恋人(?)たちのクリスマス【生前の一舞パパ×10代の華さん】 |
一舞 「なぁー! 行こうやぁー!」 華 「・・・」 関西の、とある街はずれにある古びた家。その二階の部屋には、いつもの二人。 身長180pを超える赤い髪の大男が、華奢で小柄な女子高生に向かって駄々をこねている。これもある意味よくある光景だ。 華 「そんなデカい図体揺さくんなて・・・」 一舞 「華ちゃんがわからんこと言うからやんか」 床に胡坐をかいた状態で赤い髪と体を揺らし、行こう行こうと何度も訴えている。華はそれを、ベッドの上から見下ろしている状態だ。 何かある度そんな攻撃を受けている華にしてみれば、それはすっかり慣れたものなのだが、五つも年上の大男が毎度の如くこんな子供のような真似をしてるのだからまったくどうしていいかわからない。 華 「そんなん言うたかてアンタ。外は雪やで?なんでこんな寒い日にバイクなんか乗らなアカンねんな。あたし寒いん嫌や」 一舞 「あっほやな。なんでこんな寒い日にバイクなんか乗らなアカンねんな」 華 「それ今あたしが言うたやつや」 一舞 「バイクなんか乗りませんよ。二人で仲良うお散歩しよー言うてんやん」 華 「寒い。外なんか出たないっちゅーんじゃ」 一舞 「もっと可愛く言うてー」 季節はクリスマス。街には煌びやかなイルミネーション。 恋人たちは寒さにも負けず、愛を深めようとその日を大切に過ごすというのに。 一舞のそんな訴えに、華はまた怪訝な表情を見せる。 華 「誰が恋人やて?」 一舞 「俺と華ちゃん」 華 「何言うてるん?ただのお隣さんやんか」 一舞 「でも毎日ここに通ってんで俺」 華 「何の理屈や」 確かに。まだこの時点では二人はただの隣人だったはず・・・だが。 毎日、華の学校への送り迎えをしてくれているのは他ならぬ一舞。何かといえばいつも一緒に居るのだから、恋人と言ってもそれは間違いではないのかもしれない。 何はともあれ、結局のところ一舞の押しには弱い華。二人で仲良く街へ出る。 コートに身を包み、マフラーと手袋で完全防備。そんな姿で外に出た華に対し、一舞はといえば・・・ 華 「なんやそれ・・・」 一舞 「サンタさんやで」 革ジャンに不似合な赤いサンタ帽。赤い髪の上に深々と乗せられたソレはどう見ても滑稽だ。 華 「なんやそれ・・・」 一舞 「何回言うん?サンタやて」 華 「はっずいわぁ・・・」 一舞 「恥ずいこと無いわ。華ちゃんのサンタやしな。ほれ」 華 「・・・」 そう言って差し出された一舞の左手。手袋も着けず、素手のまま。 その手を見てハッとした。いつも複雑なコードを押さえるその指が、外の寒さで赤らんでいる。 華は一瞬、その手を包みたい衝動に駆られたが、寸でのところで呑み込み、自分の手をポケットに突っ込んだ。 華 「ほれってなんや。前見て歩かなコケんで」 一舞 「可愛ないなーほんま、ふははっ」 華 「そんな褒めんでええ」 一舞 「ふふふっ、そんな冷たいこと言わんとってや。サンタ帽の兄ちゃんと手ぇ繋いだってー。ええことあるかもしれへんよー」 華 「・・・」 一舞 「ほれ〜、旨いもん買うたるでぇ〜」 華 「・・・変態のオッサンか」 一舞 「あはははっ変態て酷いなぁー、ふははっ」 実の所、華は一舞のこの笑顔に弱い。この時点で完全に骨抜き状態だ。 華 「しゃーないな。今日だけやで」 一舞 「ええよー。ほんならもう離さんとくからー」 華 「うっざ」 一舞 「ホンマは嬉しいくせにぃ〜」 華 「やかましわ」 悪態を吐きながらもそっと包んだ冷たい手。どうにか温めようと絡めた指。握る力をちょっとだけ強めれば、一舞が笑顔で華を見る。 その笑顔から顔を背けてはいても、手袋越しに少しずつ伝わる体温が、華にはこれ以上ない幸せだった。 **あとがき************* まだ付き合う前の一舞パパと華さんのお話^^ 10代の華さんがツンデレだった事実w 彼女をこれだけ翻弄できたのは、後にも先にも一舞パパだけだと思います(笑 せっかくのクリスマスなんでね。もっと色っぽい話の方がよかったかもしれませんけどもw これも一応フリーにしてみようかなー・・・需要があるのかはわかりませんが(笑 《フリー※配布終了日⇒1/14》 お粗末様でした。 |