.*小仁沢様から相互記念*. Who is he?...【4】 「香澄が男嫌いなのは俺だってよ〜く知ってる。なのにあいつ、全然知らない男と二人で手を繋いで歩いてた。少なくとも一昨日・昨日の2日連続で。しかも相手の男、というか少年は、香澄は『俺の女』宣言してる。これってどういうことだと思う?」 「……洋ちゃん、もしかして香澄がその中学生みたいな少年と浮気してるとでもいいたいの?」 「それがわからないから一舞を呼んだんだよ」 洋ちゃんは足を止める。 「ついたよ」 そこは閑静な住宅街にひっそりと佇む、小さなカフェだった。 ヨーロッパの温室を模したような白い建物が可愛らしい。 「こんなところにこんなカフェがあったんだね」 駅の裏の方はあまり通らないから、知らなかった。 「あそこ、見てごらん」 洋ちゃんは窓から店内を指差した。 「どこ?」 「あそこだよ。奥の席」 窓から見て、右奥、入口に近い席に二人連れの男女が楽しそうにお茶を飲んでる姿が見える。 なんてことない仲睦まじいただのカップルのようだけど……? 「あれ? もしかして香澄!?」 ふわふわの長い髪と、ピンクのリボン、愛くるしい笑顔。間違いなく香澄だ。 相手はこちらに背を向けているため顔はわからない。 指通りのよさそうな黒髪ショートヘアー。成長途中と見える華奢な体のライン。 後ろからだけど、確かに、中学生の男の子に見える。 「照に聞いたら、香澄は今日も部活を休むっていうじゃないか。気になってあとをつけたら、案の定、あの少年と駅前で待ち合わせしてこの店に来たんだよ」 そこまでするなんて、洋ちゃん、よっぽど香澄のことが心配だったんだね。 「一舞は知ってるか?」 「……たぶん、知らない人」 「そうか」 「デート中、なの?」 「だと思う。その証拠にほら」 店先に出された黒板。 色とりどりのチョークで、花やカップやケーキの絵が描かれ、真中には大きく、『大人気! カップル限定ケーキセット。夕方5時まで』。 「これを食べに来たの?」 「と考えるのが自然じゃない?」 「だね」 香澄が、浮気。 back/next |