初心恋[うぶこい]フィルターD(LongNovel/CRIMSON Baby*番外編)
2013/02/06



 検査が終わって、お医者様のお話を聞き終わる頃にはわたし達はもうくたくたでした。

 まさかこんなにも時間がかかるものだとは・・・そして、これほどに視力がお悪いだなんて。まったく知りませんでした先輩・・・。




「やはり悪化しているようだ」

由紀
「・・・視力が落ちた、ということですか?」


「それもあるが、軽く眼病も発症しているらしいな。最近は特に、ライトを浴びるせいか充血が酷かったんだが・・・それ以前に、コンタクトが合っていなかったらしい」

由紀
「・・・そうだったんですか」


「思い切って来てみて正解だった」

由紀
「そうですね」


 わたしも、急いで駆け付けて正解でした。そしてお役に立てて良かった。

 会計を待つロビーには、休日のためか人は疎らで。そうは見せなくともきっと不安だった筈の先輩は、安心した顔でわたしの手を握っています。

 なんて幸せなひと時なのでしょうか。



「少しの間は眼鏡通学か・・・久し振りだな」

由紀
「・・・そうなのですか」


 あの素敵な眼鏡姿で登校されるようになったらきっと、他の女子生徒が黙っていないような気がしてなりません先輩。



「だが少しの我慢だ。視界の環境が改善されたら、ようやく教習所にも通える」

由紀
「・・・教習所?」


「誕生日を過ぎてから随分経つが、今どき車くらい運転できなければ男としては辛いからな」

由紀
「そう、なのですか・・・」


「これで色々な事がラクになる。そうすれば、こんな風にお前を呼びつけなくても済むだろう?」

由紀
「・・・そう、ですね」


 わたしはもう必要無くなるのだと言われたような気持ちになりました。

 こんな風に頼って甘えてもらえるのは、今後もう無い事なのだと、そう言われたような・・・。



「そうだ・・・最初のドライブは何処がいい」

由紀
「え?」


「どこに行ってみたいかと聞いてるんだ」

由紀
「・・・え?」


「また間抜けな顔をして・・・」

由紀
「・・・?」


「お前にはいちいち説明が必要なのか。面倒だな」

由紀
「・・・あの」


「まあいい。帰り道もしっかり支えろよ」

由紀
「・・・は、い」



 不機嫌そうに髪をかき上げる仕草で、わたしから目を逸らしてしまわれたその雰囲気が、なんだか拗ねているように感じてしまうのは・・・


 やはりわたしが重症なのでしょうね・・・先輩。



《終われ》

**あとがき***************************

どこが【1page】なのかって話ですけどもwすみません。

つい最近、眼科に付き添うという経験をしたもので(美砂には無縁な場所)

蓮由だったらどうなんだろうと妄想してしまったのですw

有りがちなオチですみません。

蓮由可愛い(←親バカ






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