バンドマンのスポーツマンシップ(CRIMSON Baby*番外編)
2013/05/16




「ねえねえ一舞は何に出んのぉ〜?」

一舞
「ん?」



 ライヴ直前の控室。

 蓮が精神集中する鏡の前。涼が一舞の髪を結う傍ら、照の膝の上で寛いでいた洋が間延びした声で何やら尋ねた。




「俺と照は例年通りバスケなんだけどー」


「デカいヤツは流れでそうなるよな」


「まあな。てか毎年恒例のアレな」


「そう。なんでか蓮と俺で対決させたがるアレな」


「・・・俺はサッカーにも引っ張り出されそうだがな」


「それも毎年恒例な」


「な」



 この時期といえば、運動会、体育祭、球技大会など、校内行事としては恒例の季節である。

 もうすぐライヴだと言うのに緊張感が無い5人。いったい何の話かと思えば、互いの出場種目を確認し合いたいようだ。




「で?一舞は?」

一舞
「えーっと、バレー・・・?」


「えー?」

一舞
「あと、バスケでしょ?テニスでしょ?バドミントンでしょ?あとはえーと・・・」


「え」

一舞
「んー、なんかだいたい全部に出されそう」


「なんでまた」

一舞
「デカいからだって」


「・・・え〜?」


「身長もまあわかるけど、運動神経いいからなぁ一舞は。ついでにサッカーも手伝ってくんね?」

一舞
「んー、時間と体力に余裕があったらねー」



 彼らの通う高校も例に漏れず、球技大会なるものが開催されるらしい。

 学年や男女の垣根無く全生徒による編成・対戦が可能なだけに色んな意味で楽しみにしている生徒も多い。が、環境が少々他校とは違うためかボイコットする生徒も少なくない。

 必要人数を埋めるために、一人で幾つもの競技を掛け持ちなんてことも珍しくないとはいえ、一舞の場合は掛け持ち過ぎである。




「校内行事でまで働き者精神発揮しなくてもいいのに」

一舞
「でもスポーツ楽しいよ?」


「楽しい事が好きなだけだもんな一舞は。はいよ。完成」

一舞
「ありがとー。てか洋ちゃんたちも色々出ればいいのに」


「えー、やだよー。だって体力温存したいもん俺ー」


「つーか一舞のチームと対戦したら怪我しそうで怖いわ」

一舞
「え、なんで?」


「お前のシュートとかアタックとかスマッシュとか。超怖ぇもん」


「確かに」


「火ぃ吹きそう」

一舞
「ひっど!火なんか吹かないし!」


「ボールが塵になる前に写メっとかないと。ふひゃひゃっ」


「決定的瞬間を逃すなよ」


「ふっ」

一舞
「あのねぇ・・・」



 何はともあれ仲の良い楽しげな控室。

 先ずはライヴに集中してほしいものだが・・・球技大会の日は間近である。






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