「お兄ちゃん」 「ん、どした。」 「あのね、」 「宿題やってほしいのか?自分の力でやらなきゃダメだろ」 「ちがう」 「風呂一人で入りたくないのか?もう6年生だろ?」 「ううん」 「じゃあ、腹減ったか?夕飯食べたばかりだけど」 「違うってば。」 「ん?じゃあ、なんだ?」 「…あのね。あのね、お兄ちゃん」 「おう」 「これ…お兄ちゃんにあげる…」 「…?なんだこれ。こんなに綺麗に包装してもらって。プレゼント?」 「………………父の日」 「……え?」 「パパもママもいない僕にとって、お兄ちゃんは僕のパパだから……」 「…………」 「…お兄ちゃん?…やだった…?」 「……んな、訳、あるかよ…」 「…じゃあどうして泣いてるの?」 「ばか。嬉し涙」 「………あっそ」 「ありがとな。」 「…べつにぃ」 「母の日は俺からお前に何かやんなくちゃな」 「なんでそうなんの」 「俺たちだけでも家族には充分なれる証拠。」 「……………あっそ」 「カーネーションとか?」 「食べ物がいい」 「任せとけ!」 幸せは人それぞれだから |