「えへへ、僕まで卵買っちゃったー」 「良かったですね。」 そう喜ぶ彼にはもう呆れるしかない。 あのあと、彼のお陰で(?)最前列に来れた俺は難なく卵をゲットすることができ、隣の彼もなぜか卵を買っていった。 「でも、もうああいう場所でああいうことしたらダメですよ?」 「んー?どして?卵、買えたじゃないか。」 「そりゃ、買えましたけど。そういう問題じゃないんですってば……え?なんですか、これ。」 彼にさっきの危ない行動について注意をしていたらいきなり目の前に三角スーパーのビニル袋を突き出された。 「あげるよ。」 「…え?」 「卵、欲しかったんだろう?」 そう言ってニッコリ笑う彼。ああ、この人にはきっと何を言っても通じないのだろう。俺は差し出されたビニル袋を有り難く頂戴する。まあ、買ったのはどうせ俺だしね。 あーあ、なんていうかこの人には降参だ。 「…あの、ご飯、食べていきます?」 「えっ!いいのかい?!」 まあ、卵もらっちゃったし、買うことができたのもこの人のお陰だし。 夕飯も一人分増えるくらいなんてことはない。それに家には、秘密兵器の昨晩残ったご飯が包んで冷蔵庫に閉まってあるから大丈夫だろう。卵も1パック量が増えたわけだし。 「お礼です。」 「わあ、嬉しいなあ!君の手作り料理が食べれるなんて!」 そう言うと、彼は金髪の綺麗な髪をなびかせながらまた子供のように嬉しそうにそして楽しそうにニッコリと笑った。 その表情は本当に綺麗で、本物の王子様のようだった。 (スーパーでの姿も王子様みたくて格好良かったし。もしかして本当に王子さまだったりね。) |