バンドマンのスポーツマンシップ(CRIMSON Baby*番外編) |
洋 「ねえねえ一舞は何に出んのぉ〜?」 一舞 「ん?」 ライヴ直前の控室。 蓮が精神集中する鏡の前。涼が一舞の髪を結う傍ら、照の膝の上で寛いでいた洋が間延びした声で何やら尋ねた。 洋 「俺と照は例年通りバスケなんだけどー」 照 「デカいヤツは流れでそうなるよな」 涼 「まあな。てか毎年恒例のアレな」 洋 「そう。なんでか蓮と俺で対決させたがるアレな」 蓮 「・・・俺はサッカーにも引っ張り出されそうだがな」 照 「それも毎年恒例な」 洋 「な」 この時期といえば、運動会、体育祭、球技大会など、校内行事としては恒例の季節である。 もうすぐライヴだと言うのに緊張感が無い5人。いったい何の話かと思えば、互いの出場種目を確認し合いたいようだ。 洋 「で?一舞は?」 一舞 「えーっと、バレー・・・?」 洋 「えー?」 一舞 「あと、バスケでしょ?テニスでしょ?バドミントンでしょ?あとはえーと・・・」 洋 「え」 一舞 「んー、なんかだいたい全部に出されそう」 洋 「なんでまた」 一舞 「デカいからだって」 洋 「・・・え〜?」 涼 「身長もまあわかるけど、運動神経いいからなぁ一舞は。ついでにサッカーも手伝ってくんね?」 一舞 「んー、時間と体力に余裕があったらねー」 彼らの通う高校も例に漏れず、球技大会なるものが開催されるらしい。 学年や男女の垣根無く全生徒による編成・対戦が可能なだけに色んな意味で楽しみにしている生徒も多い。が、環境が少々他校とは違うためかボイコットする生徒も少なくない。 必要人数を埋めるために、一人で幾つもの競技を掛け持ちなんてことも珍しくないとはいえ、一舞の場合は掛け持ち過ぎである。 洋 「校内行事でまで働き者精神発揮しなくてもいいのに」 一舞 「でもスポーツ楽しいよ?」 涼 「楽しい事が好きなだけだもんな一舞は。はいよ。完成」 一舞 「ありがとー。てか洋ちゃんたちも色々出ればいいのに」 洋 「えー、やだよー。だって体力温存したいもん俺ー」 涼 「つーか一舞のチームと対戦したら怪我しそうで怖いわ」 一舞 「え、なんで?」 涼 「お前のシュートとかアタックとかスマッシュとか。超怖ぇもん」 蓮 「確かに」 照 「火ぃ吹きそう」 一舞 「ひっど!火なんか吹かないし!」 洋 「ボールが塵になる前に写メっとかないと。ふひゃひゃっ」 涼 「決定的瞬間を逃すなよ」 蓮 「ふっ」 一舞 「あのねぇ・・・」 何はともあれ仲の良い楽しげな控室。 先ずはライヴに集中してほしいものだが・・・球技大会の日は間近である。 |