.*宝小様から☆ヤス生誕記念&SELFCONTROL完結記念*.
10月3日はSpecialDay 【6】


 そしてヤスくんのアルバイト終了後。僕らは慎一くん・広夢くん行きつけのお好み焼き屋さんへ向かった。

「では、改めまして、ヤスくんお誕生日おめでとう! かんぱーい!」

 広夢くんの音頭。グラスを軽くぶつけ合う音に混じり、パンっというクラッカーの破裂音。舞い散る紙テープ&紙吹雪。

「ありがとう」

 頭にピンクの紙吹雪をつけて、嬉しそうな、でもちょっと照れくさそうなヤスくん。僕まで嬉しくなってくる。

「ね、さっきアキラさんから貰った封筒何が入ってたの?」

 広夢くんがさっそく訊ねる。

 アキラさんが帰ったあと、ヤスくんは仕事に戻り、それから僕らの席には来なかったから中身が何だったのか聞けてなかったんだ。

「俺もまだ見てないんだ」

「見たい見たい! ヤスくん開けてみてよ!」

 広夢くんは鼻息荒く顔を寄せる。

 ヤスくんはカバンにいれていた封筒を取りだし、一辺を手で千切っていく。

 中から出てきたのは一枚のカードと紙。というか便箋。アキラさんからの手紙だろうか?

「何て書いてあんの?」

「えーとね……」

 手紙を見たヤスくんの顔から笑みが消えた。手中のカードと手紙を見比べて、固まる。

「どうしたの?」

「何? またアキラさんが変なこと言ってきた?」

 ヤスくんは手紙とカードを広夢くんに渡し、テーブルに肘をつくとうなだれてしまった。

「え、本当にどうしたの? 具合悪いの?」

 僕の声が聞こえないのか、ヤスくんは下を向いたまま返事をしない。

「うわあ」

「これは、また」

 手紙を見ていた広夢くんと慎一くんが声をあげる。

 2人の声の感じや表情から察するに、あんまりいいことじゃないみたいだ。

 回ってきたカードと手紙を、いっちゃんと一緒に見る。

 カードには水色の背景に濃い青の文字で英語と数字が書いてある。僕もいっちゃんも成績はあまりよくないけど、簡単な英語ならなんとか読める。

「れ……れいんぼー、ぱ、れす、ほてる?」

「て、たしか隣町にリニューアルオープンしたホテルだよね?」

 夜景がとても綺麗だし、料理も美味しいし、サービスも行き届いてるとかで、カップルや家族連れに人気のホテル。テレビでも紹介されてるのを見たことがある。

「で、これは?」

「カードキーみたいだな。レインボーパレスホテル1003号室の」

「なるほど」

 そして手紙には一言『今夜9時に』という手書き文字と、ハートマークが書かれている。

「これ、書いたのアキラさん?」

「じゃないの」

「へー、アキラさんもハートとか描くんだねえ」

「豹くんは変なとこに目をとめるね」

 「問題はそこじゃないっしょ」といっちゃんは言うけど、この手紙に何か問題があるのかな?

「俺、どうすればいいと思う?」

 ヤスくんは今にも泣き出しそうな顔をして慎一くん&広夢くんを見つめる。

「いいよ、行かなくて」

「いやいや、行かなかったら行かなかったで、後で何されるかわかんなくね?」

「広夢くん、怖いこと言わないで……」

「でも、ばっくれたら、あのアキラさんがただですませるとは思えないじゃん」

「行ったら行ったで、ただではすまされないと思うけど?」

「慎一くんも、やめてよ……」

 ヤスくんは頭を抱える。何を悩んでいるんだろう?

「行かなかったら、アキラさんが悲しむと思うよ」

「え、」

「は?」

「何?」

 ヤスくん、広夢くん、慎一くんの目が一斉に僕に向けられ、なんだかどぎまぎする。あれ、前にもこんなことなかったっけ?

「アキラさんがわざわざホテルの部屋をとったっていうことは、ヤスくんとゆっくり話がしたいってことだよ。アキラさんの性格を考えると、たぶん、ヤスくんが来るまでずーっと部屋で待ってるんじゃないかな? 行かないなら行かないでちゃんと連絡してあげたほうがいいよ……まあ僕としてはアキラさんのためにも行ってあげてほしいけど」

 ヤスくんにも都合があるだろうからね。

「豹雅……」

 ヤスくんが真剣な眼差し、震える声で問う。

「それ、本気で言ってるの?」

「え? うん」

 僕、なにかおかしなこと言ったかな?

「ごめんねー、うちの豹くんは世間知らずだからさあ、アキラさんがそーゆー人だってわかってないみたいなんだよ」

 いっちゃんが愉快そうにケラケラ笑いながら僕の頭を揺さぶるように撫でる。

「だろうね」

「物を知らないってある意味では幸せだよね」

 慎一くんは呆れたように、広夢くんは感心したように頷いている。

 ヤスくんはヤスくんで疲れた顔に微かな笑みを浮かべ、

「いいんだよ、豹雅はそれで。それでこそ豹雅だよ。そのまま、ずっと何にも知らないままでいてな」

「ヤスくん? どういうこと?」

「いいんだ。気にしないで……ほら、焼けたから食べな」

 ヤスくんはお好み焼きをお皿の上に乗せてくれたけど、僕は釈然としない。

「ヤスくんは食べないの?」

「俺はいいよ。何か食欲なくなっちゃって。冷めないうちに食べな。ちょっと、どうするか考える」

 ヤスくんはため息を吐き、疲れたように手で顔をおおう。

「災難だね」

「せっかくの誕生日なのに。可哀想に」

 慎一くんと広夢くんは、手と口を動かしながら、哀れむような目でヤスくんを見ている。

 何でそんな目をするの?

 ヤスくんも何で急に元気なくなっちゃったの?

 僕にはさっぱり意味がわからない。

「豹くん、やっすーが心配なら一緒についてってやれば?」

 何故かいっちゃんは、憚るように小さな声で耳打ちをしてきた。

「え、でも、僕なんかが行って、邪魔にならないかな?」

「んにゃ、あの兄さんなら喜ぶと思うよ。やっすーも豹くんが一緒ならちったあ気が楽になるんじゃん?」

 アキラさんと2人きりだと気が重いってこと?

 だからヤスくんは悩んでるのかな?

「ん、ヤスくんの気が楽になるなら僕も一緒に行こうかな?」

 僕もアキラさんと話したいし。

「そうしな。それがいいよ」

 いっちゃんはイタズラを仕掛けた子どもみたいに、楽しそうにニッと笑って、

「そしたら、後で教えてな」

「何を?」

「何を、てか、何かあったら」

「何かって?」

「何かは何かだよ。面白いことがあったらさ」

 ただ3人で談笑するだけだから、いっちゃんが喜ぶような面白いことは何もないと思うけどな。まあ、せっかくだから今度僕の番がきたら交換日記にこの日のことを書いておこう。

 難しい顔して黙考するヤスくんを横目で盗み見て、 今日は楽しい夜になりそうだなと思った。


<fin>


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《感謝御礼from*美砂》
宝小様に書いていただいた記念小説ですぁぁぁぁ!!(>∀<*)
このお話はアレですよ。読んでいただいた方ならわかると思いますが、あの続きですw
彰さんってばホントになんって悪い男なんでしょうかwww純朴な豹雅くんを口車に乗せてしまうなんてまったくこの魔性め!wしかもメル友とか贅沢!!そのアドレスをさあ美砂のもとへ!(←便乗すんなw)
そしてそして初参加のいっちゃんこと伊吹くん(*´▽`人)彰さんと無言の会話が出来るなんていったい何者ですかwそして可愛いじゃないかオバサンもうメロメロだよどうしてくれんの(←始まったなw
ホントに宝小様には我が子たちをこれでもかと可愛がっていただいていつもいつも感謝感激ですよ♪
今回も真夜中にPCに向かってニヤニヤしてる変態が発生しましたw
ヤスはいったいどうなっちゃうんでしょうかwこの続きはあの彰さんの破廉恥な生誕絵に続くとか続かないとかwご想像にお任せなんですって(笑
宝小様(*>ω<*)この度は本当に、お忙しい中、ウチの子たちとお子様を遊ばせてくださってありがとうございました♪とても楽しく拝読させていただきましたよVv
ヤスは本当に幸せ者です♪大切に大切にしますね(*^^*)



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