▽コンドーム

太陽も微睡み始めた午後三時。白しかない部屋にぽつんと転がる肌色が二つ。僕は今日もまたカレの下ではしたなく喘いでいた。

あっ、あっ、あっ

機械的な声になのか、汚く揺さぶられる僕になのかは分からないがカレは酷く歪んだ顔で僕を見下ろしていた。
でもそれも仕方無いだろう。僕はカレに構わず機械的な声を静かな部屋に落としてゆく。
真っ白な部屋に真っ黒な汚れが付着していく。

あっ、あっ、あっ あっ、

僕が息を吐く度に部屋は白から黒に変わっていく。
ああ、汚い。
ああ、なんて、汚ならしい。
くすみはどんどんどんどん部屋を侵食していく。あんなに綺麗だった白い壁は僕の穢れた行為により灰色を通り越して黒に染まっていった。僕らの汚れが殖えていった。

あ、あ、あ、

カレの上下運動が早くなった。僕もそれに合わせて声を高く、早くする。これはお決まりごとだから。カレがくっ、と咽から苦しそうな高揚を僕の耳に落とした。もうすぐ果てるのね。いいのよ、いいの。思う存分果てなさい。総て総て吐き出せばいいの。僕の中に吐き出せばいいの。それが僕の存在意義で僕らの関係だから。

「イく」
「うん」

カレは不満げに口を尖らせていた。カノジョがナカにダさせてくれない。だから僕は僕の存在意義をここぞとばかりにカレに押し付けた。大丈夫、僕はキミと同じだよ。だから、ね、お願い。あーあ、可哀想な僕。吐き気。

「ゴム男」
「うん」

アア、いいんだよ。
僕が全部受け止めるから。
キミの愚痴も不満も精液も全部受け止めるから。
小さな責任なんて出来ないから。
だから、吐き出して。
それが僕の存在意義で僕らの関係。

アッ、

僕の中でカレが弾けとんダ。パァン。
真っ黒な壁は一気に白に変わった。
カルピスカルピスからだにぴーす。ケフィアケフィアヨーグルト。

僕はゴム男。
キミがカノジョに吐き出せない変わりに吐き出す場所。

あーあ、なんて可哀想な僕。
カルピス飲も。









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