悠馬が「俺、田崎の様子見てくる!」と言って美月ちゃんの元へ走っていってから早30分ちょい。誰も遊ぶ人がいなくなった俺は一人、海の真ん中でプカプカ浮かんでいた。


「ああ゙ー、暇や…」


おお、ものごっつ暇そうな声出たわ。ものごっつ暇そう過ぎて自分でもびっくりやわ。そんなに暇か、自分。いやー、暇だろうなあ。だってせっかく海に遊びに来たのに悠馬も美月ちゃんもいないんやもん。そりゃ暇やわ。
いや、ね?いやね、別に美月ちゃんが悪いって言ってるわけちゃうんやで?悠馬が美月ちゃんの元に駆けてくのも分かる。俺かて美月ちゃんのこと心配やし。でもさ、どうよ。男子高校生が赤と白のしましまの浮き輪で海に一人で浮かんでるってどうよ?!おかしいやろ!浮くやろ!ほら!そこのナイスバデーのお姉ちゃんまでも俺のこと変な目で見てるやん!
そりゃ、心配っそうにちらっちら砂浜見てる悠馬に「そない美月ちゃん心配なら行ってきてやりぃや。俺ならそこら辺のお姉ちゃんに声かけて遊んでるから大丈夫やから。」とは格好つけて言ったものの、このウブボーイの俺がお姉ちゃんに話しかけられる訳ないし、挙げ句の果てには変な目で見られるし、もう散々やわ。
あーあ、どないしよ。
とりあえず、ずーっと海入ってたら体ふやけるし外いこかな。ほら、プール入ってても休憩入れるやろ?それと同じや。お、あんなとこに海の家あるやん。海の家でなんか食おうかな。


「すいませーん。」
「はい!」


何か暇を潰そうと、海の家に入り、色んな料理名が書かれた札がぶら下がっている注文場所に足を進めた。おおー、色々あるやん。んー、かき氷食べようかな。
かき氷を注文しようと店員さんを呼んで、俺は息を飲んだ。


「いらっしゃいませ!何にしますか?」


だって!だって!出てきた女の子の店員さんごっつう可愛いんやもん!何やこの子!めっちゃ可愛い!うわあああ友達になりたい!そしてそれ以上の関係になりたい!可愛い!ヤバい!男子校に言ってる所為で多少の女の子は皆かわいく見えるけど、そんなん取っ払ってもその子は可愛かった。綺麗な小麦色に焼かれた肌とさらっさらの長い黒髪を上の方で結わいている。そして一番可愛いと思ったのは大きなアーモンド型の目と笑うと見える八重歯。ああ、もっと笑って。笑って、俺に、その八重歯を見せてくれ。何にしますかって?そんなん決まってるやろ?
俺は前のめりになりながらそのめちゃかわいい女の子に向かって口を開いた。


「君がほしいです!」


なんてな。そんな洒落たことこの俺が言えるわけないやろ。んなこと言えてたらさっきのナイスバデーなお姉ちゃんにも声かけてるわ。


「あ、えっと、ぶ、ブルーハワイ。かき氷のブルーハワイ味ください。」
「はいっ!かしこまりましたっ」


エエんや。これで、エエんや、俺。
そのあと、一人砂浜で食べたブルーハワイはちょっぴり涙の味がした。




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