D.gray-man


2


どうしてだろう、胸が締め付けられる。
再会の喜びが、今になって溢れたのか。それとも、彼の手から伝わる、優しい熱に 溶かされたのか。

(マリ、さん・・・・)

きゅ、と手を握り返して。

「あ、あの」
「?・・」
「無理して・・ないです。本当に・・」

精一杯の勇気で囁いた。マリの手が、頬にかかる。吸い寄せられるみたいに、ミランダに触れるだけの口づけをした。
それは、次第に熱を帯びて、粘着を増していく。立ったまま、口づけを受け入れていると、ミランダの足はフラフラと後退して壁際に追い詰められていく。冷たい壁が背中にあたり、逃げ道がもうない事を感じた。

「ん・・ふ・・っ」

舌が、歯列をなぞるように、割入れられて。貪るようにミランダを追い詰める。

「・・はっ・・マ、マリさ・・」

めまいがする程、情熱的な行為。マリは口づけを続けたままミランダを抱き上げて、そのままベッドへ運んだ。ふわりと寝かされたのが分かる。

「本当に、いいか?」

マリの声が優しくて、ミランダは泣きそうになった。頷くしかできなくて、そのまま目をつむる。
胸元のボタンを外されるのを感じ、ミランダの鼓動は速まっていった。

(あ・・・)

あまりに器用に服を脱がしていくので、恥ずかしさから体を捻る。
マリはうなじから、鎖骨へと舌を這わし、それからその太い指であらわにされた乳房に触れた。
包むように触れて、尖端に指が届くと、ミランダの胸に形容できない甘い疼きが広がる。

(・・あ、そんな・・)

マリの舌が、乳首を捕らえて、チュパ、という音と共に吸い付かれた。

「はぁ・・んっ」

声が洩れて、恥ずかしさから口を押さえる。快楽に支配され始め、自分じゃなくなるようで恐ろしい。

「ま・・まっ・・まって」

マリは応えず、乳首に吸い付いたまま、自身のシャツのボタンに手をかけた。

「は・・あぅん・・あ・・ま、待って」

首をイヤイヤと振る。

「・・や、やっぱり・・あ、あぁ・・ん!」

ミランダの言葉を遮るように、マリに唇を塞がれた。吐息まじりの、キスをされ

「・・・待たない」

有無を言わせない、優しい声音。

「もう・・待たない」
「!」
(マ、マリさん・・・)

顔が熱くなる。
ふと、バラの香りがして、枕元にそれがあるのを確認した。香り袋から発する甘い香りに、ミランダは内側からとろけていくのを感じていた。

初めて触れた彼女の感触に、マリは夢中になる。自身の服を乱暴に脱ぎ捨て、素肌で触れ合えば、ミランダの熱が直に伝わりめまいがしそうだった。
ほのかに甘い乳首を口に含んだまま、彼女の体を確認するように手のひらでなぞっていく。

「あ・・ふぅ・・ん」

ミランダの声が洩れて、マリは下半身が猛っていくのを感じた。

(ミランダ)

恋しい人の名を、心で呼んで。指先が、彼女の秘められた場所へと下りていく。
つつ、と花唇をなぞると、ミランダはビクリと震えた。しっとりと、潤ったそこに、マリはほくそ笑んで。そのまま、ゆっくり指を沈める。

「あぁ・・・っ!!」

その衝撃に耐え兼ねるように、ミランダはギュッと目をつむった。
クチュ、クプ、チュ、卑猥な水音が聞こえ、それが自分からだと感じる。恥ずかしくて、死にそうだ。

マリの指は、ゆっくりと、けれど規則的に律動する。ジンジンとじれったいような痺れがミランダの子宮に感じて

(ああ・・なんだか・・すごく・・)

熱くなってきた。
潤っていても、まだいくぶん固さのあるそこを、解そうと、マリはミランダの足を肩に掛ける。

「!?・・やっ!マ、マリさんっ・・」

抵抗しようにも、がっちりと抑えられ、動けない。マリは秘所に顔を埋めて、吸うように舌をはわした。

ジュ、チュ、クチャ、

涙が出そうな程、恥ずかしいのに、体は反応してしまう。花芯を、突くように刺激され、ミランダは体がのけ反った。

「あ・・んんっ・・!」

知らずに出てしまう、嬌声が恥ずかしい。

(こ・・こん・・な・・)

奥底から、沸き上がる、抗えない何かを感じて、ミランダはギュッとシーツを握り締めた。

「あぁぁぁ・・っっ!!」

足が、ビクビクと、痙攣して意識が何かに持って行かれる。固く閉じたまぶたに、優しい感触がして、それがマリの唇だと知り、ミランダはまぶたをそっと開いた。

(・・・達したか)

マリは、ミランダのまぶたに口づけを落とす。荒い息の彼女を、そっと抱きしめた。

(ミランダ・・・)

もう、限界だった。
己の下半身は、怒張して、一刻も早く一つになりたがっている。

「・・入れるぞ」

耳元で囁いて、そっと、片足を持ち上げ陰茎を花唇にあてた。グッと襞を拡げるように、押し入れる。

(・・!)

あまりの締め付けに、眉根を寄せた。

「!!・・あっ、はあ・・ぁんっ・・!」

ミランダは、苦しそうに唇を噛み締める。

「大・丈夫か・・?」

ミランダは助けを求めるように、マリの背中に手を回して

「だい・じょ・・ぶ・・です」

荒い息で応えた。

(・・すまない・・)

マリは、ゆっくりと腰を押し進めていくと、痛いのであろう、ミランダからは苦しそうな息が洩れてくる。

「・・ふ・んっ・・」

最奥まで、届くと、マリは息が洩れた。

「全部・・入った・・」

赦しを乞うように、口づけを落とす。

(ああ・・ミランダ)

苦しそうに、しながらも口づけに応える彼女が愛おしかった。両手をついて、律動を開始する。

「ああぁ・・!んっ・・!」

彼女の膣(なか)はあまりにきつく、吸い付くようで。マリは歯を食いしばった。

体が、乗っとられてしまいそう。なんという圧迫感なの。マリさんに、壊されてしまいそう・・・

いや、壊されたいのかもしれない。

ミランダは、上下する視界で快楽に苦悶する、マリの顔を見た。汗が額に浮いていて、男の匂いがする。

(はじめて・・・)

こんな彼は、初めて見た。きっと、長い付き合いの誰も、こんなマリを見たことは無いだろう。
ミランダは、ひそかな優越感を感じていた。

(・・マリさん、マリさん)

肌と肌が、触れ合うのがこんなにも気持ち良いとは。

「ああ・・はぁん、あん・・!」

ふいに、マリの動きが速くなり、ミランダの意識はそれに捕われる。
揺さぶられるように、激しく突かれて、先程感じた体の奥底から湧き出る疼きが顔を出した。

「・・マリ、さん・・」

抱き合いながら、名を呼べば、愛しさが込み上げてくる。絡まるように、マリを飲み込んで、離さない。
マリは、この強い刺激に、もう耐えられそうになかった。

(くっ・・・)

鳥肌が立つ。

「あ、はぁん・・・ああっ、も・・もうっ!」

マリは、襞を擦り上げるように突き上げた。ミランダは、ガクガクと揺さぶられる。

(くっ・・もう、だめだ・・!)

ミランダの奥が、キュ、と締め付けてマリに縋るように、抱きついてきた。

「だめっ、あ、ああぁっ!い、いやぁっ!!」

血脈が、ドクン、ドクンと鳴るのが陰茎に伝わり、ミランダが達したのを感じる。

(こっちも・・限界だっ・・!)

絶頂感に、引き抜いて手を待てずに、ミランダの腹部に白濁の液をぶちまけた。


甘い香りに、ぼんやりと目が覚める。


「気がついたか・・?」
「私・・・?」
「意識を失っていたんだ・・」

ミランダは、ハッとして顔を赤らめた。

「大丈夫か・・?」

心配そうに、頭を撫でられる。

「は・・はい、ごめんなさい・・」

恥ずかしさに、布団を顔まで持ち上げた。互いに、素肌のまま密着しているのに、不思議な安心感。
ミランダは、マリの腕に抱かれていた。行為の時の、なまめかしい空気はもうない。

「・・体、辛くないか?」

優しい声。

「・・平気、です」

マリは微笑んで、ミランダの髪をひと房取り、キスをした。

(マリさん)

幸せで、頬が緩んでしまう。ふいに、マリが香り袋を手に取って、

「・・これ、香り強くないか?」

少し、心配そうに言った。

「え?とってもいい香りですよ」
「そうか・・なら、いいんだが・・」

マリは、枕元へ袋を戻して、そのまま流れるようにミランダの額にキスをする。

「・・ミランダ・・・」

そのまま唇は、鼻先を辿り、頬へ。

「・・・愛している・・」

静かに、唇を塞がれた。

(ああ)

ミランダは、うっとりと、目を閉じる。ちゅ、と粘着音がでて胸が熱くなっていった。


(きっと、何年経っても)


バラの香りをかぐたびに、あなたに愛された、この日の事を


(私はきっと・・・思い出すわ。)




end




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