきた時、神田は眉間に皺を寄せた。

(・・なんだ、これ・・)

てっきりベロンと一枚入っているんだと、思い込んでいた。

(これ・・畳まれてんのか?)

じぃ、と凝視していると。

「ど、どうしたの・・?」

ミランダの不思議そうな声がして、ハッとする。

「な、なんでもねぇよ・・」

(そうだ・・箱に説明書が)

箱の裏に使用方法が載ってあり、神田は安堵しつつ装着を急いだ。説明書によれば、尖端の空気を抜きながら装着しなければならないらしい。

(・・チッ、面倒臭ぇな・・)

ラビに言われた『練習』の意味が分かった気がする。
ミランダが突然動きの止まった神田を心配して、チラチラと見てくるので、いやがおうにも焦って、手元が狂いそうになる。色んな意味で汗をかきそうだ。

(できた)

内心ホッとしつつ、神田はようやく自身をミランダの花唇にあてると、擦りつけるように、ゆっくりと動かしてゆく。

「・・っん・・あぁ」
「・・っ」

張り詰めていたそれは、軽い刺激にも電流のような痺れをもたらす。探りあてるように蜜壷に宛がうと、ぐ、と押し進めた。

「んっ、んんっ・・!」

ミランダが顔をしかめて、シーツを握り絞める。尖端しか入れていないのに、神田は奥歯を噛み締めて耐えた。

(くっ・・)

呼吸を整え、一息ついて。更に深く、グッ、グッと押し入れて行く。

「あ・・か、神田くんっ・・い、痛いっ・・!」

ミランダの瞳が潤んで、苦しそうに見上げてくる。
その顔が、今まで見たどの彼女の表情より綺麗で、神田はたまらず口づけを落とした。

「神田・・く、ん」
「・・・・ちぃと、我慢しろよ」

申し訳なさげに囁いて、ミランダが小さく頷いたのを確認すると、神田は一気に最奥へと貫いた。

「あっ・・あああんっ!」
「・・・くっ!」

ギュウ、と締め付けてくる感触にどうにかなりそうで。

(なんだ・・これはっ・・)

鳥肌が立ってくる。
グチュ、チャ、と淫靡な音と共に腰を動かしていくと、飲み込まれていくような、快楽が神田を支配していった。

ミランダの苦しげに、切なげに喘ぐ声にたまらなく興奮して、神田はまるで噛み付くように、ミランダの唇を何度も貪る。

「・あっ・・ああっ・・!」

ミランダが、助けを求めるように神田の首を掻き抱いて来て、

「・・っ!だ、駄目だっ・・」

その行為に、何かが破裂するような感覚を覚えた。激しく突き上げながら、早くも限界を感じて。

「いくぞっ・・!」

掠れる声で叫ぶと、震えるような絶頂に、ミランダの深部へ精を吐き出したのだった。








うっすらと血液の付着した使用済みの避妊具を見て、神田は内心ホッとしていた。
どうやら彼女も初めてだったようだ。
ミランダはシーツに包まりながら、ぐったりと枕に頭を預けている。

「おい・・」
「え、なあに・・?」

そっと、ミランダの顔を覗き込む。

「お前・・眠いのか?」
「え?そ、そうね・・その・・疲れちゃったのかしら」

恥ずかしそうに、顔を赤らめた。

「・・駄目だ」

神田はミランダが包まっているシーツを剥がす。

「きゃっ!えっ?な、何っ!」
「お前、イッてねぇだろ」
「は?・・イッて?」

ミランダは瞬きをして神田を見る。神田は腕を組んで、不遜に笑うと、

「お前も気持ちよくねぇと、ヤッた意味ねぇだろ」
「えっ、き、気持ち良かったわよ」
「嘘つけ、あんだけ痛がってたんだ。気持ち良いわきゃねぇ」

フン、と鼻を鳴らす。
ミランダは剥がされたシーツを胸に宛がうと、

「か、神田くんだって・・疲れたんじゃない?」
「あんなもんで疲れるわけねぇだろ」
「で・・でも」
「いいから、こっち来いよ」

ミランダの手をぐい、と引っ張り、そのまま組み敷いた。

「・・貰ったやつ、あと11個あるぜ」

ピラリ、避妊具を見せて。
青ざめるミランダをよそに、神田はその白い首筋にキスをした。

「えと、その、あっ・・・んっ・・!」

そうして、揺れる二つの影が、再び一つになっていく。



その夜、ミランダは若い男のリビドーを身を持って知る事となり。
神田は、あまりに手加減なしで求め過ぎた為、その後なかなか二度目のお許しが出なかったという・・・。





End




- 52 -


[*前] | [次#]





D.gray-man


(D.gray-man....)





戻る


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -