mokoのきなさまのオリジナルキャラクター登場 (現パロ) コンコン 2時間目も半ば辺り。ボーッと退屈な授業聞いていたら突然机の右下から控えめなノック音が聞こえた。僕は驚いて音の方に顔を向けると壁の下の方にある小窓から隣のクラスでいつも一緒につるんでいる黄汰くんと涼くんが顔を覗かせていた。 (美月ー、美月ー) (な、何してるの、二人とも?!) 黄汰くんと涼くんが体操服姿なことから多分体育を抜け出してきたに違いない。僕は先生にばれないくらいに腰を屈め顔だけの黄汰くんに近づいた。 (いーから、いーから。ほい、美月、手紙。) (よくないでしょ?!手紙…?) (とりあえず読んでみて下さい。それでは私らも追われている身なのでもういきますね。黄汰、行きますよ。) (おわっ、…追われてる?!) (ヘイヘーイ。じゃな、美月ー) (悠馬くんにもよろしく言っておいてください。それでは。) (ちょ、まっ…!!) と、いうのが今から約30分くらい前の出来事だ。それでは今僕らは何をしているのかというと。 「お、来たな二人とも。」 「屋上なんか呼びだしてどうしたの?」 手紙の指示通り屋上に来ている。屋上にはまだ体育服姿の二人がもう既に待ち構えていた。勿論悠馬くんも眠そうな顔をしながら屋上に来ている。 「ふっふっふー。美月!悠馬!聞いて驚くなよ?!」 「なにー?早く言ってよ。」 「今から言うんだよ!…じゃーん、これを見ろ!」 黄汰くんは所謂ドヤ顔と言う顔をしながらあるものを取り出し高々と真っ青な空に向かって突き上げた。残りの僕らはそれに釣られるように空に顔を向けた。 「…かみひこうき?」 「おー、懐かしいな。紙飛行機とか。」 「…全く…黄汰は……はあ…」 「おいおい。紙飛行機ナメんじゃねーぞ?俺、昨日陽さんからすっげーよく飛ぶ折り方教えてもらったんだぞ!!」 突き上げられた白いそれは太陽に光に反射してより一層白を目立たせている。黄汰くんはそれをにやりと笑うとブンッと力強く誰もいない校庭に向かって投げた。すると紙飛行機はすいー、と綺麗に孤を描きながら校庭に吸い込まれるように飛んでいった。 「…下手くそだな、黄汰。」 「あぁあ?!」 「…校庭にまっ逆さま…」 「はぁあ?!」 「わざわざ呼び出してこれですか。」 「えぇえぇええ?!なんで?!なんでお前らそこまで言うわけ?!じゃあ、分かったよ、そこまで言うならなあ!!」 「そこまでいうなら?」 僕が小首を傾げながら尋ねると黄汰くんは待ってましたと言わんばかりに体操服のポケットからよくそんなに入ったもんだな、と思わせる程の大量の白い紙を取り出した。 「誰が1番上手く飛ぶか勝負しようぜ!!」 こうして僕らの紙飛行機競争が始まった。 「よーし、皆出来たか?!」 黄汰くんの言葉に僕らみんな出来上がった紙飛行機を持ってうん、と頷いた。すると黄汰くんはまたさっきと同じにやりとした笑みを浮かべながらそれじゃあ、持ち場につけー!と叫んだ。僕らはそれを合図にバラバラと持ち場についた。 「じゃあ、俺の合図で飛ばすのな?ビリの奴はみんなに購買のパン奢ること!いいな?」 「う、うん…自信ないけど…」 「よっしゃ。焼きそばパン奢れよな、黄汰!」 「はあ…私は知りませんからね」 僕は自分の紙飛行機をきゅ、と握りしめ自分の持ち場から真っ直ぐ前に広がる景色を見た。 「…わあ…」 そこから見える景色は大きく広がった校庭と一面の青い空。清々しい風が僕の頬を優しく撫でる。僕はなんだかそんな景色を見ていたらいても経ってもいられなくなった。 「投げろ――――!!!!」 校庭と、空と、授業中の学校に僕の大きな声が響く。 そして、一面の青に3つの白と出遅れた1つの白がすーっと、綺麗に遥か向こうの空に向かって飛んでいった。その飛んでいく紙飛行機はそれぞれ形は違っていえどそれ相応に不格好でまるで今の僕らを表しているようだった。 「わあー!すごーい!」 「飛んだなー。」 「…たまには、いいんですかねえ、こういうのも。」 「み、美月テメェ!」 「あ、黄汰の落ちた。下手くそ。」 いつか僕らもあの紙飛行機のようにこの大きな空を飛ぶ日が来るのだろうか。その時は不格好でも、みんな一緒に真っ直ぐ前に飛んでいきたい。 「…って、あのっ!皆さんっ!」 「ん?涼、どうした?」 「せ、先生たちが来ましたよ!きっと私と黄汰を追いかけてた先生たちですね。」 「嘘!ど、どうしよう?」 「逃げるしか、ねぇだろ。行くぞ!」 「…おう!」 「全く!」 遠くから先生たちの大きな声が聞こえる。みんな急いで屋上を後にして行く。 「美月!早くしろ!」 黄汰くんの手が僕に向かって差し出された。その手を強く握りしめながら僕も屋上を後にする。 「…うん。……待ってよー!」 白い紙飛行機たちはゆらゆらと青い空に溶け込むように真っ直ぐ飛んでいった。 End |