.*宝小様から☆コラボレーション*.
第127回(?)高二男子親睦会A


 ヤスくんこと、安田昴くんは物語の世界に出てくる白馬の王子様並にカッコいい。

 背が高くて、足も長くて、文句なしの美形で、性格もいい。特に、いつだって自分よりも他者を優先させるその優しさが彼の最大の魅力じゃないかと僕は思う。

 「ヤスくんは優しいよね」なんて言うと、彼は決まって「そんな、俺は別に優しくなんてないよ」なんて困ったように笑いながら否定するから、ますますカッコいい。だもんだから、男子からも女子からも先生からも、すごい人気。

 そんなヤスくん。最近、何だか元気がない。何だか、びくびくしてることが多い。

 後ろから「ヤスくん」と声をかけただけで、彼は肩をびくつかせ、不安そうにこちらを振り返る。そして、「ああ、豹雅か」って安心したように笑う。いったい誰に声をかけられたと思ったんだろう。

 それから、最近のヤスくんは、携帯を見て溜め息を吐くことが多い。

 携帯がなる。ヤスくんはびくっとしながら、携帯を手にとる。ディスプレイに表示された文字を見て、はぁーと溜め息を吐く。でも絶対に電話に出ようとしない。

 「イタ電?」と聞いても、ヤスくんは困ったように笑って、「あー、うん。ちょっとね」と言葉を濁す。

 ヤスくんは優しいから、僕に心配をかけたくないから、きっと何も言わないんだと思う。

 もしかしたら、僕以外の誰かには、最近元気がない理由を話しているのかもしれないけど……優しすぎるくらいに優しいヤスくんが誰かに自分の悩みを打ち明けてる姿なんて想像できないんだよな。

 何か悩んでいるなら、困っているなら、せめて話を聞いてあげたい。

 僕に話したって、何も解決しないかもしれないけど、一人で悩んでいるよりかはマシだと思わない?

「というわけだから、ヤスくん、何でも言ってみて」

 放課後。昇降口でヤスくんを捕まえて、僕はヤスくんが最近元気がないこと、何かに悩んでいるように見えることを指摘した。

「ヤスくんは優しいから、誰にも言えなくて、余計に悩んでるんじゃないかって思ったんだ。何も出来ないかもしれないけど、僕でよければ何でも聞くから。遠慮なく、心の中に抱えてるモヤモヤをぶつけてもらってかまわないから」

 いつもお世話になってるヤスくんのために、僕が出来るのはこんなことだけだけど、せめてもの力になれれば。

 ヤスくんは目を丸くして、僕の話を聞いていた。やがて、いつものように、柔らかい微笑みを浮かべ、

「ごめん、豹雅に心配かけるつもりはなかったんだけど、そんなに俺のこと気にかけてくれてたんだ」

 と言ったもんだから、僕は慌てた。

「ヤスくんが謝ることなんて何もないよ。僕が勝手に気になってただけなんだから」

 むしろ突然こんなこと言って、迷惑だったかもしれないな。

「それじゃあ、ちょうどいいから、豹雅にも参加してもらおうかな?」

「何に?」

「高二男子親睦会」

 そして、僕はヤスくんにつれられてこの公園へやってきた。

 やたらとテンションの高い元気いっぱいな広夢くんと、眠そうな顔をして意外と厳しい突っ込みをいれる慎一くんを紹介してもらい、今に至る。というわけ。


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