プロローグ



生きてきて30年と少し。
特に目立った特徴もない僕は普通の人間として少しツイてない、だけど至って普通の生活を送ってきた。
教科書に載るような人や、テレビの向こうにいる人たちから見たらなんの面白味もない僕の人生だが、それでもいい。それが、僕の生き方なのだから。

平凡な奴は平凡な人生を、特別な奴は特別な人生を送るのだ。

スポットライトに当たっているのは僕ではなくいつもアイツだった。

だからかもしれない。
僕にとってアイツがかけがえのない大切なものになったのは。

隣にいるのが当たり前で、35になった今でも一緒にいる。
そして、そんな当たり前はいつまでも、いつまでも続くものだと思っていた。

でも、やっぱり、平凡と特別は相入れないものなんだ。


君が好きだ。


そんな気持ちに気づくことのできない僕はいつまでも平凡で。
特別な君は、どこまでも、どこまでも特別なまま。

特別である以上、手なんて届きっこないんだって、憎たらしい笑顔を浮かべたままあんたは笑っていたんだ。






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