D.gray-man


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「ミランダか、ちょうどいい。」

婉然と微笑んだクラウドは、食堂にいるミランダを手招きした。

ミランダはちょうど夕食を終えたばかりで。食器を片付けているところだったが、突然の呼びかけに持っていたトレーを落としそうになって慌てた。

「ク、クラウド元帥・・・」
「この後、何か予定は?」
「え、と・・お風呂に入るくらいで・・特には」

ぱちぱち、と瞬きをしてクラウドを見る。

「では、風呂の後で一杯つきあわないか?」
「えっ・・!わ、私がですか?」
「嫌でなければ、だが」
「ま、まさかっ!」

首をブンブンと振った。

「では、談話室で待っているぞ」

クラウドは軽く頷いて、踵を返した。







修練の後、皆で風呂に入るのは日課のようになっている。

今日もマリは、ラビやアレン、神田らと湯に浸かりながら青少年たちの他愛もない話に、耳を傾けていた。
いつもは夕食に何を食べるかだの、新しい団服のデザインがどうの、たいていは実のある話ではないが、今日の話の内容はマリにとって気になるものだった。

「いやー、なんかスゲェもん見ちゃったさ〜っ」

ラビが興奮気味に言う。

「スゴイって、何がですか?」
「いや、オレ着替え取りに部屋へ行く途中にさ、談話室で話し声が聞こえたからのぞいたんさ、そしたら・・・」

ラビは意味深に笑って、マリをちらと見る。

「なんと、ミランダとクラウド元帥とブリジットさんが、酒飲んでたんさっ!」

マリは思わず目を瞠る。アレンは意外そうに大きな声を出した。

「えっ!な、なんか珍しい組み合わせですね」
「だろ?オレもびっくりさ、つか他の奴らもびっくりよ大人組三人が、ワイン片手に和気あいあいと語らってんだぜ」
「ああ・・なんかいいですね、それ・・」
「だろ?なんか、教団は野郎ばっかだから、和むさね」

顎まで湯に浸かりながら、ラビはにまーと笑った。






ミランダが談話室に入ると、クラウドの他にもう一人いた。

(あの方は、たしか室長補佐のブリジット・フェイさん・・)

美人で有能な補佐官だと、有名で。自分とは正反対のタイプだと、ひそかに憧れていた。

「こ、こんばんは・・」

おずおずとソファーに腰掛けた。
ブリジットはミランダをじっと見て、それから微笑むと

「こんばんは、ミランダ・ロットーさん」

クラウドがワインを開けながらミランダを見る。

「たまには女同士で飲もうと思ってな、教団はむさいのが多すぎる」
「は・・はあ」

ラウ・シーミンがミランダにグラスを渡し、クラウドがワインを注いでいく。

「では、乾杯しよう」

クラウドが杯を掲げたので、ミランダもあわせて掲げる。三人のグラスが重なって、心地良い音が部屋に響いた。


ワインの美味しさと、女同士の気安さもあって。意外といっては何だが、ミランダは楽しかった。
クラウドもブリジットも、美人ゆえに取っ付きづらい印象があったが会話すると、そうでもなく。ブリジットにいたってはアルコールがすすんだのか、コムイに対する軽い愚痴や称賛も口にしていた。

話は仕事や、日常、昔話、最近の流行など多岐にわたり、必然的なように、恋愛の話へと流れていった。

「恋なんて、しばらくしてないです・・今はそれどころじゃありませんし・・」

ため息をつくように、ブリジットは呟いて

「元帥はどうなんです?」
「私もダメだな、というより私は昔から男運が悪いんだ」

過去になにかあったのか、つまみのチーズを一口食べながら自嘲ぎみに笑う。

「どうしようもない男しか寄ってこないんだ」
「まぁ・・でも、元帥はその辺の男より漢らしいですものね、わかりますわ」
「・・否定はしないが・・」

クラウドはぐい、とグラスのワインを空にして

「ミランダはどうなんだ、マリとはうまくいってるのか?」

ラウ・シーミンに果物を食べさせていたミランダは、突然恋人の名前が出て驚いた。

「え、ええ・・・と。は、はい・・」

何となく、頬を赤らめて頷く。

「マリ・・って、あのエクソシストのノイズ・マリ?」
「は・・はい」

クラウドは、手酌でグラスにワインを注ぎながら

「で・・どうなんだ?・・」
「え?」

キョトン、とする。

「夜だ。しっかりやってるのか?」
「げ、元帥っ・・!」

ミランダは赤くなった。

「元帥ったらストレートすぎます。まぁ、でも大事ですわね」

ブリジットは頷きながら、残りのワインを傾ける。

「え・・ええっと・・そのっ・・」

ミランダは真っ赤になりながら、小さく頷いた。

「それはよかった。私もあいつとは古い付き合いだからな、二人が幸せになるならそれが1番嬉しい」

クラウドは酔いが回ってきたのか、目が据わってきている

「しかし、ミランダ・・リードするのは男とはいえあまり消極的すぎるのもいただけないぞ」
「??」
「たまには、自分からイニシアチブを取らねば、男というのは勝手なもので、昼は淑女でも夜は娼婦を望むものだ」
「げ・・元帥っ!」

何を言われているか悟って動揺する。ブリジットも、クラウドの言葉に賛同のようで

「そうですね、初々しいのが可愛いのも最初だけ、いずれそれも物足りなくなるって言いますし」

ミランダは急に不安になってきた。

「そ・・そうなんですか?」

二人が、大きく頷く。
ミランダの顔がみるみる青ざめていき、オロオロと二人を見た。

「ど・・どうしましょう・・わ、私・・もう飽きられてるかもしれませんっ」

クラウドは、意味深にフッと笑う。

「なあに、男と一緒だ。女も技を磨けばいいのだ」
「わ・・技?」

ミランダは眉を寄せて、固唾を飲む。ブリジットは興味津々なふうで

「どんな技なんです?知りたいわ」
「よし、教えてやろう。先ずは・・」
「お待ちになって、元帥。メモを・・」

サッとメモ帳を出した。

「ほう、さすが優秀な補佐官だ用意がいいな」
「ありがとうございます。さ、ではお願いします」


その後、クラウドの語りに、ミランダは気絶しそうになりながらも必死に耐えたのだった。







気配がして、目が覚めた。
その気配の正体に、マリの頬が緩む。

(ミランダ・・・)

彼女は、何やらうろうろと、困っているようで小さいため息が聞こえる。
ドアの向こうでは、胸の前で指を組み、ノックをしていいものか迷っているようだ。何となく、ミランダらしくてマリは小さく笑う。

(どうするかな)

ミランダが勇気を出してくれるのを待ちたい気もするが、それより自分の会いたい気持ちの方が抑えられない。
ベッドから起きて、ドアへ向かい指先でドアをコツンと鳴らした。マリの存在に気付いたらしい、ミランダの反応に安堵する。

(・・あまり驚かせずにすんだな)

カチャ、と静かにノブを回して彼女を招き入れた。

「ミランダ、どうしたんだ?」
「あ、あの・・ごめんなさい・・こんな遅くに」

ほんのりと、ワインの香りがする。心音がいつもより速いのはアルコールのせいか。

「寒かったろう?おいで」

マリはミランダの手を取ってそのまま、毛布でくるむように抱きしめる。柔らかな髪が、己の頬にかかって、彼女の香りが鼻孔をくすぐる。冷たくなった頬に唇を落とした。

「そういえば・・クラウド元帥たちと、飲んでいたんだって?」
「えっ!・・ええ・・」
「?・・どうかしたのか?」

ミランダは首を横に振って

「な、なんでもないの・・た、楽しかったわ」
「?・・そうなら、いいが」

ミランダは頬が熱くなるのを感じた。

あの二人に背中を押されるように、ここまで来てしまったが、いざとなるとどうしたらいいのかなかなか踏ん切りがつかない。

(ど・・どうしましょう)

心臓が破裂しそうだ。
優しく抱きしめられながら、マリの顔を窺う。

「・・・・」

脳裏に、クラウドとブリジットの言葉が浮かんだ。

(い・・行くわっ)

「マ、マリさんっ・・ごめんなさいっ!」
「ミラ・・・・!?」

ミランダは、マリの頬を両手で挟むと思いきり、口づけた。

(あれ?なんだか変だわ・・)

そっと、離す。

(!・・わ、私ったら!!)

目をつむっていたので、勢い余って、顎にしていた。

「や、やだ・・私ったらっ・・!やり直しますねっ」

もう一度、マリの頬を両手で挟み唇を近づけると、マリの唇かぴくぴくと動いてるのに気付く。

「・・?」

どうやら笑いを噛み殺しているらしい。

「マリさんっ!ひ、ひどいわっ」
「すまない、許してくれ」

真っ赤になって抗議すると、我慢できないと、吹き出した。

「もう、いいですっ」

恥ずかしくて。ぷいと、ふくれてそっぽを向くと、マリの大きな手がミランダの頬をつつむ。

「?」

そうして、そのままミランダの唇は奪われた。

(!・・)

触れるだけの、口づけは次第に熱を帯びてきて。ミランダの唇を慈しむように、とても優しい。
口づけだけで、自分がどれだけ愛されているか分かる。

うっとりと、目をつむってマリの唇を受け入れていると・・

「!!」

本来の目的を思い出して、慌ててマリの体を突き放した。

「だ、だめですっ!」

マリは突然の拒絶に驚いている。

「ど、どうしたんだ・・突然・・」
「き、今日は」
「?・・今日は、何かあるのか?」
「き・・・今日・・は」
「?」

ミランダはマリの手を取った。

「今日は・・・私が、マリさんに、してあげたいん・・です」
「ミ・・!」

マリが何か言う前に、またミランダに唇を塞がれていた。

さっきのぶつかるような口づけと違い、羽根が触れるように柔らかい。ぎこちなく、動く。マリには、それがまた愛おしい。

「ん・・ふっ・・・」

ミランダの声が、洩れて、マリは下半身に熱が集中するのを感じた。受け止めるだけに我慢できず、ミランダを抱きしめようと背中に手を回した。

しかし

「だ・・ダメっ・・」

ミランダがパッと離れた。

「私が・・するの・・」

ミランダが、マリを抱きしめた。

ぎこちない手つきで、ボタンを外していく。ミランダは緊張から、少しだけ震えていた。
ベッドの上で仰向けになりながら、マリは突然の彼女の行動に戸惑っていた。

(いや・・嬉しいといえば・・嬉しいんだが)

正直、複雑だ。
こちらからは、何もできないのだから。
それでも、せっかくのミランダのやる気に(やる気?)水をさすまいと、マリは人形のように動かずにいた。


(えっと・・これでリード?はとったのよね)

クラウドからの教えを思い出す。

(マリさんに動かれちゃうと・・リードできないもの)

クラウドからは『たまには、女がリードして、男を感じさせろ』という教えを受けていたミランダは、微妙に、何かが違う事に気付いていなかった。

さて、マリの上半身のボタンを外してみたが、ミランダはこの後どうすればいいのか、わからない。

(ど・・どうしましょう・・こ、困ったわ)

ふと、いつもマリにされている事を思いだした。

「・・・・・・」

(最初は・・・)

指先で、つつ、と首筋をなぞる。それから、その首筋に舌を這わした。
小さな、舌先で、チョロチョロと、舐めてちゅ、と鎖骨にキスをする。ちらり、マリを見ると、マリは困ったような切ないような複雑な顔をしていた。

「マリ、さん?」
「・・ミランダ、その、動いても・・」
「ダ、ダメですっ」
「・・・そうか」

力なく呟いて、マリはまたミランダに身を任せる。


(なんの罰ゲームだ)

ミランダはマリの体を覆うよう、に四つん這いになって、まるで小鳥が啄むようなキスを落とす。
彼女から与えられる、ぎこちない愛撫に、愛おしさが募った。本当はすぐにでも、掻き抱いて、ミランダの快楽に堕ちる甘い声を聞きたい。

そうは思うが、一生懸命な姿を思うとそうもいかなくて。

(うう・・・生殺しだ・・)

心の中で、歯を食いしばった。



ゴクリ、唾を飲む。いよいよだ。恐る恐る、その場所へ手を延ばす。

(こ・・これね・・)

ミランダは、先程から自己主張してやまない、マリの下半身へ手をかけた。指先で、形を確認する。マリの体が、ビクンと揺れた。

「ミ、ミランダ・・?」

上擦った声がした。

(が・・がんばりますっ)

マリのズボンに手をかけて、ぐいと引き下ろすと、そこには怒張して、存在感を増したモノが、そそり立っていた。
ミランダは、こんなふうに間近で見たのは初めてだったので、戸惑う。

(こんな・・大きいものだったの・・)

ドキドキしつつ、ツン、と触れてみる。ピクン、と動いた。

(まぁ・・)

もう一度、今度はツツ、と摩る。怒張が増したように見えた。

(まぁっ・・・・不思議・・)

そっと、先端に唇をつけてみる。

「!?・・ミ、ミランダ?」

マリの声が聞こえたが、ミランダは構わず、続けた。それは温かく、ドクン、ドクンと脈打って。

(そうだわ・・たしか・・)

『アイスキャンディーを食べるように』

クラウドの教えを思い出す。

「・・・・・」

舌を出して、亀頭をそろりと舐めた。

「!?・・」

マリは急に訪れた、柔らかな刺激に体が震える。ミランダは、猫のようにチロチロと舐めていて、彼女がその行為をしてるというだけで、目眩がしそうな程刺激的だった。
先程までの、もどかしい気持ちは、もたらされた快楽により掻き消えて。意識が己の下半身へと流れていく。

そして、それはミランダが彼のモノを迷いなく、口に含んだ時に決定的となった。

(うっ・・・!)

口にくわえられて、ゆっくり、動かされる。何とも言えない、心地良さに、鳥肌が立ってきた。

(マリさん・・気持ちいいの・・?)

口に含んで、規則的な上下運動をしながら、ミランダもまた熱に浮かされてきていた。
口腔の彼自身は、どんどん硬さを増していくのが分かる。丁寧に舌で愛撫しながら、ミランダは自身も気付かぬうちに興奮していた。

(マリさんの・・・)

そう思うと、愛しい。
自然と、行為に熱が入り、もっと気持ち良くなって欲しくなる。
チュパ、チュプ、と自らの唾液がそれを支えていた自分の指を濡らして、その唾液によって愛撫の速度は増した。

(わ・・・なんだか、また大きく・・)

口の中で、さらに硬く、膨らんだのを感じる。

(す・・すごい・・)

「くっ・・・!ミ、ミランダ・・ま、待てっ」

苦悶するような声が聞こえた。

「ダ、ダメだっ・・」

マリが急に、起き上がる。急に動かれて、口からマリのモノが抜けてしまった。

「ど、どうしたんですか・・?」
「いや、その・・とにかく、まずいんだ」
「・・?」

よく分からなくて、首を傾げる。




(危ないところだった)

あのままだと、間違いなくミランダの口に発してしまった。正直言えば、それはそれで・・と思わなくはないが、大切な恋人に不快な思いをさせたくはない。

(・・ギリギリだったな)

そっと、汗を拭う。

「あの・・・気持ち良く、なかったですか・・?」

ふいに、ミランダの心配そうな声がしてマリは首を振った。

「・・気持ち良すぎて・・困った・・」

照れたように笑い、それから、ふと真面目な顔でミランダの手を取って、唇を寄せる。

「でも・・・次は、こちらの番だ」

ミランダが、何か発する前に、唇を塞がれた。

「ん・・!マ、・・はうん・・」

なんという、情熱的な口づけ。
まるで噛み付くように、いや、食べられてしまいそうな貪るような、熱い口づけ。
ミランダは、頭の奥が麻痺するような感覚を覚えた。

(や・・す、すごいっ・・)

ベッドにそのまま倒されて、マリの指が、ワンピースのボタンを外し始める。

その肌にたまらなく触れたくて、やや強引に、服を脱がせると、たまらずマリは鎖骨に唇を吸い付けた。
左手は下着を脱がせて、右手はこぼれ出た乳房を愛撫する。

「あっ・・ん!マ、マリさん、ダ、ダメ・・」

甘い声で抗議しても、こちらを高ぶらせるだけなのに。舌先で、乳房の先端を突き、なぞるように動かしてから舐めるように吸い付いた。

「は・・んっ・・!」

快楽に流されはじめた声が、マリの耳に届く。指先を、脇から腰へなぞらせて彼女の曲線を確かめた。
柔らかな、温かな感触。

(ミランダ・・・)

彼女からの愛撫のせいか、マリはいつもより性急になる。指で、ミランダの秘所をそっと摩る。そこはもう潤って、熱を持っていて。
ちゅぷ、と。指を挿してみると、ミランダの体が小さく震えた。

「はぁんっ・・・!」

吐息がもれて。マリはその吐息まで、喰らうように、口づけをした。
歯列をなぞるように、割入れて、舌を絡ませながら口腔を貪る。渇きを癒すように、彼女を求めてしかたがない。

唇を離すと、唾液で糸が引かれて。マリは挿し込んでいる指の動きを速めながら、今度はミランダの秘所に顔を埋めた。

「あ、いやっ・・はあぁぁんっ・・!」

舌の動きに合わせるように、ミランダは嬌声を上げる。マリは、ゾクゾクしながらその声を聞いて、舌の動きを速めた。

突起にキュ、と吸い付くと、ミランダの体がのけ反るように震えて、感じているのが嬉しくてさらにそこを攻める。

「や、やぁんっ・・あ、あぁぁっ!!・・」

ちゅ、ぐちゅ、淫靡な音が響くなか、耐え切れずに声を上げて、ミランダは達してしまった。

薄ぼんやりとした意識の中で、マリの唇が乳首に触れ、それからミランダの唇に触れたのが分かった。

(もう・・何も、考えられ・・ない)

わかるのは、求めて、求められる喜び。ミランダは、マリの頬を両手で挟む。

「マリ・・さん、だいすき・・」

鼻を擦り合わせて、願うように囁いてからキスをした。


愛おしさに、頬が緩み、そのキスを受ける。

「わたしもだ、ミランダ・・ほんとうに・・愛してる」

そっと、抱きしめた。

もう、我慢できない・・。己の猛りは、これ以上無理だと、叫んでいるようだ。

「ミランダ・・・入れるぞ」

耳元で囁くと、ミランダは小さく頷く。マリは自身をミランダの秘所にあてがい、グッ挿し沈めた。

「・・いくぞ」
「あああっ・・・!」

シーツをギュッと握りながら、ミランダは衝撃に耐える。マリは、最初はゆっくりと、しかし、次第に速度を増して膣(なか)ヘ打ち付けていった。
相変わらず、キツイそこは潤いを増しながらもギュウと締め付けてくる。片足を肩にかけて、より深く繋がるように前屈みになって、グッ、グッと押し入れた。

陰茎から、全身、いや脳にまで広がる快楽に目眩がする。

「くっ・・・」

歯を食いしばり、それに耐えるが、すぐにでもイキそうだった。

ミランダは、ガクガクと突き上げられながら、助けを求めるようにマリの首に縋り付く。

「あ、あぁっ・・マ、マリ・・さん、マリ、さ・・」

耐え切れないように、名前を呼ぶしか、できなくて。

繋がった部分が熱い。
ドクン、ドクンと脈打ち、絡まり。互いが互いの熱に、溶かされて、そのまま互いの一部になっていくようだ。
奥が、ジンジンと痺れはじめて、ミランダの中で何かが上り詰めていく感覚がする。

「い、いやぁ・・ああぁぁんっ!・・」

それが全身に走り抜けた時、ミランダはマリを掻き抱く。
ドクン、という収縮とともに目の奥に火花が散ったような気がした。

(・・達したか・・)

そっと、口づけを落とすと、ぼんやりと受け入れる。

乱れた吐息が、煽情的だ。額髪が汗でこごって、マリは指でそれを解く。

(ミランダ・・・・)

マリもまた、限界であった。ミランダが達した刺激で、それが更に強まっている。

「・・いくぞ」

優しく、囁いて。
ミランダの両足を持って、動きを速めた。

「・・あ・・マリ、さん・・!」

達したばかりの敏感な胎内を刺激されて、ミランダは身をよじる。
マリは眉をしかめ、荒い息をしながら激しく攻め立てた。ミランダの肩をぐっと抱き、絶頂感に支配される前に己を引き抜き、自身の掌に白濁の液をぶちまけた。






マリの大きな胸に、顔を埋める。
二人で布団に入りながら、温かい体温を感じて、ミランダは、この時間が大好きだった。

互いになにも纏わず、素肌でくっつく。

(・・しあわせ・・)

自然に笑みがこぼれて、たまらない。それを悟ってか、マリの抱きしめる力が少し強まった。

「ミランダ・・その・・」

マリが、口ごもる。

「はい?」
「・・何かあったのか・・?」
「えっ?」
「その・・随分、積極的だったから」

言いづらそうに、呟いた。

「そ・・それは・・」

なんとなく顔を赤らめてしまう。

「あ、いや、何もないなら・・いいんだが」
「あの・・・」

おずおずと、聞いた。

「き、今日みたいなのは・・ダメ、ですか?」
「まさか・・その、嬉しかったよ」

ミランダの顔がパッと明るくなった。

「やっぱり、元帥のいったとおり・・・」
「元帥?」

マリが聞き返す。

「!?・・やだ、声に出して・・」

慌てて、口を押さえた。

「それは・・クラウド元帥の事か?」
「・・は、はい・・」

びくびくして、マリを窺う。

「大丈夫だ、怒ってるわけじゃないから」

マリは背中を、さすって穏やかに、言った。ミランダは、えっと、その、と口ごもりながら

「・・わ、技を磨けって・・」
「技!?」

驚いて、つい大きな声を出してしまった。

「そ、その・・昼は淑女で夜は娼婦・・に」
「!?」

(なんだ、それは・・)

「・・ほかには・・?」

恐る恐る、聞く。

「・・え?ええっと・・その・・」

ミランダは、困ったように

「う、初々しいのも・・・物足りなくなる・・とか・・?」

小さな声で呟いた。
マリは、なるほど、と心の中で頷く。

(そういうことか・・)

ミランダの一生懸命な姿を思い出し、気づかれないように小さく笑う。

「そんなに、頑張らなくても大丈夫だぞ」
「え・・」
「ミランダは、そのままで充分、魅力的なんだから」
「マ、マリさん・・」
「変わらないでいてくれよ・・」

マリは、真っ赤に茹で上がったミランダの頬を両手で挟んで、

「返事は?」
「は、はい」


ミランダの唇に、この日一番の、優しいキスが落ちてきた。





End




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