僕の彼氏は凄く周りに関心がない。周り所か自分にも関心がない。無関心というよりかはこだわりがない。こだわりがないというよりかは、無頓着だ。 時間は守らないし、忘れ物はしょっちゅうだし、身だしなみには気を遣わないし。周りが何していようが気にせず関係ないことやり続けるし。 確かに、僕も時間を守れない時はあるし、忘れ物だってする。身だしなみも近所のコンビニにくらいなら部屋着で行くときもある。けれど、あいつはそんな僕よりもかなり無頓着だ。 今だって、そう。 「もーおっそいよ!ばか!」 「ごめん」 今日はお互い、大学もバイトも休みで久しぶりのデート。なのに、やっぱりあいつは遅刻してきた。しかも連絡を何一つ寄越さない上に1時間もの大遅刻。 それから、僕はもうひとつ目の前でへらへら笑う彼に対して目を見張った。 「しかも、なに、その頭!!」 「え、あ、これ?ギリギリまで寝てたからさー。」 「寝癖そのままにして来たの?」 「うん」 そう笑いながら言う彼。そんな彼の髪型をピカソなんかが見たら、きっと「ブラボー!」なんて拍手するだろう。そのくらい彼の頭の上は芸術センスに溢れる寝癖が自分を見てと言わんばかりに主張していた。 「あり得ない…」 「直す時間なくって」 「…あそ」 僕はそんな彼を見て溜め息を吐いた。 全く折角の久し振りのデートだっていうのにこの男は。 男が男に会いに行くと言っても、僕らは恋人同士だ。それなのに遅刻はするは、頭は凄いことになっているわ。この無頓着さはいい加減どうにかならないものだろうか。 なぜこんなにも無頓着なのか。僕に魅力がないのかな。一応、僕だって彼の気を引こうと頑張ってはいるんだけど、この超絶無頓着野郎にはまだ足りないのか。 「…ねえ」 「ん?」 「なんでそんなに無頓着なの」 「え、」 ズイッと彼に迫ってみるが、彼は苦笑いをしながら後ずさりをするだけ。それでも僕はジリジリ彼を追いつめ行く。 「なんでなの。僕に興味ないの、関心ないわけ」 「は、いや、そんなわけじゃ、」 「じゃあ、なんで!!」 ジリジリ、ズイズイと彼を追いつめていった結果、彼と僕の距離はもう目と鼻の先くらい。いや、もう距離なんて無いと言っても過言じゃないくらい近い。 そんな僕に観念したのか彼は弱々しく両手をあげた。 「ごめんってば。」 「…ちゅーしてくれないと許さない。」 「ここで?」 「うん。ほらっちゅー!」 口を突きだしたまま、目を閉じると、彼の小さな溜め息が耳を掠め、それからちゅ、と控えめなキスをされた。 「これでいい?」 「…んー、足りない、けど仕方ない。許してあげる。」 そう言って、笑いかけると彼も困ったようにに眉を下げながら笑った。 「お前も大概だけどなあ」 「は?なんか言った?」 「いやー別に」 「なんだよそれ、気になる」 僕たちのデートは始まったばかり。 |