お引っ越し |
高校進学を機に再び戻った街。 新築の家は、独特の臭いを漂わせてあたしたち家族を出迎えてくれた。 大きすぎず小さすぎず、程よい広さの一戸建て。以前は賃貸マンションでママと2人だけだったからなんだか、環境の変化にウキウキしてくる。 (それにしても・・・) 一舞 「・・・・・でか」 引っ越しの荷物を家に運び入れながら、お隣の大豪邸にどん引き。 華 「どうした?」 一舞 「うん、隣の家…凄いね…っていう」 華 「…あぁ…そうだな」 一舞 「でも、人の気配がしないから不気味かも?」 華 「そういうことを言うもんじゃないぞ」 一舞 「あ…うん。そうだね」 でも、本当に人が住んでいるのか疑わしい雰囲気だ。 ?? 「一舞ぁ〜!!!」 一舞 「わっ!?」 背後からピョン!と抱きついてきた振動で、うっかりダンボールを落としそうになった。 なんとかダンボールを抱え直し、身を捩って抱きついてきた当人を確認すると・・・ 一舞 「ひさび」 香澄 「らぶぅ」 「会いたかったよ〜ん」…って、あたしの背中に頬や額を押し付けてスリスリするもんだからとにかくくすぐったくて仕方ない。 一舞 「うははっ!香澄の馬鹿!くすぐったいっつーの!」 香澄 「んふふっ」 背中に顔をうずめたまま香澄は笑った。 だから くすぐったいんだってば。 香澄 「それにしても随分と背が伸びたんだねぇ…」 一舞 「まぁね〜…あんまり一気に伸びたもんだから毎日関節痛くて大変だったよ」 香澄 「ふ〜ん…あぁ…そういえば涼ちゃんも同じようなこと言ってたな…」 一舞 「…え?」 香澄 「涼ちゃんも、身長伸びたんだよ。でも…」 一舞 「ん?何?」 香澄 「…なんでもない」 ばつが悪そうに目を逸らす香澄……何かあるらしいですね。 香澄 「それはそうと、アタシも手伝うよん」 一舞 「ありがと」 とにかくあたし達は、そそくさと荷物を運び入れ、懐かしい再会に話が弾んだのだった 。 夜は由紀ちゃんも呼んでお泊まり会だもんね。楽しみ楽しみ。 |